こんな夢を見た……。
　
　
　
“ソレ”は、突然 私達の前に現れた。

魂まで凍りつきそうな氷の眼差し。
見るだけで心臓が止まりそうになる おぞましい容姿。
声を聞くだけでも息が詰まりそうになる 死の持つ負の部分
が実体化したような存在。

自称、希望の御使い。
だが、どう見ても、ソレは死神だった。

何が悪かった訳ではない。
私達は、偶然、居合わせただけ。
ソレが人間と交渉している現場に……。

「ジカン切レダ」

死神は、目の前で慄く人間に冷たく言い放った。

体から抜け出る光の魂。
徐々に冷たくなる、かつて人体だった物。
空に向けられる空ろな瞳。

私達は、そこに居合わせただけ。

「ナンジラハ、ワレニ ナニヲ望ゾム？」

恐れてはいけない。と、私は思った。

彼は、私達の死を ――或いは、足元で死に逝く あの人の死
すらも―― 望んではいないはずだから。

死神の願いは一つ。
死神ではない“何か”になる事。

「ドンナ願イモ、ヒトツダケ、カナエヨウ。ダガ……」

交換条件は、私達の魂……ではない。
私達が死神の代弁者になり、願いの連鎖の始まりになる事。

「ワレハ、ヒトノ願イ ヲ カナエル存在ニ ナリタイ。モウ、ダレカ
　ノ死ニ フレタクナイ。ダガ、ソレヲ伝エルノニ ワレハ……」

私達は最後まで聞かずに、地下鉄に、人々の雑踏の中に、
逃げ込んだ。

「交渉の場に一緒に行って、代わりに話をしろって事かな」

「多分ね。あれは見た目、怖すぎるもん」

「あいつの話を受けなければ、あの人みたいに死ぬのかな」

「うん、多分ね」

逃げ切れないと思う。
ただ、考える時間が欲しかった。
死神の尖兵となる事への罪悪感から、上手に逃れる言い訳
が欲しかったから。

死んだ あの人は、勇気を持って、死神の申し出を拒んだの
だろうか？
それとも、あの怪物と向き合い、魂が消耗しつくしたのか？

「自分の命には代えられないよね？」

「うん」

「でも、私、あいつについていく事は出来ない」

「うん、私も」

心は決まった。後は、いい方法を考えるだけ。
私達を追ってくる、或いは、行く先で待っている死神の願いへ
の返事として。

「あの姿を見せずに伝えるなら、声を録音するのは、どう？」

「それなら手紙って手もあるよ！」

私達は家に戻り、用意を済ませて、死神を待つ事にした。

ハルちゃんが手紙で、私が音声。

私は、自分で考えた文章を、ＣＤに録音した。

出だしは、こうだ。

「これは、幸福を呼ぶディスクです。
　これを受け取った方は、何でも一つだけ願いを叶える事が
　出来ます。ただし……」

多分、ハルちゃんも同じような感じになるだろう。

と、死神が現れた。

「サア、ヒトノ子ヨ。ナンジモ、ワレニ チカラヲ貸スカ？」

「あ、貴方の願いは、これに詰めた。これ以上は協力できな
　い、です」

死神は無表情。面と向かうのは怖い。
でも、きっと、これで大丈夫。

「……アリガトウ。ナンジノ願イモ、カナエヨウ」

消えていく死神の姿が、少しだけ優しくなったような気がした。
　
　～　ＥＮＤ　～
　
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2007/6/3 に見た夢です。……って、日付が戻ってます ＾＾；

夢メモの最後に“デスノートかぃ！”と、ツッコミが入っています。

確かに、死神は そんな感じでしたよ。

でも、黒いローブ姿で、鎌を持ってました。典型的ですねぇ～＾＾

夢は便利ですね。ありえない事が体感出来るのでｗ





ちょっと風邪気味です。

最近、ずっと暖かくて（３月の気温ｗ）、すっかり油断してました。

今夜から、また寒くなっていくみたいです (◡_◡ ；)

早く春が来ると良いのになぁ。。。

今日はここまでにいたします ｍ（＿ ＿ ）ｍ