真に人間に絶望しているということ
- カテゴリ:30代以上
- 2014/03/20 20:57:46
先日、非常に頭脳明晰かつフットワークのいいボランティア学生君が、オレの関係するNPO法人に来た。
高校球児として夏の予選まできっちり野球をし、現役で京大に受かった子である。大学では、カウンセリングの勉強をしているとのこと。
「Ⅰ種総合職を受験して国家公務員になるか、シュタイナーの教育理論を実践するフリースクールを立ち上げるか、迷っているんですよ」
うん。君なら、文部科学官僚、校長先生、どちらの道でも選択できるに違いない。
一方。
親方は1日中、相も変わらず、フォークリフトの運転をしていた。
午後5時半。
作業の終了後、オレたちはお茶を飲んでいた。
親方の電話が鳴った。
「はい。今日中に必ずうかがいます」
親方は電話をかけなおしに離れた所へ行った。
「どこへ行かれるんですか、これから」
「ホスピス。先生(親方のこと)は、カウンセラーなんだよ、ホスピスの」
青年は、自分の専門分野でに分からない事項を、小汚いオヤジ(オレのこと)に言われた事に少々の驚きの表情を浮かべながら尋ねた。
「ホスピスって、何ですか?」
「末期のガン患者が少しでも安らかな最期を迎えることができるようにするための病棟のこと」
青年は、好奇心旺盛である。親方が戻ってくると、さっそく説明を乞うた。
「作業がんばってくれたんで、土産ばなしとして話そう。日本のホスピスの草分けとして、最期のケアの方法を確立し、今なお全国のホスピスの手本となっているある看護師を指導したのは、ホスピスカウンセラーの私だ」
かなりの驚きを覚えつつ、青年は更に尋ねた。
「最期のケアの方法って・・・?」
「ウチのホスピスが始まった頃、現場は混乱した。キレイごとじゃない、まさに修羅場の連続だ。もうすぐ死のうとしている患者の枕元で、正妻と愛人が遺産の争いをするんだぞ。患者は看護師に『頼む、頼むから、もう殺してくれって』懇願するさ。他にも難しい局面の連続だった。看護師たちは、みんなノイローゼになっちまった。オレは看護師長に言った。というか、真に人間に対して絶望しているから言えた。『患者さん全員の生を、こころから尊敬しましょう。病室に入る時、こころからの感謝と尊敬を以て入りましょう。たとえ愛人と正妻の争いに巻き込まれるような種をまいた人であっても、詐欺師でも犯罪者でも、その人が生きているという事実はかけがえなく貴重なものだから』2年かかった。ウチのホスピスは、軌道に乗った」
どうやら青年にも、返すことばがないようだ。
「さあ、俺は、患者さんの所へ出掛けなくちゃなんねえ。ホスピスには、明日ということばはねえんだ。今日、旅立つかもしれねえからな」
極めて穏やかな表情で、親方は車を取りに出た。
ましてやコメントを書き入れるということがどうなのか・・・
私にはわかりません。
カウンセリングを一流大学で学んでいる学生が「ホスピス」という言葉を知らなかったのは
ちょっと驚きでした。
教育カウンセラーを目指しているのでしょうかね。
私が利用した中学のスクールカウンセラーはいい方で、とても助かりました。
でも、同じ病気の子を持つ母の集まりで話すとスクールカウンセラーはだめだという話もありました。
教師の対応もひどい話を聞くこともありました。
この青年がボランティアを通して学べたことは幸いでしたね。
医療でも教育でも、少しでもよいカウンセラーが育成されることを心から願っています。
岩さんのブログは難しくて、どう読んだらいいのかなぁとよく思います。
ブログのタイトルはキルケゴールの「死に至る病い」をふまえたものでしょうか・・・
長文になってしまい、大変失礼しました○┓ペコ
うちの長男が病棟でホスピスです。
そして私も特養にいたときいろんな利用者さんを見ましたが、周りにとってどんな迷惑をかけて(現場の職員に嫌がられる)人も、人生の先輩であり、その人なりの人生を重ねてきた「今」を私も受け入れたいと思いました。
過去は変えられないのもあるし(^_^;)
明日・・明日があるかどうか分からない だからこそ今精一杯ですね。
わたしもがんばりろっ! いいお話ありがと~
青さ~~~~~~~~~~~ん!!!どこ行ったんだあああああああ><
ブログ広場から失礼しました。
弱くて、ズルくて、自己中で、糞尿もする。現実の人間なんてキレイなどころか醜いものだと。
そんな醜さを受け入れて初めて、現実の人間に向き合える、現実の人間を愛せる、ということでしょうか。
ホスピスでのボランティ(研修あり)を考えたことがあったけど、厳しそうな場所なのでやめたことがあります。
やはり私には、現実と向き合う強さがないようです^^;
思わず僕の方で来ちゃいました^^;
流石親方さまですね。感服致します。