Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (77)

魔法陣に魔力を込めていた燐悟は、土の魔法陣を書き写しながら、小休止していました。

燐悟は、魔力を増幅させる魔宝石を持っていましたが、一人でやるには困難な作業です。

「人使い荒すぎだろ」

誰が、とは言いませんが、燐悟は一人の少女――水華の顔を思い浮かべていました。

「もう少し、俺の事も考えて欲しぃ……」

『でも、貴方は、水華が好きなのでしょう?』

「っ!! だっ、誰だ?!」

燐悟は慌てて辺りを見回しました。

通路の影に、見た事のない女の子が立っています。

「き、君は……」

驚いた燐悟は上手く喋れませんでしたが、女の子は気にせず続けました。

『貴方は、水華を愛しているのでしょう?』

「なっ、何を言って……そんな事は……」

『ワタクシは、ここから出る為に、水華の力を借りなければなりません』

「え?」

『日の光は、ワタクシのようなモノにとって毒なのです』

「はぁ……」

女の子の言う事がよく分からず、燐悟は曖昧な返事をしました。

『ご理解いただけてよかった。あら……うふふっ、邪魔者は みなさんの所に戻っていますわね』

女の子は にっこり微笑むと、空気に溶けるように消えてしまいました。

「きっ、消え……」

燐悟はその場にへたり込んでしまいました。

「遅い!」

「ぎゃっ!!」

「ヤダ、失礼ね。そんなに驚く事、ないじゃない」

「す、水華ぁ?!」

「見れば分かるでしょう?」

不機嫌と困惑が入り混じる複雑な顔で、水華が見下ろしています。

「い、今、そこに……いや、ごめん。気の所為だよな。あはは……は、はぁ~」

「ちょっと、大丈夫?」

そう言いながら、水華が手を差し伸べてきます。

燐悟は、一瞬躊躇して、でも、その手を取って立ち上がりました。

「まだ土の魔法陣も起動してないじゃない」

「いや、これは……」

「向こうでは、蕾石を置かずに待ってるんだからね」

言うが早いか、水華は魔法陣を作動させました。

「ほら、ぼぉ~っとしてないで戻るわよ」

「え、あ、うん。……ありがと、な」

燐悟が“俺の為に、ここまで来てくれて”と続ける前に、水華は歩き出しました。

「早く! 弓利がお茶を入れてくれるのよ。冷めたら入れてくれた人に悪いでしょう」

「はいはい、そうですね」

肩を落とした燐悟は、前を歩く水華の頬が少し上気している事には気づきませんでした。




 

水華達が戻ると、広場にテーブルと椅子が並べられていました。

「あ、やっと帰って来たぁ」

「お二人とも早く席にお付きになって!」

談笑していた深柑と杏栖が水華達に気付き、手招きします。

「何なの。この物々しいお茶会は……」

「ここでねぇ、お夕飯も食べようって話になったんだよぉ」

「急でしたので、たいした物はご用意できませんが……」

『いいえ、貴方達はよくやってくれていますよ』

「そうそう! 杏栖ちゃんが羨ましいねぇ」

「まあ、二人とも、そんな事、おっしゃっても何も出ませんわよ」

既に着席していた深柑と杏栖と葉紫瑠は、すっかり仲良くなったようです。

「あ、さっきの幽霊?!」

「あれぇ、燐悟くん、葉紫瑠ちゃんと知り合いなのぉ?」

「知り合いって、その子は……え、葉紫瑠って、あの昔話の?!」

『先程は自己紹介もせず、失礼しました。ワタクシ、葉紫瑠と申します』

「こ、これは ご丁寧に、どうも……」

「もう! 挨拶は、いいから始めましょう」

「水華ちゃん、焼きもちぃ~?」

「違ぁ~う!」

水華と燐悟と深柑にとっては、いつもの夕食風景です。

でも、杏栖や葉紫瑠にとっては、初めての騒がしい晩餐なのでしょう。

『ワタクシ、こんなに楽しいのは初めてです』

「わたくしもです……。苫斗、弓利。給仕を終えたら貴方達も席に着きなさい。命令よ」

「 「 はい、お嬢さま 」 」

『ああ、そうでした。杏栖、貴女達の課題は“白砂漠の薔薇を探し出し、在るべき姿に戻す”ですわね』

「ええ」

『ワタクシから星を二つ差し上げます』

「葉紫瑠 姫、ありがとうございます」

『あと、出来たらでよろしいのですが、上のガーデンにもいくつか咲いた物を残してくれませんか』

「ええ、よろこんで」

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これまでのお話を下記にまとめてみました。

http://www.geocities.jp/samayou_katarionitati_no_mori/a_niko/osora_index.html

↑ ここからしか入れません ^^;

78話は、藤名瑞希くんです ^^



ちょっと早めに、お話だけUPです。

ブログ訪問は、夜に ^^

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2010/03/27 19:08
>藤名瑞希さん
 それは 彼らの課題なので、頑張ってもらいましょうw
 姫は、一刻も早く紅尊に会いたいでしょうから。。。 (◡‿◡✿)

 アドレスを拾っていたら、それだけで1ブログ使用すると言う事実に気づいた……^^;
 この分だと、100話を越えそうですねぇ~ ^^
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2010/03/27 18:05
葉紫瑠も人が悪い…w
…ん? これはまた何回か花を咲かせる羽目に…?w

おぉw 僕にはこう言うサイトを作ることは出来ないので助かります><b




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