Nicotto Town


藍姫の本棚♪


夢日記ⅩⅧ 『逃避行』(1)

こんな夢を見た……。
 
 
 
「へい、動くなよぉ、子猫ちゃん。動けば 可愛いお顔にズドンだ
 ぜぇ?」

「ここまでだ。もう逃げ場はないぞ。ゲームオーバー、だな」

「……ふふっ、どうやら そのようね。二人とは、いいお友達にな
 れると思ったのに」

「お前と お友達なんて ごめんだね、キャッツアぁイ?」

が、その言葉に反して、女――キャッツアイ――に向けられた、
相棒の銃口が下がった。

「ロン?」

「はぁ~、悪いなぁ、アルぅ。お友達は勘弁だが、やっぱり 俺は、
 この女と組む事にするよ。相棒は、女の方が何かと楽しいだろ
 うからなぁ。残念だけどお前さんには……」

「!?」

僕が構える間もなく、ロンの銃が火を噴いた。

熱っ! いったい何が? ……あ、ロンに撃たれたのか?!

が、腹に感じる熱さが他人事のようで、僕はボンヤリとしていた。

「お前さんには、ここで死んでもらう事にするぜぇ?」

ああ、やはり、こうなるのか。
ここに女をおびき寄せた時、僕は どこかで こうなる予感がして
いたんだ。

だが、それでも、僕は ロンを……。

僕に止めをさそうとする相棒……否、元相棒に 女が妖艶に笑い
かける。

「待って、私にやらせて。こいつには散々 世話になったから」

「ああ、そうかい。いいぜぇ、キャッツアぁイ」

銃を受け取った女が、僕を見て小さく眉根を寄せる。そして……。

「アルフォンソ・セクト、貴方も諦めがついたでしょう? もう ここま
 で来たら仕方ないもの」

女の放った弾丸は、迷う事なくこめかみを打ち抜いていた。

消音機で消された発射音が、空気を振動させ、後には死体が一
つ転がった。

女が、本当のパートナーの下へと駆け寄る。

「アル、大丈夫? 傷を見せて」

「大丈夫だよ。“僕”が特異体質なのは、君も知っているだろう?」

「そうね、アル。……愛してるわ。これで貴方は永遠に私だけの
 もの」

僕は彼女を抱きしめ、耳元で囁いた。

「ああ、僕も君を愛してるよ。キャッツアイ……いや、ノイン」




ノイン・シュバイツァーは、僕達の組織へ単独で潜入し、機密を
持ち出した、通称“キャッツアイ”と呼ばれているスパイだ。

何処にでも忍び込み、確実に目標を捕らえる凄腕の女スパイは、
金さえ払えば何処にでも雇われる。

こうして敵対する前は、僕達の組織にも雇われていた事があるの
だから、まさに猫の目のように変幻自在な女だ。

対する僕とロンは、彼女を追跡し、機密を奪い返す為に組織から
派遣された実行部隊。

相容れないはずの僕達が、なぜ こんな関係なのかと言うと……。
まあ、詳しく話せば長くなるので簡単に言えば、お互いの素性を
知らなかった僕達は、人知れずプライベートで愛をはぐくみ、すっ
たもんだの末、結局、一緒になる決心をしたのだ。

勿論、この結論に至るまで、僕も彼女も随分と葛藤した。

でも、僕は、随分 昔に組織を信じられなくなっていたし、彼女は
一人でいる事の寂しさや辛さを感じていた。

何より出会ってしまったのだ。自分の半身とも言える存在に。

「アル、早く行きましょう」

「いや、ロンをどこかに隠さないと」

「……そうね」

「君が気に病むことはない。僕が甘かったんだ。君の言う通り、こ
 いつは、いい加減なヤツだった」

長年一緒に組んできた相棒だったし、組織の中では話の解かる
男だったから、殺したくはなかったが……。
ロンは あっさり僕を裏切り、殺そうとした。

僕は、勤めて明るい顔で、ノインの髪を撫でた。

「さあ、急がないと。後一時間で機密を取り戻し、君を死体にして
 戻らなければ、他の隊員が様子を見に来る」

「そうね。私、車を取ってくるわ」

「ああ、僕は、ロンを土にかえしておくよ」

「……アル」

「大丈夫。これからは、ずっと君と一緒だよ、ノイン」

「うん」

女は、男を翻弄するスパイ キャッツアイではなく、一人の恋する
娘、ノインとして、無邪気に微笑んだ。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

いきなり、死ぬかと思いました ^^;

でも、心のどこかで、大丈夫だと考えている自分もいたりしてw

“僕”とノインが、兎に角 熱々で、「欧米か!」とツッコミを入れたく

なりました。

“僕”は、私が支配しているんですけどねぇ~ (◡‿◡✿)






今日は、日本ハムも勝った事ですし、サッカーも頑張って欲しい!

今日のような時間なら、最後まで起きていられる……はず ^^;

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2010/06/30 20:23
>スイーツマンさん
 組織の下っ端なので忠誠心もなく、相棒も一緒に組む事が多いだけで
 友人でもなかったので、結局、女性を取ったようです ^^;
 兵士や武士は 同性愛で絆を深め、僧侶は 少年愛で悟りに到達すると
 言うような事は、何かで読みました。
 当人同士が了解しているなら、それはそれでいいのかなぁ~? ^^;;

 女性だと、かなりの高確率で友情よりも愛情です!(どキッパリ!)
 男性で、友情よりも愛情と言うと『こころ』と言う作品を思い出します。
 友人を出し抜いて、結婚。でも、それを悔いて自殺。。。^^;
 あれって、罪悪感を覚える必要はないのになぁと思います ^^;
 女性だって、告白されたら 誰でも好きになる訳ではないですから。

 ウナギ、いいですねぇ~^^
 今年の土用の丑の日って、いつなんでしょう ^^
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2010/06/30 06:34
『マルタの鷹』の男子であれば、女性を組織につきだしたでしょうね。
男子どもには、同性愛ではないところの、絆というものがあるらしいです。

 俗世の男。う~む。友情より恋かな。

 私は、コイよりウナギが好き。
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2010/06/29 23:13
>ゴキブンさん
 スパイと言いつつ、スパイ色は強くないです ^^;
 “僕”は……組織の軍部にいた事があるらしいですが、今は下っ端の実行部隊です。
 今回のように、特殊能力者と言う設定の夢は よく見ます ^^
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2010/06/29 23:08
おう、スパイのお話
参考になります
アルとノインはどうなるのでしょう
楽しみです




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