私の父方の一族は、大昔から奇妙な力を持っていた。
それは、肉体の部分変化だったり、発火能力、浄霊など様々だ。

長い歴史の中で、特に私の祖父 エドワード・クロスは、一族の
中でも稀有な力を持つと言われているけど……。

私にとっては、会うのは年に数回の遠い人。
どんな能力を持っているのかだって、知りもしない。

なぜなら、一族の反対を押し切り、庶民出の母と結婚した父は、
私を一族から遠ざけてきたのだから。

でも、母が亡くなり、父も後を追うように他界すると、特殊な血を
引く私を一族が放っておかなかった。

ちなみに、私の力は、言霊による自己強化。（または、自己暗示
か、自己啓発？）
言霊……と言っても、言った事を本当にするには、足を踏み鳴ら
す――つまり、歩かなくてはいけないんだけどね。

これ自体は地味な力で、私自身は、そんなにすごい事は出来な
いけれど、一族の中では力を使いこなしている方だと思う。

ただ一つ、問題があるとすれば、私の力は発動に時間がかかる
のだ。無理難題であるほど、歩数が増えるから。

その所為で、我が一族が担ってきた“仕事”を一人では出来な
いのが難点ね。

半端者に回ってくるような仕事なんて、そうそうないから、私は、
今まで通り、普通の生活を楽しんでいるけど。

うん、そう言う意味では、悪くない力なのかもしれないわね。

時々、今日のように おかしな連中が仕掛けてくる事があるけど、
自分の身くらいは守れるから問題ない。

屋上に辿り着いた私は、最後の一歩を踏み込む為に、低いフェ
ンスを越え、縁に沿って走った。

化け物が現れたのと、床が光ったのは、ほぼ同時。
今まで立っていた場所に女の髪が迫り、私は屋上から跳躍した。

不可視の翼で空に。それが三つ目の言霊。

得物がない私には、この化け物は倒せない。
でも、ここでやっつけない限り、何処までも追ってくるだろう。
無敵モードになっている今なら、拳だけでもやれるかもしれない。

私は、化け物を捕捉できる場所にとどまった。
高い所から狙う方が有利に……。

「げっ、嘘でしょう？」

化け物の背がコブのように盛り上がり、蝙蝠のような羽が生えて
きたのだ。

服もボロボロ、体も膨張。
かなり不恰好だったが、ゆっくりと女の体が浮かび上がる。

その姿は、もう女とは言えないかもしれない。強いて言えば、人
型の怪物か。
唯一女性を感じさせる長く伸びた髪が、水に揺らめくように広がっ
ている。

……水死体みたい。気持ち悪い。
ええい！　びびるな、私！！

先手必勝で、私は怪物に体当たりをした。
後は、無我夢中。滅茶苦茶に連打する。

私の懇親の右ストレートに相手が吹っ飛んだ。が、辛うじて、空
中に留まっている。

どうしたものだろう。やはり、出力不足か。
こんな時、一度 地面に下りなければ、私の力は使えない。

ああ、どうして、この腕に岩をも砕く破壊力を宿らせなかったのだ
ろう。
実践不足の判断ミスが、こんな所に祟ってくるなんて……。

と、少し後悔していると、後ろから含むような笑い声が聞こえてき
た。

「苦戦しているようだね、お嬢さん？」

満身創痍の化け物からも目を離さないようにしながら、私は後ろ
を振り返った。

「あ、ただの通りすがりの人？！」

空中の見えない椅子（文字通り空気椅子）に座って、長い足を
組んでいたのは、女子トイレの男だった。

今更だけど、この人も人間じゃないようだ。
化け物の仲間？　だったら、最悪。

ゴウッと風と共に、熱いエネルギーの塊が 私の横を通り過ぎる。
化け物の体が弾けて、最初から何もなかったように霧散した。

助けてくれた？　それとも……。

「私も殺すの？」

　・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

魔法と一言で言ってしまうと、杖を使って、呪文を唱えて、生贄を……

と、いろいろな形式があるのかなぁと思います。

でも、結局、魔法って何なのだろうと考える事があります。

いえ、頻繁に考えています ＾＾；

その為か、夢では魔法を使える人になっている事が多いですねぇ～。

あまり使えない力だったりもしますが ＾＾；





８月も終わると言うのに、今日は、30度超えの熱さでした ＾＾；

私の住んでいる所ではありえないです ＞＜

お盆を過ぎれば、秋だったのに。。。

やっぱり異常気象なのかなぁ～。

太陽は極小期に入ったんじゃないのかなぁ～。

今夜も寝苦しそうです ＾＾；