<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (77)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/27 15:14:44
魔法陣に魔力を込めていた燐悟は、土の魔法陣を書き写しながら、小休止していました。
燐悟は、魔力を増幅させる魔宝石を持っていましたが、一人でやるには困難な作業です。
「人使い荒すぎだろ」
誰が、とは言いませんが、燐悟は一人の少女――水華の顔を思い浮かべていました。
「もう少し、俺の事も考えて欲しぃ……」
『でも、貴方は、水華が好きなのでしょう?』
「っ!! だっ、誰だ?!」
燐悟は慌てて辺りを見回しました。
通路の影に、見た事のない女の子が立っています。
「き、君は……」
驚いた燐悟は上手く喋れませんでしたが、女の子は気にせず続けました。
『貴方は、水華を愛しているのでしょう?』
「なっ、何を言って……そんな事は……」
『ワタクシは、ここから出る為に、水華の力を借りなければなりません』
「え?」
『日の光は、ワタクシのようなモノにとって毒なのです』
「はぁ……」
女の子の言う事がよく分からず、燐悟は曖昧な返事をしました。
『ご理解いただけてよかった。あら……うふふっ、邪魔者は みなさんの所に戻っていますわね』
女の子は にっこり微笑むと、空気に溶けるように消えてしまいました。
「きっ、消え……」
燐悟はその場にへたり込んでしまいました。
「遅い!」
「ぎゃっ!!」
「ヤダ、失礼ね。そんなに驚く事、ないじゃない」
「す、水華ぁ?!」
「見れば分かるでしょう?」
不機嫌と困惑が入り混じる複雑な顔で、水華が見下ろしています。
「い、今、そこに……いや、ごめん。気の所為だよな。あはは……は、はぁ~」
「ちょっと、大丈夫?」
そう言いながら、水華が手を差し伸べてきます。
燐悟は、一瞬躊躇して、でも、その手を取って立ち上がりました。
「まだ土の魔法陣も起動してないじゃない」
「いや、これは……」
「向こうでは、蕾石を置かずに待ってるんだからね」
言うが早いか、水華は魔法陣を作動させました。
「ほら、ぼぉ~っとしてないで戻るわよ」
「え、あ、うん。……ありがと、な」
燐悟が“俺の為に、ここまで来てくれて”と続ける前に、水華は歩き出しました。
「早く! 弓利がお茶を入れてくれるのよ。冷めたら入れてくれた人に悪いでしょう」
「はいはい、そうですね」
肩を落とした燐悟は、前を歩く水華の頬が少し上気している事には気づきませんでした。
水華達が戻ると、広場にテーブルと椅子が並べられていました。
「あ、やっと帰って来たぁ」
「お二人とも早く席にお付きになって!」
談笑していた深柑と杏栖が水華達に気付き、手招きします。
「何なの。この物々しいお茶会は……」
「ここでねぇ、お夕飯も食べようって話になったんだよぉ」
「急でしたので、たいした物はご用意できませんが……」
『いいえ、貴方達はよくやってくれていますよ』
「そうそう! 杏栖ちゃんが羨ましいねぇ」
「まあ、二人とも、そんな事、おっしゃっても何も出ませんわよ」
既に着席していた深柑と杏栖と葉紫瑠は、すっかり仲良くなったようです。
「あ、さっきの幽霊?!」
「あれぇ、燐悟くん、葉紫瑠ちゃんと知り合いなのぉ?」
「知り合いって、その子は……え、葉紫瑠って、あの昔話の?!」
『先程は自己紹介もせず、失礼しました。ワタクシ、葉紫瑠と申します』
「こ、これは ご丁寧に、どうも……」
「もう! 挨拶は、いいから始めましょう」
「水華ちゃん、焼きもちぃ~?」
「違ぁ~う!」
水華と燐悟と深柑にとっては、いつもの夕食風景です。
でも、杏栖や葉紫瑠にとっては、初めての騒がしい晩餐なのでしょう。
『ワタクシ、こんなに楽しいのは初めてです』
「わたくしもです……。苫斗、弓利。給仕を終えたら貴方達も席に着きなさい。命令よ」
「 「 はい、お嬢さま 」 」
『ああ、そうでした。杏栖、貴女達の課題は“白砂漠の薔薇を探し出し、在るべき姿に戻す”ですわね』
「ええ」
『ワタクシから星を二つ差し上げます』
「葉紫瑠 姫、ありがとうございます」
『あと、出来たらでよろしいのですが、上のガーデンにもいくつか咲いた物を残してくれませんか』
「ええ、よろこんで」
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これまでのお話を下記にまとめてみました。
http://www.geocities.jp/samayou_katarionitati_no_mori/a_niko/osora_index.html
↑ ここからしか入れません ^^;
78話は、藤名瑞希くんです ^^
ちょっと早めに、お話だけUPです。
ブログ訪問は、夜に ^^
それは 彼らの課題なので、頑張ってもらいましょうw
姫は、一刻も早く紅尊に会いたいでしょうから。。。 (◡‿◡✿)
アドレスを拾っていたら、それだけで1ブログ使用すると言う事実に気づいた……^^;
この分だと、100話を越えそうですねぇ~ ^^
…ん? これはまた何回か花を咲かせる羽目に…?w
おぉw 僕にはこう言うサイトを作ることは出来ないので助かります><b