Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~シニガミノカマ~ (54)

「あれが盗まれたのは、ボク達が5才の時だよ」

「5才……じゃあ、アッキーは、まだ生まれてないんだ」

六郎太が嬉しそうな声を上げたので、瑞希は「晶を疑ってた
の?」と からかうように言いました。

「まさか! そう言う訳じゃないよ。オレは、その、つまり、えっ
 と……」

「分かってるよ」

「瑞希ぃ~」

慌てる六郎太が可笑しかったのか、瑞希は微かに笑みを零
しました。

こうして見ると、この二人……と言うか、六郎太といる瑞希は、
リラックスしています。

張り詰めたような彼女も魅力的ですが、こちらが本来の瑞希
なのでしょう。

「ねえ、その年で何か思い出す事はない?」

「え、5才の時って言えば、もしかして……」

「うん、あの後、母さまが調べた時には、もう なかったって」

「そうなんだ」

今のだけで通じたのでしょうか。

私は、自分が それほど気配を消すのに長けているとは思っ
ていなかったのですが、どうやら、二人の世界が出来上がっ
ているようです。

『ロク、瑞希さん。私にも何があったのか、ご説明いただけま
 すか?』

「あ、オッケー、いたんだ」

『いました。今日は、朝からずっと、ロクと一緒に』

「はいはい、そうでした」

六郎太は「何て説明したらいいかなぁ」と瑞希を窺いました。
瑞希は軽く肩を竦めます。

「そうだね。ロクは憶えていないから」

『それはウミネコですか?』

「ウミネコ?」

「ああ、それは“忘れっぽい”って意味の猫又の言葉だよ。
 な、オッケー?」

「ふぅん、そうなんだ」

違います。が、それを説明するのは、今は止めましょう。

『そうですね。ロクは忘れっぽいですから』

「忘れたって言うかさ、オレ、死にかけたらしいんだよねぇ」

『は?』

「神社でゴタゴタがあってね。ロクは大怪我を負って……」

「何日も眠り続けてたんだってさ。目が覚めたら、その前後の
 記憶がスッポリなくなってたって訳」

瑞希の顔には深刻な、六郎太には何故か楽しげな、対照的
な表情が浮かんでいます。

『その時、何があったのですか?』

「オレ達のばあちゃん、つまり、先々代の月神子が亡くなった
 んだ」

六郎太達の祖母が亡くなって、六郎太がなぜ死に掛けたの
でしょう。

頭に“?”マークを浮かべる私に、六郎太は「オレもよく憶え
てないけど」と瑞希に助けを求めました。

「うん、ロクに話しておこうと思ったのは、その事だったんだ」

瑞希の目に、強い決意の光が宿りました。

「ロクは、3才まで家から全く出ない生活をしてたよね」

「うん、そうらしいね」

他人事のように答える六郎太に気を悪くした様子もなく、瑞
希は「神社に来たのは4才になってからだった」と、思い出す
ように淡々と続けました。

特殊な妖かしを宿す六郎太の過去。
昨日今日、出会ったばかりの私が聞いてもいいものなのでしょ
うか。

戸惑いを感じている私に、六郎太はお茶請けの菓子を差し
出しました。

気を使ってくれたのかと思いきや、口を開けた私の前から菓
子を取り去って、直ぐに自分でパクリ。

単に自分が食べたかっただけのようです。
しかも、子供っぽい悪戯までして……。

ですが、少なくとも、私の存在を忘れている訳ではなさそうで
す。

「瑞希と初めて会ったのも、その時だったよな」

「うん、そうだね」

「それだけはさ……憶えてるんだよね」

『何か印象的な事があったのですか?』

「え、それは、別にいいじゃん。オッケーには関係ないだろう」

自分で言い出したのに、それはないです。

「その頃、ボクは母さまの次代の月神子として、修行に励ん
 でいた。ボクの教育係だったのが……」

瑞希は、書庫から持ち出した本を開くと、卓袱台の上に置き
ました。

卓袱台に体を乗り出すようにして覗き込むと、紙面に、ずらり
と名前が並んでいるのが見えました。

これは退魔除霊師の名簿でしょうか。
と言うよりは、むしろ榊家の家系図?

瑞希は、その中の一人、斜線で消された名前を指しました。

「この人が……この女が黒幕だと思う」

「えぇっ?!」

思いがけず、結論を先に言われ、六郎太が驚愕の声を上げ
ました。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

5月も今日で終わり ^^;

一体、何話で完結できるんだろう ^^;;

細かいやり取りを省けばいいのでしょうけど、ついつい入れて

しまいます。

劇中は8月ですが、それまでには、終わるかなぁ~^^;






一ヶ月が過ぎるのは、一週間よりも早く感じられます。

時間の使い方を考えないと、ですねぇ ^^;

明日の週の山場に備えて、今日はお休みします。

うぅ~、ブログ、読みに行きたいよぉ~。。。><

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2011/06/05 23:44
>Beliver さん
 瑞希にとって彼女は信頼の置ける教育係……でした。
 実は、元月神子候補なので、今の瑞希と立場が似ているのです。
 それだけに裏切られた気持ちは、誰よりも強いのでしょう。
 ロクが思い出せば 解決するような問題でもないので、彼は無理には
 思い出さないでしょうねぇ^^;
 いつもは冷静な瑞希のペースが、彼女に乱される事は必至なので、
 ロクとオケには しっかりして貰いたい所ですが……^^;
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2011/06/05 13:37
お、黒幕!
それに、ロクの過去も明かされてきました!
ロクの教育係が黒幕かもしれないかぁ・・・ちょっと、複雑な感じになりますね
下のコメントを読ませてもらいましたが、ロクはその人を忘れている可能性が。
そのかわり、瑞希が・・・か。
「この人」→「この女」と変えたのは、その人と親しかったけど、敵かもしれないから、
自分にこの女は敵だ。と自分自身に言い聞かせてるように思えます
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2011/06/05 00:09
>スイーツマンさん
 別の話に名前だけ出てきていた人が出てきます。
 その人を登場させると、オケが裏切りそうで怖い ^^;
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2011/06/04 14:32
おお、お家騒動…
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2011/06/01 23:37
>カトリーヌさん
 名前の話をした時に、オケがチラッと言った事は伏線の一つだったりして ^^
 ちょっと(いえ、かなりw)回りくどいのですが……^^;
 瑞希が黒幕と言った女性は、瑞希の月神子教育係で、ロクは瑞希の下について
 修行をしていたので、メチャクチャ関係ありますよぉ ^^
 でも、ロクは、すっかり忘れていたりします。
 単に死に掛けた事が忘れた原因ではなく……っと、ネタバレですねぇ~^^;

 平日は ゆるゆるとしていますが、この時間になるとヘロヘロです ^^;
 タブレット型PCがあれば、ベッドでニコが出来るのに! もっと活字をぉ~!
 と、ストレスを溜める日々です ^^;
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2011/06/01 23:31
>咲雪さん
 咲雪さんも、お疲れ様でした ^^
 本当に早いです。疲れだけがたまっていくぅ~^^;

 幼かった瑞希にしても、教育係だった彼女は母親のような存在です。
 晶にとっての八重と同じなんですよねぇ^^
 なので、尚更、裏切られた感じがするのでしょう。
 瑞希が嫌いな人間を「あの女」なんて発言をするのは珍しいです。
 ロクの場合は、他人事なんでしょうね。
 忘れている事にも気付いていない、みたいなw
 忘れていると言われても、その間の記憶について、どうこう言う
 人がいなかったので、問題なかったようです。
 さて、ロクが聞かされている事実は、どこまで脚色なしの真実なのか。
 その辺が、上手く書けるか心配です ^^;

 むむっ、妖しい微笑みw

 疲れが取れていないのでしょうか。この眠たさを どうにかしたいです。
 一日が 25時間だったら、少しは……1時間じゃダメか ^^;
 いやはや、本当に眠くならない方法を知りたいです。
 手元にある怪しい呪いの本には、載ってないんですよねぇ ^^;
 眠くならない方法w
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2011/06/01 00:52
いきなり、瑞希が黒幕の指摘を・・!。
家系図に載っていたという事は、やっぱり内部の人なのね~。
それにしても、瑞希の話しぶりからすると、
幼少時のロクには、この黒幕に関係するような何かがあったのかしら?
興味シンシン。

まあまあ、無理せずマイペースでどうぞ・・。

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2011/05/31 23:43
五月、お疲れ様でした。
何故か最近、時間が凄く速く過ぎていくように思います。

瑞希様、いきなりの結論は混乱の元…て、わたしが言えることではありませんね^^;
ロク様が敢えて瑞希様との出会いについて語らなかったのは、何か理由が…?
(印象的なことが人には言えないこととか、とか、とか…。)
ただ言いたくなかっただけかもしれませんが、ちょっぴり気になってしまいました。
死にかけたなんて言葉をさらっと言ってしまうあたり、何かありそうですねぇ…。
単に、覚えてないからどうでもいいやという話なのかもですが…。

ふふふふふ…。←

わたしも今日は休みます。
最近眠くて仕方がありません。
授業中眠くならない方法とかないんでしょうかね…。
術とかでもいいのですが^^←




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