Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~シニガミノカマ~ (4)

記念すべき本土への第一歩は、六郎太の持つ袋の中でと
言う、何とも締まらない形になりました。

私からの報告を楽しみに待っている 島の仲間達には、この
場面は適当に誤魔化す事にしましょう。
はてさて、どんな風に、冒険の始まりとも言える本土上陸の
体裁を整えましょうかね。

思案していると、船から降りた六郎太は、さっさと物陰に隠れ、
私を袋から出しました。

「オッケー、お疲れさぁん」

あっと言う間に地面に下ろされ、何の感慨もなく、本土の土を
踏む事になった私は、視線を遠くに向けました。

……もう一度、船から降りる所を、やり直しても貰っても いい
でしょうか?

ああ、でも、これから、退魔除霊師の本部に行くのでした。

「オッケー? ボーっとしてるけど、大丈夫か? もしかして、
 船酔いした?」

『……ふっ、港と言うのは、どこも代わり映えしないですね』

「ん? でも、島の港よりは大きいだろう??」

『確かにそうですが、潮の匂いは一緒ですから』

「ま、海は つながってるしな」

六郎太は、遙か彼方の海を眺めながら「やっぱ、匂いでは追
えないか」と呟きました。

『何の匂いを追うのですか?』

「エコちゃんだよ。エコノ……何だっけ。エコノリアンちゃんだっ
 け?」

『エコ……ああ、エコノリアナン。そうでしたね』

「え、忘れてた、とか?」

『まさか。私の記憶力は、島のウミネコ達よりもいいんですよ』

「そっかぁ~、ウミネコ……って、猫じゃなくて鳥じゃん! オッ
 ケー、鳥頭って言葉、知ってるか?」

六郎太が苦笑いを浮かべました。

そう、すっかり忘れる所でしたが、島から消えた仲間――通称
エコ――を捜すのは、この旅の目的の一つなのです。

それと、災厄に立ち向かう六郎太のサポートと見届け役です
ね。

これらの名目で、島を出るのを許された事を すっかり失念し
ていました。

『ロク、では、ここにエコノリアナンの気配はないのですね』

「う~ん、犬神の超嗅覚を持ってしても、駄目っぽいな」

『そうですか。私のように魚臭い袋にでも入ってしまえば……』

エコノリアナンの痕跡は見つからないでしょうね。
でも、年頃の娘が、こんな色気のない臭いを体につけるような
愚行を犯すでしょうか。

船上で、たらふくクッキーを食べ、少し眠くなり始めていた私
は、体を思い切り伸ばして欠伸をしました。

当然、そこで会話は途切れます。
沈黙に耐えかねたのか、六郎太は「え?」と小さく声を上げ、
私の側に屈みました。

「ごめん、聞き取れなかった。袋に入ったら……何?」

特に続きは話していなかったのですが、人間と言うのは せっ
かちですね。

まあ、仕方のない事かもしれません。
彼らの寿命は、百年前後だと言いますから。

私は『魚臭いです』と、きっぱり答えました。

「はい?」

『ですから、魚臭い袋に入ったら、魚臭くなります。私、臭くな
 いですか?』

これから、退魔除霊師の長に会うと言うのに、失礼にならな
ければいいのですが……。

「多少は臭うけど、仕方ないよ。長老の家には、適当なのが、
 これしかなかったんだから」

六郎太は、生臭い魚の臭いが染み付いた ボロボロの袋を小
さく掲げました。

魚は好きですが、食べる事が出来ないのに臭いだけすると
言うのは、生殺しのような状況です。

『もう入らなくてもいいですよね?』

「ん~、ここからは電車なんだけど……」

六郎太が視線を向けた ずっと先に、バスを二台つなげたよう
な乗り物が停車していました。

「混んでないし、大丈夫かなぁ」

『ほぉ、あれが電車ですか』

「オッケー、電車を見た事ないの?」

『あの小さな島の どこに電車が走るのですか。勿論、話には
 聞いた事がありますけど』

「じゃあ、電車初体験だ」

島で育ちましたが、実は、船に乗ったのも初めてだったと言っ
たら、六郎太に驚かれるでしょうか?
 
 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

電車……私自身が普段 乗りませんが ^^;

電車に乗るのは、大きな街に行く時くらいですねぇ ^^;;

さて、どうしたものでしょうか。。。





今日は、時間に余裕アリw

これから、読みに行きますね ^^

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2011/04/01 23:15
>思音さん
 あ~、分かります。
 学校行事で電車に乗ると、切符が必要ないですものねぇ^^

 猫ベースな妖かしのオケは、臭いには敏感です ^^
 犬神を憑けているロクも、それは同じですが、ロクが気にしていないので
 それほど可笑しな臭いではないのでしょう ^^
 猫又族は、マイペースで、好き嫌いがハッキリしています。
 エコは……ネタバレになるので後々 ^^

 2章まで行きました ^^
 続きを読みたいのですが、今日は早寝しようと思います。
 なぜか、主役のツバサよりも、リューヤがいいなぁと思ってしまいました ^^;
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2011/04/01 23:07
>スイーツマンさん
 電車と言えば、修学旅行の寝台列車を思い出します ^^
 電車の旅は、楽しいですよねぇ ^^

 電車の復旧は喜ばしい事です。
 それでも、4月末になるんですね。。。
 北海道には「新幹線を……」と言う話もあるのですが、しばらくは
 お預けになるのかなぁ。
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2011/04/01 13:13
オケ氏は電車が初めてだったのね。
猫又の島と本土は、あまり交流がないのね・・っていうか、
オケ氏は、アヤカシだから、電車とか必要ないしね(笑)。
もしかして、ケータイとか、原子力とか、知らなかったりして・・。
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2011/04/01 10:36
電車ですか・・・最初、個人での乗り方が全く分かりませんでした(><;)
小学校や中学校で、周りの人が勝手にやってくれるから、あの頃は困らなかったけど。

オケ君、魚臭くなっちゃったか~。このあと、グルーミングをしてたのでしょうかww
エコさん?どんな猫又なのでしょうか。気になりますね~

あ、一気に二章まで読んでくださってありがとうございます! 
リューヤがお気に入りですか♪
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2011/04/01 00:19
電車の旅、オケ氏にとっては楽しい旅行かな
私も好きです

実家のある常磐線、4月末には復旧です
もろにいわきで止まり。
そこから北へはほぼ無期限いけません
こんなことSFだけの世界だけだと思ってました

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2011/03/31 23:22
>ちゃあさん
 お帰りなさい、ちゃあさん ^^
 お久しぶりですね ^^

 読んでいただけたんですね。ありがとうございます。
 いろいろあって、なかなか進まない お話です ^^;
 キーボードを打ち込むのも遅くて ^^;;

 私は修学旅行で寝台に乗ったくらいで、後は街に出る時だけです ^^;
 車内の雰囲気は『世界の車窓から』を参考にしようかとw
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2011/03/31 21:58
久しぶりに藍姫さんの小説読みました^^

やっぱり凄かったです!!
続き、楽しみにしてます^^

ちなみに、私も普段電車に乗りません;;




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