『ブギーポップは笑わない』
- カテゴリ:小説/詩
- 2010/12/31 20:47:38
『ブギーポップは笑わない』 / 上遠野 浩平《カドノ コウヘイ》
本書は、恐ろしく奇妙な事件に関わった人々の物語です。
デザイナーになる夢を持つ啓司は、待ち合わせに来ない彼女――藤花を
待っていました。
殺人博士とあだ名されるほど 猟奇事件に詳しい和子は、クラスの女生徒
との会話から、ブギーポップの事を知らされます。
他人に心を開かない、でも、いい人の正美は、突然 現れた怪物を前に、
自分の指向を悟りました。
プレイボーイの明雄は、偶然、直子が志郎に告白する場面に出くわします。
風紀委員の敬は、いなくなった直子を探す志郎と一緒に、直子の友人――
凪の元を訪れました。
彼らの他に物語の鍵となる者達が、何処からか人間を試す為に来たエコー
と、彼を模して 人が作り上げた怪物。
そして、女子生徒の間だけで語り継がれる謎の殺し屋――ブギーポップ。
一つ一つの物語は、小さな円のような世界ですが、その円が重なり合い、
大きな世界を浮かび上がらせていくのです。
と、まあ、こんな感じのお話です。
本書を手にした きっかけは、まあ、本屋で何となく ^^;
結構、多いのです。このパターンも。
既にシリーズ化しており、続きが出ていたのも選ぶ基準ですねぇ。
短編もいいですが、やはり物語は長編です。
そんな訳で読み出したのですが、すっかりハマリました。
本書では、啓司、和子、正美、明雄、敬の5人の視点を使い、それぞれの
物語が展開します。
合間に、彼らの知らない事件の裏側が挿入されますが、概ね一人称の物
語です。
事件との係わりは、それぞれ違い、視点になった人物の知らない事は、そ
の視点では語られません。
例えば、一番 事件とは遠い所にいた啓司は、エコーや怪物の事は知りま
せんが、同じ風紀委員の敬に告白されたり、正美がダブルデートしている
所に出くわしたりと、それは それで彼にしたら小さな日常の事件です ^^
(彼にとっての一番の事件は、彼女の藤花が……っと、ネタバレ注意!)
でも、その何気ない事が、実は敬や正美からすると、違った意味を持つの
です。一人称の正しく効率的な使い方ですね ^^
続編でも、これほど たくさんの視点は使われていませんでしたが、本書で
何気なく触れられている事件や、人物がクローズアップされて出てきたり
します。
深く このシリーズを楽しむには、記憶力が必要ですねぇ~。
勿論、その巻だけでも楽しめますが、やはり最初から読むのがお薦めです。
さて、別の角度から ^^
本書は、『第四回 ゲーム小説大賞』の大賞受賞作です。
はい、古い作品です。文庫の初版は1998年となっていますから ^^
世紀末には、世界が滅ぶんじゃないかとか、2000年問題とか、不安な気分
になる要素が たくさんあったようですね。
そんな絡みなのか、本書に出てくるエコーは、終末の使者のような存在です。
何者なのか、よく分からない。でも、人間を試す為に来た、みたいな ^^;
(現在では、2012年にも危機説があるようですが^^;;)
エコーが どんな人達と接し、どんな決断を下したのかは、読んで欲しい部分。
続編が出ているって事は、世界は終わらなかったけど……。
啓司のように、知らない事で穏やかに暮らせるなら、知る権利なんて行使し
なくてもいいじゃんと思う 今日この頃です。。。
そうだったんですか!
これ、物語を通して重要なキャラのはずのブギーポップの
視点ってないんですよねぇ^^
全ての人が主役で、全ての人が脇役。
フィクションですが、そんな姿勢は この世界そのものって
感じがして面白いですよ ^^
初恋人な人が大好きだった小説です(笑
まさかこんなところでその名を聞くなんて・・・///
僕は見たことがないのですが、そんな風にそれぞれの物語が絡み合ってるんですね。
・・・・やばい、聞いた限りは面白そう・・・///;;;
もう10年前からシリーズで有名だった作品ですけど、まだ連載続いてるんだ・・・><
たくさんありすぎて手を出すのも憚られますが、藍姫さんのあらすじはやっぱりこう惹かれるものが多いですね・・・///
勝手に 一人称の師匠にしている方です ^^
物語は完結しても、世界は完結しないんだなぁと思わせてくれる作品です。
有名な小説ですね。まだ読んではいなかったのですが、そういう御話でしたか。