Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (99)

夕食の後片付けを始めようとしていた深柑に、水華が近づいてきました。

「深柑、話があるんだけど。内密に」

「いいよぉ。お皿、洗いながら話そっか?」

「うん」

隣の部屋では、燐悟、武瞳、織葡、火和が、課題の情報をまとめています。

その声をBGMに、深柑が洗った皿を、水華が乾いた布巾で拭いていきました。

深柑は、水華が話し始めるのを待っていましたが溜息をつくばかりです。

「……はぁ~」

「水華ちゃ~ん、話ってぇ?」

「うん、あのね……あまり気を使わなくてもいいからね?」

「え、気って??」

「さっきの事」

「あ、気付いちゃったんだぁ。ちょっとイラっとしたでしょ?」

嬉々として深柑は言いましたが、水華は小さく首を横に振りました。

「自分がつくづく情けなくなった、かな」

「え?」

「星歌いの間、燐悟の気持ち、少しずつでも考えようって思ったんだ。最後には答えを出せるように」

「やっぱり、燐悟くんに告白されたんだ」

「うっ、まあ、ね」

「そっか、そっか。ん~、でも、気持ちって考えるようなものかなぁ~?」

「だって、好きって、よく分かんないんだもん」

「一緒にいたいとか、喜ばせたいとか、守りたいとかじゃないかなぁ~」

「それなら、深柑に対してだって、そう思うよ?」

「えへっ、嬉しいなぁ。でも、それよりも、もっと強い感情なんだよぉ」

「だよね。で、今は そんな風に思えないから、せめて優しくしようって」

「うんうん、気持ちは伝わってきた」

「でも、ふっと不安になっちゃった。料理も出来ないし、可愛げもないし、なんで私なんかを……」

「ストップ! それは違うよぉ~」

深柑は、にっこりと微笑み、不安げな水華に、一言一言、噛み締めるように言いました。

「燐悟くんはぁ、水華ちゃんが水華ちゃんだから好きなんだよぉ。だから、そのままでいいんじゃない?」

「深柑……」

水華が「ありがとう」と続けようとした所に、ガチャガチャと食器がぶつかる音がしました。

見ると、食器を持った武瞳が立っています。

「あぁ、遅ぉ~い。もう終わるんだけどぉ」

「ご、ごめん。僕が洗うから……」

「いいよぉ。あたし達で やっておくから」

深柑は ふふっと笑い、武瞳から食器を受け取ると「もう洗う物ない?」と尋ねました。

「これで最後だけど、何か手伝う事ある?」

「じゃあ、全員分の食後のお茶、用意してくれる?」

「うん、分かった」

おどおどしていた武瞳が、快く、お茶の用意を始めました。

深柑が上手く武瞳を操っているのを見て、水華は密かに「これだ!」と思ったのでした。




 


お茶の用意をしながら、武瞳は、全く別の事を考えていました。

(燐悟、水華の事が好きだったんだ)

立ち聞きするつもりはなかったのですが、キッチンに入るタイミングを つかめなかったのです。

(聞かなかった事にするべきなのかな)

とんでもない秘密を知ってしまったような気持ちになって、武瞳はドキドキしました。

水華と深柑は、先程の話を止め、商品券で何を買うかと言う話題で盛り上がっています。

(水華は、燐悟をどう思っているんだろう)

あの水華が、誰かと付き合っているなんて想像もつきません。

「何? どうしたの、武瞳」

「え、いや、何でもないよ」

「こっちは終わったわよ。まだ、運んでなかったの?」

「六人分のティーセットは多かったねぇ。ワゴンがあるから使って」

そう言うと、二人は、先にキッチンを出て行きました。

武瞳が遅れて部屋に行くと、丁度、水華が仕切っている所でした。

「今後のスケジュールを発表するわよ」

全員の顔を見回すと、絵本を手にした水華は咳払いを一つしました。

「今日、閉店前にデパートに戻り、武瞳達の課題を片付ける。これは、私達も手伝うわ」

「商品券ゲットしようねぇ」

「うん。それもあるけど、エレベーターの魔力泥棒は、怪盗とも関係あるはず。同じデパートだしね」

「やっぱ、それ、やるんだな」

「やるわ。明日一日、怪盗から杯を守ればいいんだから、今夜中に私達が盗み出すって言うのは どう?」

「大騒ぎになりそうですね」

「魔法でレプリカを作っておけば大丈夫。それは手伝ってよね。私達はその足で森へ向かうから」

(強制?! 水華達が、僕達の課題を手伝うのは商品券目当てなのに……)

それって割に合わないのでは? と思いながらも、武瞳は頷くしかありませんでした。

  *★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*

班の中で気まずくならない為には、コレしかないかなぁとw

武瞳が どうするかは分かりませんが ^^;

次回は、ついに100話です ^^

藤名瑞希くん、よろしく~♪

アバター
2010/06/27 19:44
>藤名瑞希さん
 恋愛には疎くても、締める所は締めるみたいなw
 100話目、いっちゃってください ^^
 よろしくですw

 準レギュラーで回していかないと、水華チーム途中棄権って事に
 なりかねないですから ^^
 武瞳達にも頑張ってもらいましょう ^^
アバター
2010/06/27 01:44
流石強制力がある水華w
てか記念すべき100話をボクが書いていいんだろうか…w
畏れ多いw

恋愛色出しながら進めないとですね~^^
アバター
2010/06/26 21:31
>スイーツマンさん
 交互に書いているので、もうすぐ100話と言う実感はないです ^^
 実際、50話しか担当してませんしw
 主人公はお年頃と言う事で、恋愛エピソードです ^^

 疑問が一つ。
 高校生くらいの男の子って、付き合い出したら どこまでいきたいもの
 なのでしょうか?
 そこが分からなくて、書いていて不安だったりします。
 それが、水華の態度に出てしまうのもしれません ^^;
アバター
2010/06/26 21:23
久方ぶりに目を通しました。
おお、いま99話ですね。
魔法泥棒、怪盗いろいろでてきます。
主人公達は内輪もめ寸前?




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.