草原の記 司馬遼太郎著
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/11/27 22:44:42
昨日亡くなられたUさんの葬儀は終わった。
そして残された、みっつの風景がある。
Uさんは、庶民のオレなど比較にならない程の名家に生まれ、お父様は第58~60代内閣総理大臣の盟友だったらしい。Uさんも父が卒業した京大入学を目指すが叶わず、奇しくも司馬遼と同じ大学のアラビア語学科に学ぶ(司馬遼はモンゴル語)。別に顔見知りではない。
大学卒業後、アラブ諸国の石油プラント建設の通訳として活躍。もちろん英語も堪能だった。老後を悠々自適に過ごすために福島を選んだのだが、今回の罹災となった。
ひとつめの風景。
私に英語を教えてくれたM女史は、基本、男性、特に日本人男性の言うことは全く聞かない人であったが、Uさんにだけは従順だった。
「海外生活30年には、かなわないわ」
M女史の速射砲英語を、余裕綽々でかわし、ここぞという瞬間に有効弾を発して黙らせる。
Uさんは、絶えず微笑を浮かべていた。
ふたつめ。
Uさんもオレも、おそらく30回以上通読している程の『坂の上の雲』ファンである。
特に冒頭部、黒溝台会戦、日本海海戦の放火指揮の下りは、暗記していた。
「最初の1ページ言ってみろ」
「は、じゃない。が、が正しい」
暗誦合戦は、ほとんどオレが負けた。
昨日、棺を納めて顔を見た時、オレはこころの中でつぶやいた。
「待ってろよ。ジジイ。あっちでまた、勝負だ」
最後の風景。
オレは迷った。実は一昨日、お見舞いに行き、司馬遼『草原の記』という本を渡そうと思っていたのだ。
~Uさん、あんたは、天空を仰ぎながら生きる自由人だったんだね~
献花の時、花といっしょに、『草原の記』も置いていこうか、オレは迷った。
しかし、オレは一介の奉仕者だ。奇を衒う真似は、許されぬ。
もう、お別れは昨日に済んでいる。
オレは何の感情も交えぬ精一杯の努力をしつつ、献花して退いた。
Uさんの鼻筋がヨーロッパ人のように通った白い顔は、秋山好古に似ている、と思った・・・
読む間が無くて、今頃になっちゃいました><
「坂の上の雲」はドラマで見るのがんばっていたのですが正岡子規が死んでしまったあとからは
挫折してしまいました。
阿部寛さんが演じる秋山好古、好きでした。
モンゴルのお話というと井上靖の「碧き狼」は昔、読みました。
岩さんは御国でも忙しそうですね^^
Uさんとのおつきあいは、形を変えこれからも続いていくのでしょうね
いつかまた会えた時に、「ギャフン!」って言わせるネタを持ちたいですね^m^
そして、いわちゃんのお気持ちは、きっとUさんにすべて伝わったのだと思います^^
生きてる人はまだまだ修行の途中。。。 いわちゃん、いっしょに頑張ろうね(*´∀`*)