Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (63)

どれくらい歩いた事でしょう。

たくさん持ってきたはずの水が、徐々に減っていき、不安になり始めた頃。

三人は、やっと黒い点のあった場所に辿り着きました。

「……私、ついに幻覚が見え始めたみたい」

水華は げんなりして、足を止めました。

「それなら俺も……」

燐悟は 水華に同意して、深い溜息をついています。

黒い点が表していた地点には、奇妙な物が建っていました。

ローズレッドの壁に、アップルグリーンの屋根。白い窓枠の奥には、紫色のカーテンが掛かっています。

それは、白い砂ばかりの砂漠には似つかわしくない極彩色の家でした。

「大丈夫、大丈夫。それなら、あたしにもバッチリ見えるよぉ~」

深柑だけは動じず、ノンビリした口調で言いながら、怪しい家に近づいていきます。

「深柑、あんなセンスの悪い人間には近づいちゃ駄目! 危険よ!」

「え~、でも、何か話が聞けるかもよぉ? ジュッケンジャーかもしれないし」

それは……確かに そうかもしれません。

「うっ、分かったわ。本当は嫌だけど、声を掛けてみましょう。燐悟、ファイト!」

「……え、俺?」

じっと燐悟を見つめる女子二人の瞳は「当たり前でしょう」と言っているかのようです。

こうなっては仕方ありません。燐悟は、渋々、扉の前に移動しました。

水華と深柑は、燐悟の後ろに隠れるようにして立っています。

「御免下さ~い。誰か入ってますか~?」

燐悟は、少し投げやりな気持ちで 戸を叩きました。

「ちょっと、トイレじゃないのよ?!」

すかさず、水華がツッコミます。

「じゃあ、自分でしろよ」などと、後が怖くて言える訳がありません。

燐悟が、もう一度 拳を戸に叩きつけようとした時、扉の向こう側で人の気配が動きました。

「どちらさまですか?」

声の感じから、若い男……いいえ、燐悟と同じくらいの少年のようです。

「すいません。俺……いえ、僕達は、星人《ホシビト》で砂漠を探索中なんです」

この国では、星歌いの間、星人は いろいろな面で優遇されます。

宿や、食事、情報、ワープホールの使用に至るまで、必要な物は、無償で提供されるのです。

「お疲れ様でございます」

「中で休ませて欲しいんですけど……」

少年は「只今、主に確認いたします」と扉を開ける事なく言いました。

「え、あ、ちょっと!」

そのまま、気配が遠ざかっていきます。

「燐悟?」

「主に聞くから待てってさ」

「ちゃんと星人だって言ったの?」

「勿論、言ったよ」

「ふぅ~ん。それってぇ、向こうも星人だって事だよねぇ?」

「 「 あっ! 」 」

水華と燐悟が、思わず顔を見合わせると、扉がゆっくり開きました。

そこに立っていたのは、やはり 燐悟と同じ年代の男の子でした。

優しそうな茶色の瞳が、柔らかく微笑んでいます。

「お待たせいたしました。主が、皆さんをお茶に招待すると申しております」

「はぁ。そう、ですか」

「ありがとうございます」

「わぁ~い、お邪魔しまぁ~す♪」

燐悟を先頭に、水華と深柑も家の中に入りました。



 


家の中は、案の定、薄いピンク色と白と紫でまとめられた落ち着かない部屋でした。

魔法が掛かっているのか、部屋の中は涼しいのですが……。

「うぅっ、私、帰りたい」

「俺だって」

「あれぇ、この雰囲気、どこかでぇ~?」

三人が小声で話していると、少年が怪訝そうな顔をしました。

「ああ、失礼。申し遅れました。わたくし、杏栖《アンズ》お嬢さまの執事で、苫斗《トマト》と申します」

「え、杏栖ちゃん?!」

「深柑、知ってるの?」

「うん、お父さんのパーティーで……」

その時、奥の部屋の扉が開き、深緑の瞳の少年――弓利《キュウリ》を伴った少女が現れました。

やはり 砂漠には似つかわしくない お姫様のようなドレスを着ています。

「深柑さん、お久しぶりですわ。まだ満月の塔なんかに通ってますの?」

「うん、杏栖ちゃんは、双月の園《ソウゲツのソノ》だよねぇ」

「淑女は、みんな、双月の園に通うのが決まりですわ」

「相変わらずだねぇ。あ、お茶に呼んでくれてありがとぉ」

「あら、よろしくてよ。全く、砂漠に来るのに、そんな安い装備だなんて信じられませんわ」

とは言え、どう考えても、こんな馬鹿げた重装備は不要です。

でも、顔見知りだと言う深柑が相手をしている間、水華も燐悟も何も言いませんでした。

杏栖が あまり係わり合いになりたくないタイプだと思ったからです。

  *★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*

63話ですw

女の子のライバルは、女の子かなぁとw

話が進みませんでした ^^;

64話は、藤名瑞希くんです♪

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2010/02/04 22:58
>藤名瑞希さん
 了解ですw
 今、確認に行きまぁ~す ^^
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2010/02/04 22:32
次話UPです~^^
丸投げ感満載ですけど(何
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2010/01/31 17:50
>藤名瑞希さん
 果物って 意外に洋物が多くて、漢字を当てにくいと言う事に気づいて ^^;
 それに、ドリアンとか パパイヤとか、名前としても難しい気が ^^;;
 国の魔法学校なので、幾つかあるかなとw
 新月は 不良学校、双月は お嬢様学校みたいな雰囲気で、どうでしょうか ^^
 水華たちの学校は 普通で ^^

 装備……でしょうかねぇ~? ^^;
 普通、テントくらいの所を、あえて家にしてみましたw
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2010/01/30 23:46
ついに野菜に入ってきた…(ぁ
ってなんか出てきたーっ!( ゚Д゚)
満月と新月と双月か…増えそうな気配が…(滝汗

家も装備のうちなんでしょうか…ww




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