Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師~ユメワタリ~ (47)

來夢が追い討ちをかけるように「何だか、お母さんと悪戯っ子み
たいですねぇ」と笑った。ううぅ、情けなさ二倍増……。

「兎に角、みなさん、無事に戻れてよかっ……ぅきゃぅっ?!」

無理に体を起そうとした來夢が、小さく悲鳴を上げた。そりゃあ、
そうだろう。途中で動かしはしたが、オレ以上に同じ体勢でいた
のだから、体中ガチガチのはずだ。

「亘理、無理をするな」

「でも、榊さんは大丈夫そうなのに……」

「亘理の方が疲労も大きいはずだよ。今度の事は、君が仕切っ
 たんだから」

「そうだよ、ライムちゃん。この短期間で、ここまで出来るなんて、
 スゴイぞ」

「それは……」

來夢は、瑞希に微笑みかけ「先生がよかったから」と、しっかりと
した口調で言った。
瑞希も穏やかに微笑み返すと「今日はゆっくり休んで」と囁くよう
に答えた。

ああ、麗しき師弟愛かな。
オレだって浄化には参加したのに、何だか疎外感を感じずには
いられない。

「あ、あのさ。カイちゃん、どんな様子だったんだ? ちゃんと古番
 先輩とサヨナラ出来たのか?」

「その話は、明日、他の者が揃ってからにしよう。亘理も疲れてい
 るだろうし」

「……すいません」

「ここはボクが片付けるから、ロクは亘理を部屋まで運んであげて」

「 「 えぇっ?! 」 」

「? 亘理、歩けないだろう?」

「え、あ、はい。……すいません」

「亘理を寝室まで連れて行ったら、今日は、ロクも泊まっていき
 なよ。もう遅いし、風子伯母さんにはボクから連絡しておくから」

「分かった。えっと……ライムちゃん。おんぶ? 抱っこ?」

って、何、聞いてるんだ。

「じゃあ、抱っこで……あ、すいません」

……來夢、ノリ よすぎだろう。
何を謝る事があるのか。來夢は「すいません。すいません」と繰り
返した。
オレとしても、おんぶで妙な気持ちになるよりは……と思ったのは
甘かった。





体の密着度合いで言うと、やっぱり、おんぶだろうな。が、抱っこ
だと顔がよく見える上に、胸の谷間が間近に感じられる。

感触で妄想するか? それとも、現物を観察するか?
……どっちも捨てがたい。

神聖な境内で、こんな事を考えるのは不謹慎だが、オレだって男
だ。イヌガミが、オオカミに変身しても、おかしくはない状況……
なのに「亘理を部屋まで運んであげて」とは、随分、瑞希に信頼
されたものだ。

いや、瑞希は、男女の機微には疎いから、何も考えずに言った
のだろう。それとも、オレには、大それた事など出来ないだろうと
言う確信か?

「あの……ロクさん」

「え、何?」

「……ワタシ、重くないですか?」

オレ、そんなに辛そうな顔に見えるのか?

「全然、平気だよ」

「ロクさんは、意外と力持ちなんですね」

意外と……ね。
よく言われるよ。思ったように成長しなかった所為だろうな。
成長が遅いのは犬神の弊害だが……。

「力が増幅されてるのは、犬神の恩恵かな」

「それは……子供の頃から?」

「印は生まれた時からあったみたいだけど、本格的に力が使える
 ようになったのは……幼稚園の頃だったかなぁ~?」

きっかけがあった訳ではないが、急に生活に支障をきたすように
なって、幼稚園に通えなくなったんだっけ。

そうそう! 思い出してきた。
そっちは病欠と言う事にして、榊の家に修行に来たんだよな。今
の來夢のように。
オレも瑞希も、まだ六歳だった。

そう言えば、それまで、ほとんど話した事もなかった瑞希と、よく
顔を合わせるようになったのが、その時だったな。
オレの母親 --- 風子さんは、実家である榊の家とは距離を置い
ていたし、オレも仕事はしていなかったから……。

「そんなに小さな時から……大変でしたね」

「そうでもないよ。オレの場合も、先生が良かったから」

「犬の……先生がいるんですか?」

犬の先生……。
思わず、チワワに説教されている図を想像してしまった。

「犬ではなくて人間だよ。……実は、ここだけの話、オレの先生も
 瑞希なんだよ。まだガキだったけど、あいつは、昔から別格だっ
 たんだ。ま、そんなこんなで、修行の甲斐もあって、オレは小学
 校一年生に上がるのと同時に、退魔除霊師になってたって訳」

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・

ロクとミズキが親しくなったのは、二人が小学校に上がる前w

学校は違いましたが、仕事は一緒にしてました ^^

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2009/04/29 21:19
>らんくるさん
 あははははっ ^^
 らんくるさん、分かるんだw

 実物があるのに、視覚だけって言うのは辛いのでしょうか?
 え、これって下ネタ? (●><●){キャー)
アバター
2009/04/29 17:39
うんうん、触覚か視覚か・・・

わかるなぁ~




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