Nicotto Town


藍姫の本棚♪


夢日記50 『手』

こんな夢を見た……。
 
 
 
彼が、私の面会を求めていると、人伝に聞いた。

今までは仕事が忙しいからと、避けてきたのだが、彼は、もう
長くないらしい。

法廷で血を吐いて倒れたのだ。
もう証言台に立つ事も出来ないだろうと、同僚が教えてくれた。

彼は、口が悪くて、カッとなると見境のなくなる人だったが、私
にとっては、いい相棒だった。

正直、どんな顔をして会ったらいいのか 分からなかったが、
私は 時間を作った。

いくつもの扉をくぐると、病室から、怒鳴る声が聞こえてくる。

「触るな」とか、「自分で出来る」とか。

聞き覚えのある声が、廊下まで響き渡っている。
病室のドアは開いており、中には 彼と看護師がいた。

「それを貸せ! 俺がやる!」

「でも……」

タオルを手にした看護師は、困った顔で立ち尽くしている。
どうやら、風呂に入れない彼の体を拭こうとして、怒鳴られた
らしい。

私は、入り口に立ち、扉をノックした。
中にいた二人の視線が、私に向く。

私は、にっこり微笑むと「我まま言わないで、彼女の言う事を
聞きなさい」と子供を諭すように言った。

「……やっと来たか」

「これでも忙しいのよ?」

私は、看護師からタオルを受け取り、二人だけにしてもらう。

痩せこけた頬、抜けた髪、一回り 小さくなってしまった体。
でも、目つきだけは鋭く、昔のままだ。

「……元気そうね」

「そうでもない」

「我ままばかり言っていると、その内、転院させられるわよ」

「それなら それでいい。勝手に触られるのは好きじゃないん
 だ」

「何 言ってるの。自分では、体も起こせないくせに」

「お前が来ると分かっていたら、綺麗にしてもらったさ」

彼は拗ねたような口調で、天井を睨んだ。

「あの、来るのが遅くなって……」

「忙しいんだろう? 俺が抜けた穴は大きいからな」

以前と変わりない彼の軽口に、涙が溢れそうになる。

「そうね」

「素直すぎて気味が悪いな」

「……」

「順調か?」

「ん、相変わらずかな」

その答えで納得したのか、彼はベッドの上から、じっと私を見
つめた。

私も彼を見つめ返したのだが、次の言葉が続かない。
居心地が悪くなって、私は項垂れるようにして目を伏せた。

「疲れてるみたいだな。大丈夫か?」

「平気よ」

実際、相棒を失った私は、電話番をしているだけ。
ここにだって、もっと早く来られたのだ。

「もっと……のに」

「え?」

彼の呟きに、私は顔を上げた。
心の声が聞こえてしまったのだろうかと、内心 穏やかではな
い。

私が余程変な顔をしていたのか、彼は「もっと時間があれば よ
かったのに」と、はっきり声に出して言った。

それは……面会時間の事を言っているのだろうか?
それとも余命?

「弱気にならないでよ」と言った私の声は、みっともなく震えた。

「俺は、どの道、警察を辞めるつもりでいたんだ。性に合って
 なかったからな。でも……」

彼は「お前は大丈夫か?」と私の方に手を伸ばした。

あの大きくて頼り甲斐のあった手が、今は、まるで枯れ木のよ
うに細く頼りない。
彼の手を両手で包み込むように、そっと握ると、私の目から涙
が零れ落ちた。

「側にいてやれなくて……すまない」

「いいよ。あれは貴方の正義だった」

――業務上過失致死。
それが、立て篭もり事件の捜査中に発生した彼の罪。

結果として、死傷者を出す事にはなったが、守られた命もある。
しかも、彼が助けたのは一人ではない。
人質だった女性のお腹には、もう一つ、命が宿っていたのだ
から……。

「体、拭いてあげるね」

「ああ」

廊下で待っていた刑務官に「もう少しだけ」と目で訴えて、私
は、念入りに、彼の手をタオルで拭き始めた。
 
 ~ END ~
 
 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・
 
2009/6/1 に見た夢です。(2009年に戻れた^^;)

そこは、医療刑務所だったのでしょうか。

白い部屋には、鍵の掛かるドアと小窓がありました。

彼とは、特別 親しかったみたいです。と、言っても恋人未満ですが。

現実にも、大きな手は好きです ^^

ちょっと不器用そうで、でも、頼りがいがありそうな感じがw





うぅ、眠い。。。

薬が効いてきたみたいです。

まだ風邪の初期段階なので、一晩 眠れば快復すると思います ^^

ブログが、ベッドの上で読めると良いのですが……。

流石に ロフトベッドなので無理ですねぇ ^^;

今日は ここまで、です。

明日、コメント残しに行きますね ^^v

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2011/02/26 22:50
>カトリーヌさん
 結構、年配(?)で、私の教育係 兼 相棒だったみたいです ^^
 おそらく、私は交通安全課から捜査一課に配属変えになったのではないか、と。
 だから、彼を信頼してますよ。
 違法捜査ばかりする悪い先輩ですけど ^^;

 ダブレット型PC……いいですねぇ~。
 紙の節約にもなるエコな商品です。
 軍資金不足の為、妄想だけに留めておきます ^^;

 今夜はお休みします ^^
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2011/02/26 22:43
>スイーツマンさん
 実際に見ているのは書いている部分だけ。
 でも、夢の中では、裏の話も記憶としてあります。
 最後まで二人の関係が気になる夢でした。

 今日も大事を取ろうと思います ^^
アバター
2011/02/25 23:35
ベッドに横たわる彼の姿が目に浮かびます。
彼女とは強い信頼の絆があったのね。
横たわる彼、24-Twenty Fourの主演、
ジャック・バウアーあたりが演じそうな感じがします。

「ブログが、ベッドの上で読めると良いのですが……。」
そのためには、
ぜひタブレット型PCを、お買い下され!

風邪、お大事にね。

アバター
2011/02/25 22:50
軽くロマンス
物語になってます
いい夢でしたね。

風邪のほう、お大事に




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