Nicotto Town


イワナくんヤマメちゃんいらっしゃ~い


リア釣りの思い出 その2・ブラウントラウト


 リア 釣り友Y君とは、1978夏に、芦ノ湖ルアーフライ大会に一緒に参加して以来、少し間があいた。
 1979年は、お互い受験期。しかし、その年の10月日曜日の夜、Y君から電話がかかった来た。沈着冷静な彼に似合わず、やや、興奮している。
「釣れた!ブラウンが!」
「ええっ?」
 当時、ブラウントラウトが釣れる場所とは、箱根芦ノ湖の他、日光中禅寺湖など、ほんの数か所しかなく、しかも、極めて用心深い魚で、めったに釣れるものではなかった。
「大きさは、56cm、1.7kg。ルアーはフローティングラバラ11センチ青銀」
「す・・・すげえじゃんよお!」
 オレは嫉妬や羨望の感情をどこかに置き忘れたように、電話機を握ってボーッとした。信じられない・・・
 そしてオレの中に、ひとつの質問が頭をもたげた。
「Y、もちろん、計量してリリースしたんだよな」
 返答には一呼吸あった。
「トリプルフックでバーブ付きだから、リーリースできず、はく製にしようと思う」
「そうか・・・」
「岩太郎、受験頑張って、来年の3月解禁直後の芦ノ湖に行こう」
「オウ!そん時には、オレは必ずブラウンを釣ってリリースしてやる」

 お互い受験運には恵まれたのか、Y君は某安倍総理の出身大学に合格し、岩太郎もまた、違う大学に受かった。

 1980年3月上旬、朝6時、箱根芦ノ湖。湖尻から、名ポイント立石を目指す。
 手の皮が刷り切れるほど漕いで、到着。
「Y、お前から行ってくれ」
「どうしてだ?一級のポイントの朝一なのに?」
「おそらく魚のいる地点まで約20ヤード(約18メートル)。興奮性のオレは、必ずしくじる」
 親友Yは、オレにブラウンを釣らせたいのだ。しかし、フライでは遠過ぎる、ここはルアーだ。
「シューッ」
 Yの投げるルアーが、張りつめた空気を切り裂く。
 3投して。
「岩太郎!何か魚が触ったぞ、15ヤード地点。フライならいける」
 親友に感謝する間もなく、オレは、落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせながら、絶対勝負フライのマラブーマドラー白#12を結び、フライラインで水面を叩いて魚が逃げないように、フライロッドを操った。
「来たっ!」
 グイグイと引っ張る魚のファイト。ニジマスは跳躍し、ブラウンは引き込む。間違いない、ブラウンだ。夢にまで見た、ブラウントラウトだ。
 ボートのへりでバラさないよう、慎重にネットに入れる。
 オレのブラウントラウト、38センチ。
 あこがれの彼女を写真に収め、オレは、弱っているのを労わるようにリリース。
「約束は、果たしたぜ」
「この野郎」
 直後、芦ノ湖の亀ヶ崎から、まばゆいほどの朝陽が差し込んできたのだった。
                           了 

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2016/07/06 09:09
ブラウントラウトは憧れの彼女なんですね^^
私はその年代何に夢中だったろ。。。
しょーもないことだらけで、語る程のモノがなかったりします(^^;)
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2016/07/06 07:10
オオーw(*゜д゜*)w
無事念願の魚を釣り上げることができたのね^^
良かった良かった。
夢は言い続ければ現実になるんだね♪
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2016/07/05 14:47
高校生の頃から釣りに燃えてたのね^^
素敵な趣味だわよね♬
私なんか当時は男性アイドルをテレビで見て喜んでるだけの毎日だったな~www
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2016/07/04 21:41
どきどきっする 瞬間でしたね。
ここ10年は川釣りも 海釣りも行ってないな~
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2016/07/04 19:49
自分が生まれる21年も前のことです
釣りと縁のない生活を送ってきました。典型的な現代っ子であります。



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