風華が舞っている。
ここは私のお気に入りの場所。

私は、座って花の王冠を作っている。
その後ろに控えるように、私の想い人が立っている。
向こうから歩いて来るのは、大好きな兄様。

私は二人に話し掛ける。無邪気に。

「かくれんぼをしましょう。もし、私を見つける事が出来たら、私
　は、その人のお嫁さんになるの」

そう、かくれんぼ……。
風景は次第に遠くなっていく。

私は、白い部屋の中で目を覚ました。
窓から入る潮風が気持ちいい。どれくらい眠っていたのだろう。

私は、いつのまにか白い異国のドレスを身に付けていた。

あれは……夢？
違う。あれは真実。幼い私が交わした約束。

私は、生まれた時から兄様の婚約者だった。

下級天神だった父は、生まれた娘を大王神の嫁にする事で、高
い地位を約束されていた。典型的な政略結婚。

でも、兄様は優しく聡明な方だった。私の憧れの人だった。

兄様には、他にも妻がいて、みんな優しく美しく、私も いつか兄
様のお嫁さんになるのだと楽しみにしていた。でも……。

私は恋をした。
いつも盾となり、私を守ってくれた人。
体の傷の一つ一つが、私を守る為に付けられたものだった。

でも、私達は身分が違った。
彼は しがない騎士の子。
私は 天上界最高の権威を持つ兄様の婚約者。

それでも、私達は、お互いに強く惹かれ合っていた。
私も寡黙な騎士も、けして口に出しては言わなかったけれど……。

今 思えば、兄様は、そんな私の恋心に気付いていたのだろう。
だから、私が言い出した“かくれんぼ”と言う賭けに付き合ってく
れたのだ。

私の拙い恋を終わらせる為に……。

私は、兄様を許す事は出来ない。許してはいけないのだ。
人間界で私を慈しんでくれた人間の両親を あんな形で失った
のだから。

でも、真実を知った今、兄様を憎み続ける事は出来ないだろう
とも思う。

一番 悪いのは、我が儘を言った私だ。
私が人間界に降りてこなければ、あの人達が死ぬ事は、なかっ
たのだから。

ふと、部屋の隅から視線を感じた。

そこに、あの男――兄様が座っている。
あの花畑の時と同じ優しい笑顔を浮かべて。

「シヴァ兄様」

「思い出したようだな、ミーナ」

兄様が穏やかな笑みを浮かべたまま、こちらに近づいてきた。

一瞬、全部、許してしまいそうになる。
兄様の目には魔力がある。魅入られては……駄目。

私はベットから飛び降りると「来ないで」と叫んだ。

「私は、兄様を許せません！」

私は今更ながら、服を着替えさせられている事に顔が熱くなった。

余裕を感じさせる程、兄様は、ゆっくりと私に近づく。

私は、部屋の外に飛び出した。ふらつく足で廊下を走る。
階下に続く階段は、全て封じられていた。

「それは今だけだ。やがて、お前は 私を愛するようになる。さあ、
　戻っておいで、ミーナ。ここにいるのは 私達だけだ。どこにも
　いけないよ」

兄様の声が響いた。

　・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

はい、やっと出てきました。『かくれんぼ』です ＾＾

兄様と“私”は、天界人 ＾＾；

どうやら、兄様のイメージは、シヴァ神ではないかと……＾＾；；

そこはかとなく、この世の終わりな感じです ＞＜

ちなみに、私の人間の時の名前は出てきません。

おそらく、ミーナと言うのも愛称ではないかと思われます。

字数の関係で、最終回を次に持ち越しましたが、恋人の騎士の

名前も出てきます。

そう、城に攻め込んだ時に助けに来た風来坊の彼です。

その人の名前は……次回にｗ





つ、ついに、イチゴ狩りで交換日記が出ましたぁ！！

これで心置きなく、河童に専念できますｗ

勿論、イベント終了まではイチゴを採りに行きますけどねぇ ＾＾