退魔除霊師 ~シニガミノカマ~ (2)
- カテゴリ:自作小説
- 2011/03/29 23:59:28
「あ、オッケー、出てきちゃダメだよ」
魚臭い袋の中から顔を出した私を、同行者が小声で注意し
ました。
島から本土へ向かう船の上。
今はどの辺りかと、少し顔を覗かせただけなのに……。
が、周りに人の姿を見つけ、私は、素直に 袋の底で小さく丸
まりました。
「ちょっと待ってて」
足音をさせない静かな歩き方で、人気のない船尾に移動し
た少年が、袋をそっと甲板に下ろしました。
「オッケー、顔、出してもいいよ」
親しい者は、私を“オケ”と呼びますが、少年は なぜか、私を
“オッケー”と憶えてしまったようです。
『ありがとうございます、ロク。まだ かかりますか?』
「そうだなぁ。あと30分は海の上だよ」
『そうですか。本土は遠いのですね』
「少し窮屈だと思うけど、島の猫をさらったと思われたら厄介
だから我慢しろよ」
『分かっています。私は大丈夫です。それに、ここは それほ
ど狭くありませんよ』
「え、辛くないの?」
少年は不思議そうに目を瞬かせ、私を見下ろしました。
『私達、猫又は狭い所の方が落ち着くのですよ』
「へぇ~、猫みたいだ」
『まあ、猫又ですから』
「あ、そっか。でも、オレには無理。狭い所に閉じこもっている
と、思いっきり走りたくなる」
『それでは……』
まるで犬のようだと言いそうになり、私は口を噤みました。
少年の名は、城野下 六郎太《キノシタ ロクロウタ》。
本土では、邪悪な妖かしの退治屋――退魔除霊師《タイマジョレイシ》――
をしているそうです。
凶悪な妖かしと対峙するのですから、当然、六郎太は真っ当
な人間ではありえません。
六郎太は人間でありながら、犬の妖かし――犬神《イヌガミ》――
を その身に憑けているのです。
どんな理由でそうしているのか分かりませんが、彼に対し、そ
れを言う事は禁忌なのでしょう。
それは、六郎太が人間である事に誇りを持っているからに他
なりません。そして……。
長老の予言の人間――島の大恩人の弟君で、本土の災厄
に立ち向かう者――だからなのです。
『ロクは元気ですね』
私が言葉を選んで そう言うと、六郎太は「これが普通なんだ
よ」と笑いました。
・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・
ロク こと 六郎太は、名前を憶えるのが苦手です ^^;
オケは、オッケーで定着したようで ^^;;
疲れが出ました ^^;
嵐のような3月も、もうすぐ終わろうとしているんですね。。。
こちらは震災の被害がなかった為、緊張状態から脱しており、
目や耳から入る情報で 精神的にショックを受けてしまうような
状態です。
被災された方が「自分だけ助かって良かったのか」と、ご自分
を責めると言う話を聞きましたが、分かる気がします。
なかなか 筆が進みませんが、最後まで頑張ろうと思います。
でも、週の頭に思い描いていたラストを書いてもいいものか……。
昔から、普通の猫も、人間の言葉を話すと言います。
猫又になりかけているのかもしれませんねぇ ^^
作中では、妖かしの共通語、獣の言葉(これは各種族で違います)、人間の
言葉などがあり、猫又達は 獣(猫)の言葉と妖かしの共通語が話せます。
人と関わらなかった事で 人間の言葉が話せない妖かしもいますが、オケは
人間の言葉も話します。
作中では「」が人間の言葉で、『』で表現されているのが妖かしの共通語に
なります。
言葉が通じているのは、ロク達のような退魔除霊師や、妖かしの言葉を解す
る力を持った人間だけなので、それ以外の人には『』の台詞は 猫が鳴いて
いるように聞こえます ^^
ロクは、特に男性の名前が 適当に記憶されるようです ^^;
男には興味ないからかとw
女の子の名前は、直ぐに憶えてくれますが、猫又族の
変な名前は、流石に憶えられないみたいですよw
オケも自分が、なぜ オッケーと呼ばれるのか 疑問の
ようですがww
『ネコマタノシマ』以降のお話を、オケの側から なぞる形で
前半は進みます ^^
視点が変われば、同じ場面にも変化が起こるはず。
キャラクターを書き分ける練習も兼ねています ^^
猫又オケ氏は、本土に居る普通の人間には、
やっぱりタダの猫にしか、見えないのかしら?
ロクと話をしている時も、普通の人には、
猫の鳴き声にしか聞こえないのかしら?
ですかww
六郎太は物覚えが遅いのですかね??
次も楽しみにしてます^^
本土でどういう活躍をするのでしょうね。
殴り込み?