Nicotto Town


藍姫の本棚♪


苺と桃と。~猫の恩返し?~ ⑩

人……ではなく、猫がいいモモは、すっかり姉ちゃんに
懐いてしまい、仲良く晩餐の用意をしている。

勿論、家事不能な姉ちゃんは戦力にはならないだろうけ
ど、家事万能なモモは上手くやっている。

姉ちゃんは、一応、僕の説明を理解してくれたようだけど、
どこまで信じているかは疑問だ。

事実とはかけ離れた世界を展開して、台本のネタにされ
るのも困るけど……。

「サトル、お友達はいつ来ますか?」

「七時だよ」

「まだ時間がありますね」

「そうだね。ちょっと休憩にしたら? もう料理は出来たん
 だろう」

「はい」

「じゃあ座って。僕がお茶、入れるから」

「ありがとうございます」

「ふ~ん」

「ぅわぁあっ!!!」

いけない。姉ちゃんがいたのをすっかり忘れてたよ。

「すっかり二人の世界ねぇ~。二人の世界ねぇ。イチゴ、
 あたしにもお茶ね。あぁ~あ、モモちゃんみたいな子が
 妹だと、いいでしょうねぇ?」

「だから、モモは猫なんだって」

「ねえ、モモちゃん、ウチの子になっちゃいなさいよぉ~」

「え、でも……」

モモが困ったような顔で僕を見る。

それは、僕も考えた事だったので、一瞬、モモの援護に
入るのが遅れてしまう。

姉ちゃんは、僕が言いたくても言えない事をズケズケと
口にするのだ。

答えを聞きたいような気もするけど……。

「やめろよ。モモは飼い主になった人に恩があるんだから」

「恩、ねぇ? その飼い主さんって、いい男なんだ」

「トモは……優しい人です。大きくて、広くて、大好きです」

モモが、一生懸命に、でも、言葉足らずに飼い主を説明
する。

僕の頭の中では、何度も同じ言葉が繰り返されていた。

 大好きです。
     大好きです。
         大好きです。

目の前が真っ暗になって、奈落に突き落とされたような
気分だ。

「いいわよねぇ。家事万能な人型猫、か。あたしも一匹
 欲しいわ」

「いいえ、この姿は一週間限定なのです。人に化ける為
 には、すごい魔力が必要で、私は、まだ未熟なので、
 一度猫に戻ったら、次に化ける魔力が溜まるまでに四
 年かかってしまいます」

「よ、四年も?!」

「四年に一度だなんて、オリンピックみたいねぇ」

「でも、普段は人に姿でいる意味はありませんから、もう
 人の姿になる事はないと思います」

「そっか。結局、猫は猫として生きるのが一番かぁ。猫に
 戻っても声かけてね」

「はい、オネエサマ」

楽しそうな女同士に対して、僕は落ち込む一方だ。

胸のモヤモヤが湿った嘆息となって、僕の周りだけ雨雲
でドンヨリ覆われている。

「ちょっと、お茶はどうしたのよぉ。何よ、これ。冷めちゃっ
 てるじゃない」

「これはモモのだからいいの。姉ちゃんは自分で入れなよ」

「ご機嫌斜めねぇ?」

別に、モモと姉ちゃんが仲良くなって、疎外感を感じてる
からって、僕が機嫌を悪くする理由はない……はず。

物には当たらないように、静かにモモの前にカップを置く。

と、僕を見上げたモモの目は、笑っていなかった。

口が物言いたげに少しだけ開く。

そこに友人の来訪を告げるベルが鳴った。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

やっと、ベン&ロクの登場です。

姉ちゃん襲来で出番が遅れてしまいましたが……。

やっと、モモの飼い主(?)の名前が出てきました。

今の所、直接係わらない予定ですが、イチゴにはヤキモキ

してもらいましょう♪

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2009/03/04 22:34
>3スカーラさん
 飼い主 トモさんについては、イチゴ視点では話だけの
 登場です。
 一人称だと、その人が見た物、聞いた物、感じた物しか
 出てこないので、別の人物の視点も組み込んでみよう
 かと思っています。トモさんは、その時に。。。

 やっと主だったメンバーが勢ぞろいします。
 長い話を書くのが苦手なので、そろそろ、どう最後に
 持っていくか考えていかなくては……です。
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2009/03/04 19:35
前にも書きましたが、「飼い主のトモ」ってどういう
ひとなのでしょうね。普通飼っていた猫が
いきなり人間になったりしたら、びっくり仰天して
しまいます。なんで、こんなに落ち着いていられる
のだろう。

ベン&ロク登場でいよいよキャスティング終了、ですね。
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2009/03/01 21:07
>十里瑞希さん
 了承が取れたという事で、女の子キャラでww

 せっかくなので『苺と桃と』の次回作で登場させようと思います。
 私も、魔法ドーンってファンタジーを書きたくなってきました♪

 え、え、少女漫画? 誰だろう??
 『花ざかり~』の芦屋くんしか思い浮かびません。
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2009/03/01 17:28
あえて女の子w
逆にありかもw

藍姫さんは魔法の旋律のほぼラストに出てきそうな感じになりました(決め早っw

てか瑞希ってもともと少女マンガの主人公から取った名前…(ぇw
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2009/03/01 14:34
>十里瑞希さん
 ありがとうございますw
 私もOKです。と、言うか光栄ですww

 わぁ~、どんな人につけよう。。。
 思い切って、女の子にしちゃおうかな。
 “瑞希”っていい名前ですよねwww
アバター
2009/03/01 14:07
もちろんいいですよ~w
それなら僕も借りていいかな? …かな?w
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2009/02/28 21:44
>十里瑞希さん
 恋愛の成就に困難がなければ、恋愛小説はもっと
 数少なくなってしまうのでしょうね……。
 イチゴは鈍いので、何かないと自分の気持ちにも
 気付きそうにないので、いじめておりますw

 トモは、チョイ役ですが、名前を考えるのが苦手な
 私が“ある方”の名前をお借りして、名付けました。
 一応、彼は今回初登場です。
 フルネームだと分かるのですが、今の所、出てくる
 予定はありません。

 えっと、いつか、瑞希さんのお名前も借りていいで
 しょうか?
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2009/02/28 03:03
うわぁ…w
イチゴかわいそw
でもこれが乗り越えなきゃいけない試練なんですねっ(ぇw

トモ…でしたっけ。
確か前回か、前々回か、そのまた前かに出てきてたような…(ぇw
名前だけ見たことがある気がしますw




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