Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~シニガミノカマ~ (28)

少女は、きちんと畳に正座し、背筋を伸ばしました。

その居住まいが、どことなく、昨日、出会った女性を思い出さ
せます。

「わたくしは、退魔除霊師の代表を務めます、榊 晶 と申しま
 す」

榊……晶?

晶と言うのは、月子の娘で、瑞希の妹の?
六郎太にとったら、従妹の?

『貴女が晶さんですか?』

「はい」

昨夜、お誘いを頂いたのに、会う事が叶わなかったのが、こ
の少女だったとは。

それとも、晶も、月子のように幼く見えるだけでしょうか。

まあ、彼女の娘なのだから、それもありえますが、晶は、どう
見ても……。

「アッキー……いや、晶さまは小学五年、ええと、今、10歳?」

「いいえ、兄さま、もう11になりました」

「ああ、そうだったな」

やはり正真正銘の童女でしたか。

惜しい。
あと10年先であれば、瑞希のような凛とした女性に……。

「オッケー、アッキーは……いや、晶さまは駄目だぞ」

『何の話ですか?』

「10年後ならぁ~なんて考えただろう?」

なぜ分かったのでしょう。

「晶さまには、広道《ヒロミチ》さんって言う 立派な許婚がいる
 んだからな」

「兄さま、晶さま”は止めてください。その……」

晶は、私の方を見て、言葉に詰まりました。
ああ、私とした事が、自己紹介がまだでした。

『私は、オケノニミモオ。オケとお呼び下さい』

「その……オケ殿は、兄さまのご友人なのでしょう?」

「は?」

六郎太が笑顔のまま固まりました。

「守宮達から、昨夜は一緒に湯屋を使われたと聞きましたよ?」

「ヤモリーズめ、余計な事を」

「友人でないなら、まさか、姉さまを差し置いて……」

「ない! こいつはオス! オレに そんな趣味はない!」

「それでしたら、よろしいのですが、オケ殿は、こちらに長く
 滞在されるのでしょう? その間、ずっと兄さまから、その
 呼び方をされるのは……」

眉を顰めた晶は、畳に視線を落とし、小さく息をつきました。

晶を見ていると、瑞希が幼い頃は、こんな感じだったのだろう
と容易に想像できます。

六郎太は、そんな晶に弱いのか「わかったよ、アッキー」と肩
を竦めました。

晶は、自分の名前に“さま”を付けられるのが嫌いなようです。

『オッケーとアッキー、何やら似ていますね、晶さん』

「まあ、本当ですわね」

「そう言えば、そうだよな。って、オッケー、アッキーには……」

『承知しています。ですが、今 直ぐ、どうこうと言う話ではない
 のでしょう? 10年あれば、人の心が どう変わるかなど分か
 りませんよ。その点、妖かしは一途ですから』

「オッケーに言われても、全然、説得力ないんだけど……」

晶は「お二人は仲良しですね」と、クスクス笑いました。

退魔除霊師の代表――月神子――だと言う話でしたが、こう
して見ると、表情の豊かな晶は年相応の少女です。

……あの瑞希も、こんな風に笑う事があるのでしょうか?

「晶さま、失礼します」

と、部屋の外から声が掛けられました。
開けっ放しになった襖の陰、板張りの廊下に、女性がいるよう
です。

声の感じからして、晶の補佐役で、お風呂に六郎太の着替
えを持ってきた來夢と言う女性に違いありません。

「月子さまが お持ちです」

「分かりました。今、参ります」

「ロクさんは、本堂に朝食の支度が出来ていますので。みな
 さん、お集まりですよ」

「うん、分かった。オッケーも一緒でいいのかなぁ」

「大丈夫です。あの、猫又さんは何を食べるのでしょうか?」

「何でもいいよな?」

『ええ、好き嫌いはありませんから』

晶が「では、わたくしは、これで」と、大儀そうに立ち上がりま
した。

「じゃあ、オレ達も行くか」

『はい』

廊下に出ると、そこには……。

「おはよう、ライムちゃん」

「おはようございます、ロクさん。あの、その子が……」

「ああ、こいつが猫又の……」

『オケノニミモオです。オケと呼んでいただけると幸いです』

「オッケー?」

私が呆っとしているので、六郎太が屈んで「大丈夫か?」と声
をかけてきました。

『ロク、これはどう言う事ですか!』

「何が?」

『和服にはそぐわない、はち切れんばかりの胸! 眼鏡もマ
 ニアック! はっきり言って巫女服がコスプレに見えます!
 あの犯罪とも言えるプロポーション、彼女はエロスの女神で
 すか! ぅぎゃんっ?!』

顔を引きつらせた六郎太が、私の額に、真っ直ぐに手刀を落
としました。

「朝から、下ネタ禁止!」

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

言った側から、一途ではないオケ ^^;

手加減しても、ロクは意外に力持ちです ^^;;




今日も、このままお休みします。

目が痛いよぉ~><

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2011/05/22 23:10
>スイーツマンさん
 そう言えば、作中、唯一の めがね女子ですねぇ^^
 でも、私の分身ではないですよぉ~><
 残念な事に、全然、エロスの女神ではないですから ^^;
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2011/05/22 09:53
來夢嬢。めがね……。
藍姫さんの分身?
そうでしたか
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2011/05/02 00:46
>Beliver さん
 來夢が 天然巨乳めがねっ娘でも、巫女服がコスプレにしか見えなくても
 それを言ったら駄目ですよねぇ ^^;
 オケは、おそらく子供に好かれるタイプですが(まあ、見た目猫なので^^;)
 子供には興味がないようです。
 なので、幼い容姿の女性への反応は、テンションが低いのです ^^;
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2011/05/01 13:43
オケ…最後のシモネタは一体何?
そんなに来夢のプロポーションがよかったのですか?
晶は11歳かぁ。予想はしてたけど、まだ小学生だなんて。
子供に手を付けたら不審者ですよ
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2011/05/01 00:55
>咲雪さん
 光源氏作戦……^^
 どの妖かし種族なら やらかしそうかなぁ~。
 猫又も、性格に個人差があるのでアリな気はしますが。。。

 そ、そこまで考えますか ^^;(恐るべし、光源氏作戦!
 そう言えば、人型になったオケをまだ出していませんでしたね。
 猫(ま、他の種族でもいいですが^^;)を「お父さん」と呼ぶ少女なんて
 いいですねぇ~^^

 オケが人型になると、そう言う問題は起こってきそうw
 退魔除霊師の女性達の中には、女子校だった子達もいるので、その話で
 盛り上がりそうです ^^

 あはは、解かります。
 体が疲れていても、妄想は別物ですから ^^v

 お休みなさいませ ^^
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2011/05/01 00:48
>カトリーヌさん
 オケは自分で育てる気はないようです ^^;
 面倒なのは駄目みたいですねぇ。
 でも、あのオケに10年も待てるのか疑問ですが……^^;
 好みの女性がいたら、フラフラとついて行きそうです。

 目と言うか肩と言うか、頭部全域? 発熱からくる痛みもあるのかと ^^;
 今は薬を飲んで抑えているので、ぬるま湯に たゆたっている感じです。
 ドライアイもあるので、目薬は手放せませんよぉ ><
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2011/04/30 18:42
こんばんは^^
カトリーヌ様の光源氏作戦が、わたしの世界に地震を…!

小さい時から猫姿のオケ様に育てられ、
年頃になった時に人の姿のオケ様を見て初めての恋を…!
そして、今まで教えてもらわなかったあんなことやこんなことを教えられていき…!

…ハァ、ハァ、ハァ、…。
危ないですね。分かっています。自重します。

ロク様とオケ様は本当に仲がよろしいですよね^^
周りから見ればできてるのかと思…て、自重すると言っている側からわたしは何を…。

駄目ですね。
今日は色々疲れているようです。

ということで、失礼いたします。
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2011/04/30 01:11
あと10年先であれば・・なんて、
オケさん、そんなことしなくても、
童女の時に引き取って、自分の好みの女性に仕上げていく、
という”光源氏”作戦もあるわよ~。
目が痛いって・・空気乾燥??、ドライアイ??




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