Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの?(115)

深柑の風魔法で飛ばされながら、燐悟は意外に落ち着いていました。

滅茶苦茶なように見えて、深柑の魔法のコンロトールは見事なものです。

木々よりも高い所に出てからは、ふわふわと綿毛が舞うように、ゆったりと飛んでいました。

そこから、霧に覆われた森の全体が見渡せます。

進行方向とは逆、つまり、さっきまでいた所に、一本だけ異常に高い木が生えていました。

「あの大きな木が、深柑達のいる所か」

燐悟は、帰り道を失わないように方角を確認して、今度は前を向きました。

深い緑と、白い霧がどこまでも続いているように見えます。

「水華は どの辺だろうな。こう広かったら簡単には……」

と、その時、左前方で火の柱が立ち上がりました。

柱は、ぱっと花が咲いたように広がって、微かな余韻を残して消えました。

「あれは俺が書いた魔法陣? 水華か?!」

燐悟は、小さな魔法陣を起動させて、進路を変えると、火の柱があがった方へ向かいました。




水華は、いくつか実験して、森に危害を加えると幻が現れる事を知りました。

幻は、直接 危害を加えてはきませんが、お蔭で すっかり道を見失ってしまった。

水華は「でも、森で魔法を使う事は可能」と、自分に確認するように言いました。

それは、来た当初から分かっていた事です。

「この森の中では水の要素が強い」と、燐悟が紙に描いた魔法陣を取り出しました。

魔法を起動させる鍵の一つとなる魔法陣には、火のシンボルが含まれていました。

燐悟は、確か「花火みたいになる」と言っていたはずです。

呪文を唱えて、魔法陣の力を解放すると、細く真っ直ぐな火の柱が伸びました。

水の要素が強すぎて、火が か細くなってしまうのでしょう。

でも、木々の頭を越えた辺りから、急に火力が強くなって、パッと花火が開きました。

「ふぅん、森の上空は、水の影響下にないみたいね」

水華が、そう呟いた瞬間、空から人が降ってきました。

「……もしかして、燐悟?」

「水華?! 無事か?!」

森の魔法が起動したのでしょうか? それとも、本物?

様子を窺う水華に、燐悟らしき人影が駆け寄ってきました。

「大丈夫か? 少しでも、この森を傷つけると幻覚の魔法が発動し……」

「知ってるわ」

「そ、そっか。じゃあ、とりあえず、一緒に深柑達の所へ……」

「ねえ、こんな所で何してるの?」



 


水華の問いに、燐悟は首を傾げました。

この水華は本物でしょうか? もしかして、幻覚?

「何って、水華を助けに来たんだけど」

「課題は? 終わってるの?」

水華にキッと睨みつけられて、燐悟は たじろぎました。

「え、いや、まだ……」

「じゃあ、あんたは偽物よ!」

「ぅえぇぇっ?!」

「私の知っている燐悟は、自分のすべき事を途中で投げ出すような 情けない男じゃないの!」

「っ!!」

思わず言葉を失った燐悟は、目の前の水華が本物だと確信しました。

「私の事を誰よりも信頼しているから、こんな所に私を捜しに現れたりしないわ!」

暗に“私を信じてないの?”と尋ねられ、燐悟はドキッとしました。

水華の力は、燐悟が一番よく知っています。

「本物の燐悟なら、自分の課題を終わらせて、私を待っているはずよ!」

肩を落とした燐悟は「そうだな」と呟きました。



 


少し言い過ぎてしまったでしょうか?

でも、水華は、王子さまの助けを待つ お姫さまではありません。

常に男の子の後ろを3歩下がって歩くような か弱い女の子でもありません。

時には後を、時には先を、でも、大切な人とは並んで歩いていきたいのです。

そう、水華は、とっくに燐悟が本物である事に気付いていました。

「さてと、燐悟が反省した所で、深柑達の所に帰りましょうか」

「……え?」

「私は、さっき キノコを見つけたわよ。魔法検索で、キノコの生える木を探したの」

水華の手の中には、小さな茶色いキノコが一株ありました。

「どうやって帰ろうかと思ってたけど、ヒントは燐悟がくれたから……ね」

水華は、人差し指を一本立てて、微笑みました。

  *★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*

115話をUPです ^^

水華と燐悟しか出てません ^^;

きのこを探す課題は、強引にクリアさせました。

魔法が使えるのに闇雲に探す訳ないかと、気づきまして ^^;

116話は、藤名瑞希くんです ^^

ヨロシクw

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2010/10/30 19:47
>藤名瑞希さん
 水華が焦るのは、不測の事態が起こった時でしょうねぇ~^^
 私の中では、割と手回しがいいと言うイメージが出来上がってます ^^;

 来てくれて嬉しかったんだろうなぁとは思うよぉ ^^
 燐悟の魔法陣にも助けられているしねw
 何時だったか 水華が瓦礫の下敷きになった時、燐悟が「水華なら大丈夫~」
 的な台詞を言った事があって、あれが今回の水華の「誰よりも信頼~」発言に
 繋がってます ^^
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2010/10/30 00:02
流石水華w
転んでもただじゃ起きないw

そ、そか…そりゃそうか…
なんかボクが怒られた気分さ…(´・ω・`)
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2010/10/29 19:42
>スイーツマンさん
 伊達にチームリーダーはしていないと言う事でしょうねぇ~^^;
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2010/10/29 19:39
水華は元気がいいですね




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