Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (69)

視界を遮る砂埃が晴れた時、そこに現れたのは岩山でした。

「ここに薔薇が?」

仲間達の身を守る為に、魔法をかけていた燐悟《リンゴ》が尋ねます。

「間違いございません。ただ……」

それに答えた苫斗《トマト》が言葉を切り、岩から色の違う石を探し出しました。

薔薇と言うよりは、卵のような石です。

「何よ、それ。まさか、それが?」

水華《スイカ》は、少しガッカリした口調で石を見つめました。

「本来なら、ここで ゆっくりと薔薇の形になるのですが……」

「こっちにもあった! でも、これって薔薇か?」

燐悟も同じような石を見つけて、溜息をつきました。

「俺達、白砂漠の薔薇を黒砂漠に届けないといけないのに、どう贔屓目に見ても蕾だよな」

「駄目よ。そんなの、持っていけないわ。葉紫瑠《バジル》姫の想いが蕾だなんて……」

水華が 葉紫瑠の物語に入れ込んでいるを知っていた燐悟は、黙って頷き返しました。

「なあ、魔法でそれらしい形にカットする訳にはいかないんだよな?」

「どのような工程で形になるのか分かれば可能かと。でも、本来、長い年月をかけて作られる物ですから……」

「やっぱ、駄目か」

「ねえ、苫斗。あんた達の課題“白砂漠の薔薇を探し出し、在るべき姿に戻す”だったわね」

「はい。一応、方法は調べてあります」

「これを白砂漠の国の中心にある魔法陣に置けば いいってヤツね?」

「その通りでございます」

「そっか。その魔法陣の魔法で、薔薇に掛かる自然の力を代用するのね」

水華は、考え込むように目を瞑りました。

「おい、水華?」

「ちょっと黙ってて! 国の中心、砂に埋もれた古い街並……」

水華は、ブツブツ言いながら、その辺を歩き回りました。

日が暮れ始めた為、熱かった砂漠は、冷気が支配しつつあります。

「深柑の検索で古い地図を……これだけ、人数がいれば、中心部の砂だけでも風で……」

水華が考えている間、燐悟と苫斗は砂漠の薔薇……の蕾を回収していました。

どちらにしても、今日 どうにか出来る事ではなさそうです。

「そうね。杏栖《アンズ》から魔宝石を借りれば……」

水華がパッと顔を上げ「さっさと戻りましょう!」と、にこやかに微笑みました。

「へぃへぃ、水華女王さま」

「ん? 何か言った、燐悟」

「いや、何も。少しは持つのを手伝う……気はないよな」

「力仕事は、燐悟の担当でしょう?」

キッパリ答えた水華は ちっとも悪びれた様子を見せません。

燐悟はグッと言葉を詰まらせて、両手で砂漠の薔薇になる前の塊を抱えました。

と、苫斗がもう一つ、持っています。

「あら、課題をクリアするだけなら、私達と“共有で1個”でいいんじゃないの?」

「杏栖お嬢さまが、お部屋に飾りたいと おっしゃるかもしれませんので」

「なるほどね。重いのにご苦労様。さあ、急いで帰るわよ」

肩を竦めた水華が モタモタしている二人を置いて歩き出した、その時。ふいに、砂に足を取られました。

「きゃっ!」

体勢を崩した水華の足が、砂に飲まれます。

「わわっ、何で足が沈む……」

それは流砂でした。水華は脱出しようともがき、かえって捕まってしまったのです。

砂は生き物のように水華を絡めとり、あっという間に大地に引きずり込みました。

「水華! 水華ァー!!」

燐悟と苫斗が駆け寄った時には、水華は砂の中に沈んで見えなくなっていたのです。

水華を呼ぶ燐悟の声が、暮れなずむ白砂漠に空しく響きました。





すべり台を滑るように、水華は 急勾配の砂トンネルを滑り落ちて行きました。

咄嗟に空気の球を作り、呼吸経路を確保したのですが、落下までは止められません。

落ちて落ちて……気付くと、固い地面の上にいました。

手探りで空間がある事を確認して、水華は灯りの魔法を唱えました。

魔法の光で浮かび上がったのは、石と木で作られた大広間でした。

天井が破れ、そこから時折 サラサラと砂が落ちてきます。どうやら、水華は そこから出てきたようです。

はてさて、ここはどこでしょう。埋もれた古い街の建物のようですが……。

「魔法で保ってるんだわ。地下にこんな空洞あったなんて。しかも、空気が流れてる。でも、どうやって戻ればいいの?」

が、途方にくれていたのは、ほんの一瞬でした。

水華は すぐに立ち直り、自分に言い聞かせるように「地下探検に出発ぅ~♪」と言い放ちました。

  *★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*

結局、寄り道してしまった ^^;

70話は、藤名瑞希くんです。よろしく~

アバター
2010/02/28 22:55
>藤名瑞希さん
 たいして進んでいないと言う噂も ^^;

 砂に埋もれた街ですねぇ ^^
 そこは魔法の力で何とか ^^;;(苦)
アバター
2010/02/28 22:51
早っw

お~w
地下都市ですね^^
砂漠の下…よく埋もれないなw




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.