Nicotto Town


イワナくんヤマメちゃんいらっしゃ~い


何故オレは、デルヴォー展に行かなかったのか?

 学校とは無関係だが、ちょうど今日まで、東京府中市美術館で、ポール・デルヴォー展が開催されているはずだ。入場リミットまで、あと数分。
「Aさんの好きな画家は?」
 もうジジイになったので、めったにこんな質問はされないが。
「日本では竹久夢二、欧米ではポール・デルヴォー」
 間髪を入れずに答えることにしている。
 ベルギーの画家、デルヴォーとは、実は浅からぬ縁である。
 20代の頃、近所に人形作家がいて、どうやらその作品は、誰かの影響を受けているようだ。図書館で調べまくり、デルヴォーであろうという結論に至った。しかし、人形と絵。フィールドが違えばとやかく言われない。芸術とは、さういうものだ。オレは、デルヴォーの絵に惹かれた。
 結論から言おう。
 オレは人生が分からないように、絵も分からない。
 つまり。
 オレは絵の鑑賞をしたのではなく、己を賭した女性の面影をデルヴォーの絵に重ねるために、美術館に足を運んだのだ。
 30代初頭。オレは、あるひとからの連絡を待っていた。3ヶ月以上音信がない。
 そんな時、千葉県佐倉市美術館でデルヴォー展が開催された。オレは考えた。
「もし、絵の中の少女たちに、あのひとがひとつでも宿っていたら、諦めよう」
 という前提なら、流し見すればいいのに、オレは、蒸気機関車の駅で後ろ向きに立っているふたりの少女の絵の前で、動くことができなくなった。ふつう、20分以上同じ絵を見続けると、係員さんがざわっとなるので、見て離れて、2時間近く観た。そのひとは、いなかった・・・。
 10年後・・・。
 福島県立美術館で、デルヴォー展は開催された。オレは東京ですべてを失って、みちのくに流れ着いた身であった。もちろん、二世を契ったあのひとも遠い・・・。
『機関車の少女に会いたい』
 しかし、その絵は、来ていなかった。オレは学芸員さんに質問したが、来ない理由は分からなかった。
 オレは、海辺の少女たちの絵に見入った。既に恋は遠く、しかも花火ですらなかった。枯れた官能の燃えかすが、力ない情念の支えとなっているかのように、オレは2時間以上、海辺の少女たちを見つめた・・・
 そして今年のデルヴォー展。
 つい3ヶ月前。おそらくラストチャンスのレース。しかも、よほどのことがない限り失うはずのない小さな幸福も、オレの手からこぼれ落ちていった。
 もはや、デルヴォーの描く少女の何に、同期させればいいのだろう?オレの魂を・・・
「お客様。あと6分で閉館です」
「あ、ごめん、すぐ出る」
 東京は秋、紅葉はもう、始まっているのだろうか・・・

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2012/11/18 20:22
デルヴォーの描く女性像が、好きだった人に似ているということ?
(夢二は東京や草津などでも見れたはず)
絵のタイトルや所蔵館はきちんと覚えてるのかな?
かならずしも美術展に目的の1枚があるとは限らない(とうか滅多にないから)
画集を買ったほうがいいと思うけど(う~ん職業癖できになるわw)
佐倉の美術館は行ったことあります。とてもすてきなところですよね。
展覧会で座ってる人は必ずしも専門学芸員ではないですよ。
ただのアルバイトの可能性が大なので質問しても答えられないと思います。

いまひとつ理解できないところもあるけど(わざとそのように書いてあるのでしょうけどw)
悲しくてロマンチックなブログです。
幸せはいつ訪れるかまだわからないし。。。



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