Nicotto Town


藍姫の本棚♪


夢日記Ⅶ 『黒い雨にうたれて』 (下)

「天気が悪くなってきたから、早めに部活を切り上げたの。校舎
 に入ったら、いきなり包丁を持った生徒達に襲われて……」

「多分、夕食を作っていた子達だ」

「何とか逃げて、職員室に行って電話をかけようと思ったんだけ
 ど、電話も通じなくて」

「この雨だ。どこかで断線したんだな」

「ねえ、何が起こっているの?」

「僕にも分からない」

彼女と今後について話し合う間、生徒達には 講堂の舞台にか
かった緞帳《ドンチョウ》を外させる。

暖かくなってきたとは言え、雨の夜は寒い。
布団は全部体育館にあるのだ。

僕はふと思いついた事を口にした。

「なあ、この中に雨に打たれた者はいるか?」

全員が首を横に振る。

「……そうか。今回の異変、雨が原因かもしれない」

「雨が?」

「ああ、下校途中に雨に当たって戻ってきた者が暴れているんだ」

「まさか!」

「なぜ僕達は平気なのか考えたら、それしか思い浮かばないよ」

この考えが正しいなら、調理室に行った中にも、まともな生徒が
いた事になる。

助けに行くべきか?

だが、フミは包丁で襲われたと言っていた。
無事な者なんて、もう……。

「私達、どうしたらいいの?」

フミと生徒達が僕を見ている。

鬼は、僕達を探しているのか、殺しあっているのか。
講堂の外は静かだった。

僕の心は決まった。

「今夜はここに隠れていよう。明日、雨が止んだら歩いて助けを
 求めるんだ。さあ、体力温存だ。大丈夫、何とかなるさ」

強引に みんなを休ませると、僕は座ったまま扉をじっと見つめた。

僕なら一晩眠らなくても平気だ。
守らないと……彼女を、僕の生徒達を。






緊張で眠りが浅い、みんなを起こさないように、僕は扉に耳をつ
けた。

雨の音しか聞こえないが、鬼は息を殺して闇に潜むものだ。

「! つぅっ!!」

雨に濡らした方の手が、ズキズキと痛み出す。

手が小刻みに震えながら、無意識に彼女の細い首へと伸びる。

――ソノ細イ首ヲ 締メタラ、フミ ハ、ドンナ顔ヲ スルダロウ?

?! 違う。これは僕の意思ではない!

――フミ ノ 白イ肌ニ 血ノ赤ハ、映エルニ違イナイ。

駄目だ。よせ。そんな穢れた手で彼女に触るな!

僕は震える手を反対の手で押さえ込んだ。
心臓が脈打つリズムで手が騒ぎ出す。

やはり、毒の雨は僕の手も蝕んでいたのだ。

僕が理性を保っているのは、濡れたのが手だけだったから?
それとも、直ぐに洗ったから?

いっそ切り落としてしまいたいほどに、鬼の手が痛む。
苦しい。大声で泣き叫びたい。

多分、雨の中に飛び出して自分を失くしてしまえば、この痛みか
らは解放されるのだろう。
そうして、今度は僕が彼女達を襲う鬼になるんだ。だが……。

僕の鬼が落ち着きを取り戻す。

人の指で彼女の涙の跡にそっと触れると、いくらか表情が和らい
だ気がした。

フミ……こんな鬼の手では、もう君に触れられないな。

再び、鬼の手が震え始める。
そうだ。僕には失くしたくないモノがある。

彼女達を守る為に 僕は、鬼を殺す鬼になるのだ。

僕は講堂を抜け出すと、夜の校舎を駆ける一匹の鬼人になった。
 
 ~ END ~
 
 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・
 
2008/5/20 に見た夢です ^^

講堂を抜け出して、夜の学校に出陣した所で目が覚めました。

いったい何をしているのか…… ^^;

夢の中の私は、特に男性になっている時ほど、攻撃的です。

女性も積極的なんですけどねぇ~ ^^;




今日は、もう力尽きてます。なぜ火曜日にこんな疲れが……。

眠くてモーローとしながらのUPです ^^;

駆け足ステプで、伝言板にメッセージを残していきます。



ああ、誤字脱字が 沢山ありそうで 怖いなぁ~ ^^;

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2010/04/01 22:16
>ゴキブンさん
 黒い雨は、今回の夢だけにとどまりません。
 私の夢の中では、割とメジャーな天候です ^^;
 大抵、いい事は起こりませんねぇ~
 どんな組織が絡んでいるのか、夢の中の“僕”には分りません ^^;
 戦う事になるのかは……私にも分りません ^^
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2010/03/31 21:03
見えない敵や悪意を黒い雨に感じました
組織的犯罪は、本人や周りにのヒトに分からないよう
じわじわと本人を悪意をもって追い詰めていきます
目的は、ターゲットを追い詰め、自ら破滅させることです
怖いですね、黒い雨
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2010/03/30 22:10
>ちゃあさん
 にゃははっ、ここまでなんですぅ ^^;
 彼らがどうなったのかは、自分でも想像できません。

 寝不足が一番の原因だと ^^;
 早寝しようと思います。
 ブログは明日 じっくり読みに行きますね ^^
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2010/03/30 22:05
つ、続きはないんですか!?
やっぱり読んでいて楽しかったです^-^♪

体調不良大丈夫ですか?
無理はしないでくださいね><
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2010/03/30 22:03
>ちゃいかさん
 鬼になってしまった人達が どうなったのか?
 僕は、どこまで正気でいられるのか?
 ジャンルは、ホラーでしょうか ^^;
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2010/03/30 21:58
これは、いわゆる続きを語られるべき物語ですね。
ラヴクラフトが、夢をきっかけに一篇の物語を紡いだように・・・




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