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藍姫の本棚♪


夢日記11 『かくれんぼ』 (3)

「美しい。お前には穢れなき新雪の白と、愚者の流す鮮血の赤
 がよく似合う」

男は、嬉しそうに私の姿を眺めた。

私は、自分の姿を改めて見直した。
返り血に染まった私の姿は、まるで悪鬼そのものだ。

ふと、私が斬った兵士達にも家族がいるのだと思い出し、胸が
痛んだ。

でも、もう戻れない。

男は、そんな私に「ここまで来てくれると思っていた。もう、お前
には、私しかいないのだから」と言った。

私は、男に斬りかかった。
が、男は余裕で刃をかわすと、天守閣の窓から屋根へ出た。

もしかすると、ここにおびき出されたのは……私?

嫌な考えを振り切って、私は外に飛び出した。

私は、刀を一振り、二振り。男は軽く避けていく。
足場の悪い屋根の上で、私は刀を振り続ける。

腕が重い。息も上がる。

でも、ついに屋根の端まで男を追い詰めた。
私は、渾身の力をこめて、刀を振り抜いた。

手に肉を断つ衝撃が……無い?

男がいない。下へ、落ちた?
いいえ、違う。男は、少し上の所で静かに浮かんでいたのだ。

この男は、人間ではない。
やはり、私は、おびき出されたのだ。

男は、最初に見せた優しい笑顔で「ミーナ」と言った。

「お前は、やはり我が妻にふさわしい」

私は目を見開いた。

何? 今、何と言った? 私が……この男の妻?

「やはり思い出さぬか。ならば、ショック療法といこう」

男は右手を突き出した。
私の手から刀が弾き飛ばされ、体が屋根に倒された。

でも、男は空に浮かんだまま。私には触れていない。
見えない力が 私を強く押さえつけ、私の周りで瓦屋根が折れる。

私は痛みに悲鳴をあげた。

恐ろしさと どうにもならない事への悔しさで、涙が込み上げる。

男は、何か握るように手を軽く閉じ、上へと持ち上げた。
それに合わせて、私の体が上へ持ち上がる。

もう、抵抗する事も出来ない。
城のすぐ側には、海に流れ込む大きな川が流れている。
ここから下を流れる川へと落とされたら、敵も討てずに私は……。

男と私の間に、大きな影が飛び込んできた。
と、力が途切れ、私は屋根に落ちる。

顔を上げると、あの時の風来坊だった。
男の顔が見る見るこわばっていく。

「また貴様か。一族の面汚しめ、身の程を知れ!」

「遅くなってすまない」と、風来坊は私に言った。
大きな剣を前に構え、男の力を相殺している。

私は 倒れたまま、風来坊を見上げていた。

どうして、ここに? それに、あの男と知り合いなの?

風来坊の体が浮かび上がった。

ああ、そうか。この人も……人間じゃない。

二人の間で、先程とは比べ物にならないほどの力が渦巻き、光
が交差する。

爆発したように強い光を発すると、ふた筋の光となって、二人は、
川に落ちていった。

思考が停止する。自分の目で見た事が信じられない。
私は、ただ、ぼんやりと見ていた。

でも、何とか立ち上がると、私は、二人が落ちた川の岸へ降りて
いった。




 


う……そ、二人とも……死んだ?

しばらく見ていると、川の水を分けて立ち上がる者がいる。

風来坊だった。
私は、着物が濡れるのも かまわずに川に走りこんだ。

川の深さは、私の腰くらい。まだ水は冷たい。

向こうから歩いてきた風来坊の体を しっかり支えるように抱きし
めると、なぜかホッとした。

暖かい。私は、ずっと、この人を待っていた……?

考えて、私は驚いた。
でも、どうして、この人は、こんなに懐かしいのだろう?

すっかり疲れきって、意識も絶え絶えになった風来坊を 脇から
支え、私は岸に向かって歩き出した。

終わった。全て……終わった。

が、突然、私達の背後で力が膨れ上がった。

光に飲み込まれる。体が動かない。
私の手を離れた風来坊の体が、水に沈んでいくのが見える。

あいつだ。後ろから、あの男の気配が感じられる。

私の意識は次第に薄れ、最後の意識を手放す時、私は男の腕
の中に抱かれ、空を飛んでいた。

……どこへ行くつもりなのだろう。

私は、水に沈んでいった風来坊を思いながら、完全に気を失った。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

怖いのは、屍累々の屋敷を一人彷徨う事と 人を斬りまくった事。

どちらも、夢の中で我に返って、孤独や後悔や絶望で おかしく

なりそうでした。

いいえ、もう おかしくなっていたのかもしれませんけど。。。





最近、不調です。

暖かくならないのと、困った事があるのが原因かなぁと ^^;

強くなりたいです。体も心も。

あ、夢とは無関係ですよ。この夢は1999年の夢ですから。

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2010/04/29 22:02
>ゴキブンさん
 親の決めた婚約者が必ずしも愛する人とは限りませんよぉ^^
 父も母も普通の人間です。人間じゃないのは、むしろ、男と……。

 ぅふふっ、わかりませんよぉ~^^
 犯されるのは女性ばかりとは限りませんからw
 男性の方が、訴える事が出来なくて泣き寝入りじゃないのかなぁと思います。
 子供が本当に自分の子か、DNAを調べなくても分ると言う強みはありますよ。
 男系で家を継いでいく場合、そこは要注意ですw
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2010/04/29 21:31
ないないのですか。
じゃ、男は藍姫剣士の婚約者
殺された父上、母上は誰かが化けていた化けもどき
ん~なのかなぁ~
どちらにせよ、この世、犯すのは男で犯されるのは女性
ゴキブン、男でよかった
嫌いなヒトの子供を産まなくてすみます
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2010/04/29 20:16
>ゴキブンさん
 ない ない ^^;
 そんな展開には……^^;;
 ん~、なるのかなぁ~。。。
 でも、私なら“私”のような選択はしないと思いますけど ^^

 “私”の世界は和風でしたが、男の世界は また違う世界です。
 そこの所が、前回の夢とちょっと共通点? かなぁと ^^
 次の回で、題名の意味と男の正体が明かされます。
 正体って程、たいそうな話ではないですけど ^^;

 ハムぅ~ (´_`。)
 それもイマイチ元気になれない要因です ^^;
 あ、今日は勝ちましたよぉw
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2010/04/29 20:08
>ちゃいかさん
 夢に日本刀が出てくるのはレアなのですが、今回は重要アイテムでした ^^
 あれは綺麗ですよね。あくまで夢ですが、重量感もありましたよ。
 使ってみたくなると言うのも分ります。
 刀が武士の魂になったのは 平和な江戸時代で、それ以前はちゃんと(人斬りの^^;)道具として
 使われていたのでしょうから、刀としても そちらの方が本望でしょう。
 でも、実際にそれをしたら大問題なので ^^;

 神社仏閣が好きで、和物には惹かれます。
 お城に新刀。見に行きたいです ^^
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2010/04/29 17:26
おお、可愛そうな藍姫剣士
父、母のかたきに犯される運命
なんてひどい因縁なの
いっそ、舌を噛み切り自害されよ
なんて話になってしまいそう

昔の戦国時代にありうるお話ですね
姫の旦那が昔敵の国の大将の息子
自分の親を殺した大将の子供
後でそれを知った姫が愛と憎しみのなかで苦しむ
女性だけにありそうな苦しみです
最高の苦しみですね
肉体と精神を分けなければいけないです

暖かくなると、野球観戦できますね
日ハムがんばれー

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2010/04/29 16:43
わたくしごとで恐縮ですが、刃物とか日本刀とか大好きな人間でして、流石に日本刀を手に入れようとは
思わないですが、象嵌入りのナイフを集めたりする癖(へき)があります。
姫路城の天守閣の中でときおり、新刀の展示が行われるのをご存知でしょうか。あのあたりは、刀鍛冶の多い土地柄らしいのですが・・・。新しく打ちあがった刀が、ガラスケースの中で照明を浴びて青白い光を放っているのを見ておりますとね、また吃驚するほど優美で艶かしい曲線を感じさせる作があったりしますと、場所も場所ですし、もし、これが自分の持ち物だったら切りたくなるんだろうな~~と思ったりして。
妖刀伝説とか、人斬りの話とか、案外そういうところから、生まれたんじゃないかななどと思うのです。
まったく、よく判らない与太を書き綴って、申し訳ありません。




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