Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~シニガミノカマ~ (53)

「新しい情報が入ったら、呼んで。中にいるから」

瑞希は庭に屯していた妖かし達に、そう声をかけると、六郎
太が寝泊りに使っている離れの一室に入りました。

「瑞希、飲み物、貰う?」

六郎太が、どこからか卓袱台と座布団を出してきました。

「いや。……そうだね。やはり貰おうか。守宮」

『はっ、ここに』

「ここにお茶を3つ」

家に憑く小さな妖かしは『御意』と簡潔に答えて、気配を消し
ます。

「二人とも、座って」

六郎太のテリトリーのはずである この部屋も、瑞希がいると
彼女の領域になります。

やや緊張の面持ちの六郎太は、瑞希の向かい側に足を崩し
て座りました。

私は……やはり、六郎太の隣に座るべきですよね。
私の分と思われる座布団は、そこに敷かれている訳ですし。

卓袱台で瑞希の顔が見えにくいので、私は体を起した状態
で背筋をピンと伸ばしました。
猫背には厳しい体勢です。

「オケ、楽にしていいよ」

『ですが……』

「オッケー、もしかして、卓袱台が邪魔だった?」

『少し』

六郎太は、私が乗ったままの座布団をほんの少し瑞希の方
へ寄せました。卓袱台も気持ち、私から遠ざけてくれます。

「ロク」

「ん?」

「話って?」

「ああ、まず報告。エコちゃんが見つかったよ」

「早かったね」

「うん。しかも、本性じゃなくて人型だったんだ。それもオレを
 警戒して香水なんて使っててさ、妖狐族に紛れるつもりだっ
 たみたい。八重さんを襲った鎌鼬と接触するかもしれないか
 ら、尾行をつけて泳がせてる。でも、あの子は八重さんを傷
 つけてないと思う。……瑞希?」

今の話のどの辺りに考え込む部分があったのか、瑞希は、ほ
んの少し眉を寄せていましたが、名前を呼ばれて、六郎太に
微笑を返しました。

「そうだろうね。八重は、あれでも中々の使い手だから」

「うん。でさ、着替えを取りに行った ついでに、風子さんに鎌
 鼬の事を聞いたんだけど、アッキーの遣ってる兄弟の鎌鼬
 が怪しいんじゃないかって」

「そう、風子伯母さまが……」

「瑞希、やっぱ気づいてたんだ」

瑞希は小さく頷きました。
本当に何でも一人で抱え込んでしまうようです。

「八重に話を聞いた時、可能生の一つとして考えた。でも、ね」

「だよなぁ。アッキーが八重さんを襲わせる訳ないし、そいつ
 らじゃないと思うけど、一応、3時になって アッキーの手が
 空いたら、呼び出してもらう事にしたから。瑞希にも立ち会っ
 て欲しいんだけど」

瑞希は「分かった」と答えましたが、六郎太のように晶の使い
魔を信用していると言う感じではなさそうです。

「失礼します」

と、そこへ、廊下から聞き覚えのある声がしました。
六郎太が慌てて襖を開けにいきます。

勝手に襖が開いたので、廊下に座っていた來夢が、眼鏡の
奥で驚いたように目を瞬かせました。

「ライムちゃん、ありがとう。悪いね。アッキーの方、忙しいん
 だろう?」

お盆を受け取ろうとした六郎太を制して、來夢が部屋に入っ
て来ました。

「いいえ、晶さまのお言いつけですから」

「はい?」

兄さまが、姉さまに狼藉を働いていないか、様子を見
 きてくださいませ”と」

「あのねぇ~、オッケーだっているんだから……」

『晶さんは、ロクの事を信用していないのですね』

來夢は、くすっと笑うと「逆ですよ」と言いながら、私達の前に
お茶を置いていきます。

逆……とは、どう言う意味なのでしょう。
人間と言うのは、感情表現が複雑ですから。

「榊さん、ロクさんから、鎌鼬のお話は?」

「今、聞いたよ。3時になったら、部屋に行くと晶に伝えて」

「はい、かしこまりました」

來夢は、にっこり微笑むと、静かに下がって行きました。
話が中断した事で、部屋の中に微妙な沈黙が流れます。

私は、これまでの会話の流れを思い出そうとしましたが、六郎
太が話した事以外に、何を伝えるべきだったのか、思い浮か
びませんでした。

六郎太もそうなのか、お茶をすすりながら、首を傾げています。

「ロク、聞きたい事と相談したい事は、それで全部?」

「あっ!」

瑞希の言葉に促され、六郎太は、肝心な事を聞き忘れていた
事に気付いたようです。

「八重さんが襲われた時に使われた“勾玉”について聞こうと
 思ってたんだ!」

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

今、過去話を考えながら、書いているので筆が遅いです。

何となくはあるけど、細部までは できてなくて ^^;





早寝したいのですが、明日、誕生日のリア友がいるので、おめでとう

メールを送ろうと思っています ^^

急いで文面を考えないとw

そんな訳で、今日は ここまでにします m(_ _ )m

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2011/06/05 23:38
>Beliver さん
 敵……と言えるかどうかは分かりませんが、相手は狡猾です。
 既に何人かが彼女に協力を(無意識に)させられていたりして ^^;
 妖かしは、割と自分に正直で、したいようにしているので、罪悪感はないです。
 でも、意識的にロク達を裏切っている人間には、常に迷いがあるでしょうね。
 目に見える形で裏切る事になるのは、今回は一人。
 その人は、敵に協力しているのではなく、利用しているつもりです。
 勿論、相手が自分を利用している事は承知した上で。
 そこまでしても、欲しいものがあるのでしょうねぇ^^;
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2011/06/05 13:29
うーん、なんか難しいですね~。
八重を襲った鎌鼬一向の裏では、誰がいと引いているのか
わたしにはまったくと言ってもいいほどわかりませんね^^;
ただ、仲間が裏切っているのかもしれないという、
不穏な空気は嫌ですね・・・
隣にいる人が敵みたいに思えちゃうから
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2011/06/05 00:06
>スイーツマンさん
 年表を作りながら書いているのですが、私も混乱しています。
 10年、20年と言う単位は長いですよねぇ~^^;
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2011/06/04 14:29
ようやく核心部
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2011/06/01 23:20
>咲雪さん
 オケが空気のように自然な存在になっているようですねぇ^^;

 好きだと伝えるのに、ツンツンしたり、意地悪したりとか ^^;
 いい男、いい女の価値基準も、人によってバラバラですよね。
 鳥ならば、ダンスが上手いとか、巣が上手に作れるとかw
 肉食動物も、草食動物も、第一には家族が守れるほど強いモノw
 人間は難しいです ^^
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2011/05/31 23:32
ロク様、忘れていたんですか…。

確かに、人間の感情表現は複雑ですよねぇ。
人間であるわたしでさえ、分からなくなりますから。←
一人一人違ってたりして、それがまたややこしいですよね^^;
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2011/05/31 23:23
>☨AKI☨ さん
 ロクって、緊張感がないんですよねぇ^^;
 どうやったら、出て来るんだか ^^;;

 ロクの宣伝の賜物かとw
  ロク「こいつ、エロ猫又のオッケー」
  オケ「違います! ☨AKI☨さんに誤解されますから!」
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2011/05/31 23:21
>カトリーヌさん
 エコ発見、オケも一安心で、益々 好調……なのかと思ったら、
 最近は 確かに大人しいですねぇ^^;
 「あの人はダメ、この人はダメ」と言われ続け、「じゃあ、誰なら
 いいんだ!」と、爆発しそうですけど ^^;

 鎌鼬兄弟の背後にいる“あの方”は、おそらく、オケのお気に召す
 女性だと思いますが、そうなるとロク達とは……。
 最終的には、オケに 判断を委ねるつもりですが、猫又は、かなり
 一途なモノのようなので、そこに至るまでに、ロクに惚れさせて
 おこうと思います ^^(変な意味でなくですよぉ;;
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2011/05/31 14:26
六郎太がおちゃめw

って下の人wオケ氏について何を書いてるんだw
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2011/05/30 23:44
だんだんとオケ氏のエロ魂が、低下して
大人しくなってきている感じ・・段々と神社の中で、
アヤカシとしての邪心が、清められてきているのかしら(微笑)。

エコ探しも、半ば見えてきたし、オケ氏も安心してきたのかな。
でもカマイタチの背後に潜む謎はこれからだし、
これからのオケ氏の活躍を期待します。






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