桜雨 (下)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/02/24 22:24:02
「あら、雨……」
陽菜さんの呟きに、全員が空を見上げる。
いつの間にか、青かった空が白く沈んで泣いていた。
シャンと胸を張り、太陽を見上げていた草花は、今は震えながら
俯いている。
庭の池に落ちた小さな雨粒の描く波紋は、次から次へと生まれ
ては消えていった。
天気予報は晴れだったはずなのに、雨は直ぐには止む様子は
ない。
どうやら、東屋で始めた宴は大正解だったようだ。
誰かが、ほぅっと溜め息をついた。
でも、それ以上、誰も話さない。話そうとしない。
雨の音だけが妙に現実的に――と言っても、緩やかな川のせせ
らぎよりも優しく控え目に――聞こえていた。
……静かだ。
雨が全ての音を包み込んでしまったみたいだ。
ふっと目を転じると、雨と花弁の降る庭を眺めながら、陽菜さんが
遠い目をしていた。
懐かしい何かを思い出しているような、愛しい誰かを捜している
ような。
例えて言うなら……そう、羽衣を失くした天人が故郷にいる恋人
に想いを馳せるような、かな?
傍で見ているこっちが切なくなる、憂いを帯びた顔だ。
ボクは――何か気の利いた事でも言えればよかったんだけど――
薄紅色の靄がかかったような幻想的な風景に圧倒されて、上手く
言葉が出てこない。
結局、ボクに出来るのは、陽菜さんの姿を目に焼き付ける事くら
いなのだ。
はぁ~、やっぱり陽菜さんは絵になるなぁ~。
でも、本当に天に帰っちゃったらどうしよう……。
「どうしよう。傘、持ってこなかったのに」
「でも、屋根がある所でよかったね。お料理は無事だもん」
「桜、全部散っちゃわないかな」
「大丈夫、大丈夫。花より団子、だよ」
「そっか、それもそうだね」
うわっ、ガッカリ……。
風情の “ふ” の字もない三人娘の会話が、清浄な空気をぶち
壊す。
陽菜さんは遠い世界から戻ってきて、ふふっと楽しそうに笑った。
「心配要らないわ。雨はもうすぐ止むから。それより、私のケーキ
も召し上がれ」
「はい、いただきますっ!」
待ってましたとばかりに、全員が声を揃えて言った。
結局、花より団子って言うか、ケーキなんだよなぁ~。
でも、悪い事じゃないよね?
だって、陽菜さんは……ちゃんと“天人”から“人間”に戻って、
そこで笑っているんだから。
~ END ~
・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・
妄想系の小学生 ケンタ の年上の女性に対する憧れを ^^;
あくまで、彼の本命&初恋は、同じ学年のヨーコちゃんなので ^^
好きって難しいですねぇ~。
明日は、お題ブログに挑戦しようかな ^^
って、もう こんな時間っ?!
最近、時間がないです ^^;
普通を大げさに……と言っても、あまり大風呂敷は広げられませんでしたが ^^;
普通の人の日常を書く。練習、練習ですw
さわやかな読後感です。
台詞と地の文の割合は、毎回 悩む所です ^^;
台詞が長いと説明は出来ますが、テンポも悪くなるし…… ^^;;
難しいですねぇ~。
私は、今でも頼れる年上の方がいいかなぁ (◡‿◡✿)
自分が子供っぽい所があるので、やはり憧れ満載ですけど ^^
そうですねえ。年上の方にはあこがれる時期ってありますよね。大人風味というのが、優雅におもえるのですよね。
こちらは、桜には まだ早いのですが……^^
冬が長いので、春を待ち望んでしまいます。
男性も女性も、一度は憧れるのかなぁと思う年上の人 (◡‿◡✿)
もっと内面を書けるように精進です ^^
毎日と言うか……時々 手抜きしていると言う噂も ^^;
季節も変わろうとしているのか、暖かでした
年上の女性、憧れました
お疲れ様です
良く毎日、文章書けますね。感心します