リア釣りの思い出 その3・ブルーギル
- カテゴリ:恋愛
- 2016/07/10 20:36:42
釣りブログなのに恋愛カテゴリー?マジっす。
岩太郎は予備校講師を4年勤めたあと、中高受験の大手進学塾の講師になった。32歳の時のことである。最初に赴任した教室にいたのが、今も親友のEさんである。Eさんは温厚を絵に描いたようなナイスガイで、みんなに良いものを分け与えて見返りを求めないので、ニックネームは「幸せの王子」。Eさんは上司からの強烈なイジメにも耐え、翌年の赴任先は、オレと同じ、印旛沼に近い駅にある教室だった。そこに同時赴任したのが、人気女子講師Nちゃん。オレの大学の後輩だが、鼻にかけるところもまったくなく、しかも、仕事後の宴会でオヤジが繰り出す下ネタにもひるまず返すという、豪の者であった。
オレと、Eさんと、Nちゃんと。そしてもうひとり、Tという講師と、よく呑みに行き、そしてついには、4人で一泊二日の旅までするようになった。最初の小旅行が伊豆伊東で、ちょうど初島が爆発した。
「俺たちのグループの名前は、ボルケイノーズにしよう」
Tの提案は一発採用。ボルケイノとは火山、その後、Tはバクハツ的に勉強して旧司法試験に合格、今は辣腕弁護士として活躍中である。
一年後、TとEさんは、千葉の都会の教室に転任。おれは、ひとつのことを考えはじめた。
「Nちゃんは、オレとEさんを両天秤にかけているのではないか??」
折しも春、印旛沼は大物ブルーギルが釣れる季節。オレはEさんとNちゃんを、釣りに誘った。
断言しよう、エサを使えば、ブルーギルは幼稚園生でも釣れる。フライでも、簡単に釣れた。
オレは思った。
「フライを結んであげるやさしさといい、キャスティングを教える仕草といい、EさんはNちゃんにベタ惚れだな」
真夏の花火大会、Nちゃんは、かわるがわるにオレとEさんを見つめ、オレは視線を外し、EさんはNちゃんをガン見していた。
そして、運命の伊豆網代一泊二日。ペンションの名前さえ憶えている、「フレンド・イン」。
夕食後、Tはひとり、街に呑みに行き。EさんとNちゃんとオレは、ペンションのダイニングでカラオケを始めた。
告白しよう。Eさんもオレも、歌自慢である。成田温泉の宴会場で、狩人の『あずさ2号』をデュオ、知らない人からも喝采を受けたほどである。
運命の曲、先攻はオレ。
米米CLUBの、「ひとすじになれない」
♪愛~ひとすじになれないから きみの思うような~ 夢はいつの時にも捨てずに~生きてゆきたい~♪
先攻の意を察したか、幸せの王子は、いよいよ自分が幸せになる時がきた、と感じたのだろう。究極の勝負曲に打って出た。米米、『愛してる』
♪愛してる~愛してる~きみのことは~すべてわかるさ~♪
ハイ。
ふたりはゴールイン。
今は4人の子宝にめぐまれています、とさ。
*つうか、釣りは数行だけじゃんww*
切ない思い出だね。
文中では釣られた魚の行方が不明ですが、みなさんで召し上がったのかな。