目が覚めたら、朝の六時半だった。

昨日、早く寝た所為か、これ以上はどう頑張っても眠れそう
にない。

僕は、インスタントコーヒーに砂糖を三杯入れると、一気に
飲み干した。

やけどした。咽喉の奥が少しヒリヒリする。

が、糖分が完全に僕の頭を覚ましてくれる。

モモが来る前に、部屋をどうにかしないといけない。

いや、僕にしては、この上ない程、片付いているのだが……。

ロクにおかしな物を発見されて、モモに暴露されないようにす
るのだ。

勿論、アレとか、ソレとか……。

考え抜いた末、アレやソレは、不要な物と一緒にダンボール
に入れて、クローゼットにしまう事にした。

実家から持ってきたが、結局、新しい生活には必要ない物
……冬用の衣類とか、古い卒業アルバムなどが入った箱は
全部で三つ。

念の為、宝物を埋めるように、衣服の下にアレソレを隠すと、
ガムテープでしっかり封をした。

赤マジックで“衣類！”と大きく書いておく。

これで完璧。

時計を見ると、まだ八時。

安心したら、腹がなった。

冷蔵庫を開けてみたが、中にあるのは牛乳だけ。

すぐに食べられそうな おやつの類もない。

最近、モモが夕食を作ってくれるから、チェックしてなかった
のだ。

面倒だが外に出る事にした。

よし、非常食のお菓子も買い足しておこう。




「うぅ～、寒っ！」

白い息が空気に溶けていく。

春だと言うのに朝晩は冷える。

僕は急ぎ足で、近所のコンビニに向かった。

モモに上げたポテチがあった店だ。

僕は、閑散とした店に入ると、真っ直ぐパンのコーナーにむ
かい、品定めを始めた。

う～ん、アンパンとジャムパン、それと……ヤキソバパンだな。

お菓子は、ポテチにエビセンにカール。ああ、それと甘い物も
欲しいよな。

飲み物は……ロクとベンに任せよう。後でメール打っとくか。

軍資金が飛んでいく。いつまでも仕送りに頼る訳にはいかな
いから、バイト、探さないと。

ふと、レジ横に置いてあったチュッパチャップスを見て、モモ
の顔が浮かんだ。

モモは、こう言うの好きそうだよな。

たくさんある中から、一本だけ選んで、僕は会計を済ませた。

恩返しの恩返し２だ。些細だけど。

家に帰って、パンを腹に詰め込むと、急に眠気が襲ってきた。

まだ九時前だし、仮眠しようかな。

僕は洋服のまま、ベッドに引っくり返った。




遠くで、ドアフォンが鳴っている。

誰か来たみたいだ。

今、何時だ？

頭がボンヤリしている。

時間は午後二時。
仮眠どころではなかったみたいだ。

ドアフォンは鳴らされ続けている。

あ、そうか。
モモは早く来るんだった。

僕は急いで、ドアを開けた。

「早かったね。モ……」

あれ、顔の位置にデカイ胸がある。

モモはいつの間にこんなに大きくなったんだ？

視線を上げていくと、不機嫌そうな姉ちゃんが立っていた。

「遅い！　いるなら、さっさと開ける」

僕を押し退けると、姉ちゃんは勝手に部屋に上がりこんだ。

「ふぅん、意外と綺麗じゃない」

「ちょ、ちょっと、姉ちゃん。何しに来たんだよ」

「かぁいい弟の様子を見に来たんじゃなぁい」

よりによって今日かよ！

姉ちゃんをモモに会わせる訳には……。

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イチゴの姉ちゃん来襲です。難関の一つですね。

無意識に、モモと二人の時間を少しでも長くする為に、友達二人

には遅い時間を教えたのに、台無しですねｖｖ