Nicotto Town


藍姫の本棚♪


夢日記11 『かくれんぼ』 (1)

こんな夢を見た……。
 
 
 
町の外れの小高い丘の上に、大きな屋敷が建っている。

ここが私のお家。
幼い頃から体が弱かった私にとって、ここは世界の全てだった。

父様も母様も使用人達も、みんな優しくて、私は幸せだった。

明日は、私の16歳の誕生日。
生まれて初めて 麓の町に連れて行ってもらえるので、私は興奮
して、なかなか寝付けなかった。

やっと眠りについた時には、随分と夜は更けていた。





夜明け前。
どこかで、ガタンと音がした。
眠りの浅くなっていた私は、目を覚ます。

また、物音。
私は布団から抜け出すと、障子を開けて廊下に出た。

再び、ガタン。
どうやら両親の部屋から聞こえているらしい大きな音に、たくさん
いる使用人達が誰も出てくる様子がない。

不思議に思いながら、私は、ゆっくりと長い廊下を歩いて、両親
の部屋へ向かった。

「父様、母様」

障子の前で声をかけたが、返事はない。

仕方なく「入ります」と断わって、障子を開ける。
が、布団に両親の姿はない。

私は部屋に入って「父様、母様?」と呼びかけた。

部屋の中は、どこからか差し込む月光で青白い。
水の中にいるように幻想的だ。

ゆっくり視線をめぐらせた私は、空いていた襖の向こうの部屋を
覗き込んだ。

なぜか、その部屋は赤い花柄で統一されていた。
床も壁も天井も。そして……。

こころなしか生臭いような?

臭いの元を探して見回すと、部屋の端に赤い塊が落ちていた。
何だろうと近づいた。それは まるで赤い人形だ。

人形……じゃない!

よく見ると、それは人間だった。
父が 母をかばうように折り重なって倒れている。

「父様? 母様?」

私はフラフラと近づくと、膝を付いて横に座り込んだ。
両親の体は、既に熱を失っていた。

私の手は、血で赤く染められている。
青い光の中で、奇妙にその色だけが赤い。

これは何? どうなっているの? 何でこんな事に?

他の部屋では、バタン、バタンと音がしている。

私は、夜盗が入ったのだと思った。

きっと、みんな死ぬ。いいえ、もう、死んでしまったに違いない。
だから、誰も出て来なかったんだ。もうすぐ私も殺される。

私の中で何かが壊れた。

私も、早く みんなの所に行きたい。
だって、一人ぼっちは寂しいから……。

私は、冷たい両親の横で、子供のように微笑んでいた。



 


物音がやんで、どれくらい経っただろう。
誰も 私を殺しにくる気配はない。

私は、ゆっくりと立ち上がり、廊下へと出た。
家の中の空気は寒々しくて、私の知っているものとは違っていた。

でも、どこかの部屋から夜盗が飛び出してきても、怖くはない。
みんなの所に行けるのだから……。

長い廊下の先に青白い光が差し込んでいた。
雨戸が開いていて、そこから光が入っているのだと気づく。

その光の中に誰か倒れていた。
近づくと、それは使用人の女性だった。

私は近づくと、うつぶせに倒れていた彼女を抱き起こした。
血が私の着物を赤く染め上げた。

年が若くて、私にとって姉のような存在の女性。

頬に触れると ほのかに暖かかった。
冷え切っていた私の手に、忘れていた温もりが伝わってくる。

と、彼女が目を開けた。
もう、呼吸をする事も出来ないほど、彼女の胸は切り裂かれてい
たが、何か必死に伝えようとしていた。

ただ空気が漏れたような音。それでも確かに聞こえた。

「ちぃちゃん、早く、逃げて」と。

「あ……あぁ、ねぇや」

虚ろだった私の目から、涙が零れ落ちた。

同時に、こんな酷い事をした者への怒りが、湧き上がる。
でも、今は、彼女の命の炎が急速に消えていくのを、私は泣き
ながら見ているだけだった。

と、外で何者かの気配がした。
私は、座敷にあった家宝の日本刀を取り、庭へと飛び出した。

太陽が昇る前だったが、辺りは すっかり明るくなっていた。
見回すが庭には誰もいない。

でも、強い視線を感じる。
まるで抑えつけるようなプレッシャー。息が……苦しい。

私は、バッと屋敷の屋根の上を振り仰いだ。
そこには一人の男が立っていた。

背が高く、着物の上からも分かるくらい整った体つき。
髪は長く、白髪というよりは白銀色だった。
年の頃は 25・6だろうか?

花のような赤い模様が入った白い着物を着ていた。

……赤い模様?

よく見ると、それは血だった。
こいつが みんなを殺したのだと、私は、やっと気がついた。

「なぜ……殺した」

私は、刀の鞘を投げ捨て、剣先を男に向けた。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

Ⅹと同様に血なまぐさいです ^^;

この頃(1999年)に、自分に何があったのか、もう憶えては

いませんが……。




やっと勝ったw

久々に見ごたえがありました ^^

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2010/04/29 21:55
>スイーツマンさん
 夢診断すると、健康面や精神面に要注意と出る事が多いです ^^;
 確かに、考えすぎてしまう時と考えなさすぎな時の波はスゴイですけど。。。

 本物は見た事がないんです。
 モニター越しに見るだけでもため息が出ます。
 刀は、女性なのでしょうか?
 よく山も女性の立ち入りを嫌うと言いますよね。
 それに関しては、山神が女性なので、と言う話を聞いた事があります。
 どちらにしても、酔った勢いや すぐに感情的になって使うような人には 近づけない
 方がいいのでしょうね。大事にしてあげてくださいね ^^
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2010/04/29 21:31
日本刀を複数所持しています。父の形見ですけれど誰にも触らせません。親族は酒飲みが多く、もつと気が大きくなり危険なためです。(笑) 刀は女性を嫌うともいわれているため、結果として私がお世話をしています。
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2010/04/29 21:26
だいぶ理不尽にお怒りのご様子
ストレスの原因が去ったようで何よりです
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2010/04/28 19:49
>ゴキブンさん
 山の上の武家屋敷のような大きな家です ^^
 黒髪で和服、着てましたよ。
 家も生活形式も和風でした ^^

 日本刀は家宝です。あ、勿論、リアル我が家にはありませんよぉ ^^;
 地主……だったのかなぁ~。裕福ではあったようです。
 藍姫と“私”は、別人ですよ (◡‿◡✿)\(゚Д゚,,)(分ってるって!
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2010/04/28 19:42
>ちゃいかさん
 夢は、いつもカラーなのですが、中でも一番 印象的な色が“赤”です。
 大抵は血の色で、自分の物ではありません。
 今回の夢を見た時、怖くなって「急いで話さないと!」と思いました。
 悪夢は、午前中に人に話さないと本当になると言う話を思い出してしまったのです ^^;
 最終的には、怖いと言えるのか分らない方向へ行きますが……。
 この時点では、皆殺しの世界に いきなり放り込まれた16歳の少女なので、恐ろしさと
 怒りで精神のバランスが崩れています。
 その狂気も、現実の私には恐ろしかったです。
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2010/04/28 19:32
藍姫さんの夢に出てくる家は大きいですね
しかもお手伝いさんまでいるなんて、すごい

日本刀を持った藍姫さん、かっこいいですが
なんで家に日本刀があったのだろう
ひょとして、地主の娘さんですか?
なんて考えてしまうスチエーションですね

今日の続き楽しみです
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2010/04/27 23:04
怖い夢ですね。
藍姫さんの夢の話は、こんな夢が見られたら、眠るのが楽しいだろうなと思うものが多いですが、
これは見たくないな。
後ろを振り向きたくないと、思うような話を書くのは難しいとよくいわれますが、流石の文章力ですね。
かくれんぼ というのは、恐怖小説作家に好まれるモチーフですが、どう繋がっていくのか楽しみです。
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2010/04/27 21:58
>3スカーラさん
 このタイトルは、今回の虐殺の発端になる出来事を……と、これ以上は内緒です ^^
 男が何者なのか 分った時に判明します。
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2010/04/27 21:50
なぜ「かくれんぼ」というタイトルなのか、それがわかるのが楽しみですが、何か怖い感じもします。




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