Nicotto Town


イワナくんヤマメちゃんいらっしゃ~い


奴は俺の罪について話す~熟考する佐野元春

 1980年代中盤に、佐野元春はアメリカ滞在を果たす。
 その時、彼が日本に初めてラップを持ち込んだことはロックの歴史の本には必ず出てくる事実だ。
 彼が、カフェ・ボヘミアという音楽(枠を超えてはいたが)グループを結成するまでの数年間、彼は人生の答えを求めてさまざまな哲学や宗教に興味を持った。
 そんなある日、佐野は、小坂忠という音楽家で牧師を肩書きを持つ人物と出合っている。
 小坂は、日本のロックの草分け的な人物で、細野晴臣や松本隆等と共に音楽活動をしてきた。小坂は、ひとり娘(現在はゴスペルシンガーとして活躍中)の大やけどをきっかけにジーザスを信じ、クリスチャンとなって一般の音楽と一線を画して専らゴスペルを歌うようになる。
 佐野は、小坂の招きに応じて、1回だけ教会に行っている。
 そこで佐野は、大いに失望することになる。
 その時の経験を基にして作られた歌がある。
 ♪奴は妙に優しげな顔をして、俺の罪について話す。
 でも俺は、きみからはみ出している♪
 同じアルバム(ナポレオンフィッシュと泳ぐ日)で、佐野は、ハナプトラ仏教の教えを引用している。
~この世界では、すべての者が、王である~
 己の罪を直視する生き方と、自分はあらゆるものの王であると確信する生き方。
 あれから約20年。
 佐野は今、どちらの生き方を選んで生きているのだろう?
 あくまでも、単なる無名の親父の意見ではあるが、王として崇め奉られるよりも、日々繰り返す失敗を指摘されて直しながら生きてゆく法が、はるかに楽なように思える。
~王は、常に孤独である~
 佐野が結成したカフェ・ボフェミアも、長くは続かなかった。
 最近NHKの番組で音楽の大御所たちと語り合う佐野の影は、どこか悲しげだった。
 




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