Nicotto Town


藍姫の本棚♪


夢日記38 『嵐の後の・・・』

こんな夢を見た……。
 
 
 
窓を揺らす風が激しさを増す。嵐が近づいているようだ。

やつは来るだろうか?
おそらく来るだろう。執念深い男だから。

怖がる娘達を屋敷の地下室に隠し、私は鎧に身を包んだ。

と、窓が割れる音。一階だ。
急いで、そこへ向かうと、馬に乗った男がいた。

……やはり来たか。

私は隠れて様子を窺った。
どうやら、いつものように取り巻きも二人連れているようだ。

あいつは、私の所属する隊では上官にあたるが、尊敬には
値しない男だ。

貴族だと言うだけで取り得もない男だが、この国では家柄が
全て。が、特に、やつは酷い。

親の金で買った地位を 自分の実力だと自惚れ、部下の手
柄も平気で奪うのだ。

男は、馬に乗ったまま、我が屋敷の一階を踏み荒らしながら
「下賤なくせに」と呟いている。

その言葉を聞き、カッと熱くなった心を静めながら、私は亡き
妻を想った。
 
 
それは下の娘が生まれて間もなくの事。

妻に懸想していた男は、私の留守に屋敷に押しかけ、妻に
言い寄ったのだ。

が、拒まれ、その腹いせに剣を用い、私から妻を、幼い娘達
から母を奪った。

男の父は、国の重鎮。
当たり前のように男が不問にされた時、男は言ったのだ。

「下賤なくせに逆らうからだ」と。
 
 
一階の調度品を壊してスッキリしたのか、男は、取り巻きども
を連れて外に出た。

どうやら、屋敷に火を放つつもりらしい。

取り巻き達が散っていき、男が一人になったのを見計らい、
私は表に出た。

「おい、どこを見ている。私は、ここにいるぞ」

「貴様、誰に向かって口を聞いている!」

私は、無言で矢をつがえ、男に向けて解き放った。
兜を跳ね飛ばし、慌てふためく男の顔が顕になる。

「な、何をする?! こんな事をして、ただで済むと思ってい
 るのか!」

「私は、今日限りでこの国を捨てる。だが、妻の敵を生かして
 おいては、遺恨が残るのでな。覚悟しろ!」

「ひいぃぃい!」

馬の口を反そうとする男を目掛け、第二射を放つ。
矢は深々と男の咽喉に突き刺さった。

馬から落ちた男は、目を見開いたまま絶命していた。

妻の敵を打ったと言うのに、喜びは沸いてこない。
こんな事をしても、彼女は戻ってこないからだ。

胸に穴が開いたような 空しい気持ちのまま、男の死体を屋
敷へ運び、転がしておく。
これで、少しは時間を稼げるだろう。

私は、娘達の待つ地下室へと戻った。
屋敷には火の手が上がり始めており、あまり時間はない。

「父さまぁ」

「お怪我は?」

「大丈夫だ。抜け穴を通って、安全な場所まで行こう。服を
 着替えなさい」

二人の娘は、華やかなドレスを脱ぎ、町娘の姿に。
私は、重い鎧を脱ぎ、町人の姿に変わる。

「ご先祖さま、受け継いだ物を ここに全て置いていきます。ど
 うか、我らをお守り下さい」

僅かな路銀と短剣だけを装備して、今年、4歳になる下の娘
を抱き上げる。
上の娘が、隠し扉のスイッチを押し、灯りを手に 私達を先導
した。

緊急避難用の抜け道を通り、外に出ると、屋敷の辺りが赤く
輝いている。

「父さまぁ、お屋敷が……」

家族の思い出が染み込んだ屋敷が、今、燃えているのだ。
次々と失われていくものの多さに、不甲斐なくて涙が込み上
げてくる。

「ああ、こんな事になって済まない」

「いいえ、私達なら大丈夫です。どこでだって、三人でなら
 生きていけますから」

上の娘が、亡き妻のような可憐な微笑で、弱気になった私を
励ました。下の娘も、私にギュッと しがみ付く。

ああ、私には、まだ娘達が残っている。
この子達だけは、何があっても守ろうと決意を新たにした。





歩き始めて直ぐに、雨が降り出した。

外套のフードを目深に被ると、港町を目指して、只管 歩く。
嵐の中の強行軍は、幼い娘達には辛いだろうに、気丈な子
らは、泣き言 一つ言わない。

隣国の王は慈悲深く、公平な方だと言う。
街も活気に溢れ、余所者にも暖かい所だとか。

そこで、親子三人、新たな生活を始めようと思う。

港に着く頃には、嵐も治まっているだろう。
 
 ~ END ~
 
 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・
 
2008/11/18 に見た夢です。

“私”は、二人の娘の父親で、騎士です。

身分差別の激しい国で、その所為で奥さんが殺されてしまった

みたいです (◡_◡。)

隣の国に逃れて、娘達が大きくなったら、復讐を……と考えて

いるかもしれません。





寒いです。

今日は、ちらっと雪降りです ^^;

風邪が、雪と一緒に戻ってきたようで、咽喉と頭が痛いです。

今日は、明日に備えて早寝ですねぇ~^^;

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2010/11/30 20:50
>カトリーヌさん
 土佐藩の上士と下士みたいな感じでしょうか。
 身分の低い者は、殺されても我慢と言う国でした。
 娘の為には、亡命する事は良かったのかなぁと思います ^^

 リアル世界とは違いますので、これが犯罪にならない可能性もありますよ ^^;
 現に、“私”の妻は殺されたのに、犯人は裁かれませんでした。
 相手にしたら、犬猫を殺した感覚だったのでしょう。いいえ、虫ケラかも。
 中世の欧州や 戦国時代の常識が近いかもしれません。
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2010/11/30 01:27
身分の高さをバックに傍若無人なことをする者、元上官。
こういう醜い世界を脱出したのね。。
夢解釈から言うと、自由への脱出な~んてね、というところかしら。

うまく脱出を遂げて、まともな王様のいる国へ・・。
隣国で罪を犯した者を、受け入れてくれれば良いけど・・・何か心配。
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2010/11/28 21:34
>スイーツマンさん
 でも、あまり気持ちのいい夢ではないですよぉ。
 相手は(珍しく)人間でしたから……。
 日本人は、お酒の弱い方が多いらしいですね。
 我が家の不良中年達は、小学生にもお酒を飲ませます ^^;
 だから、少しなら頂けますよぉw
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2010/11/28 21:26
なにやらご活躍の夢
わたしも大立ち回りの夢を見ました。
実は私の家系って大酒のみばかり
あまり嗜まない私の血には
すでに大量のアルコールが。
夢の中だけでは暴れん坊侍かなあ。爆)





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