Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~ヘビガミ~ (47)

瑞希は早々に自室に引き上げてしまったが、離れには、いつ
もの妖かし達と、螢都、來夢、小太刀、美鶴が残っていた。

エコは、あの後、目を覚ます事はなかったが、小梅とオケを肴
に、妖かしも人間も和気藹々としている。

オレが買ってきた食べ物は、全て片付いてしまったが、來夢
が追加の惣菜を手配してくれたので、宴は まだ続いていた。

『ロク』

オケがオレに目配せした。
オレは頷き返し、部屋においてあった花火を持ってくると、螢
都に押し付けた。

火の管理は、火を操る螢都に頼むのが一番だろう。

「オレ、ちょっと抜けるから、これ、先にやってて」

「抜けるって、なんでよ!」

「トイレだよ。デカい方だから、少し遅くなる」

「そ、そんな事、聞いてない!」

「わあ~、花火だぁ」

「ロクくん、早く戻って来ないと、線香花火しかなくなっちゃう
 わよ」

「分かってるって」

オレは、オケに「エコを頼む」と囁いて、離れを後にした。
 
 
 


 
神社の中を漂う気配と言うか、香りで、目的の人物を探し出
す。彼女は、いつもの部屋ではなく、八重の寝室にいた。

オレはその場に正座すると、息を吸い込んだ。

「八重さま、失礼します。月子さまは、こちらでしょうか?」

いる事は分かってはいたが、廊下から声をかけると、部屋主
ではなく、月子が「お入りなさい」と答えた。

一呼吸 置き、もう一度「失礼します」と声をかけてから障子を
開ける。

部屋の中には、布団の上で体を起こした八重と、甲斐甲斐し
く彼女の世話(?)をする月子の姿があった。

「六郎太くん」

「八重さま! 起きていても、よろしいのですか?」

意外に元気そうな八重に、思わず聞いてしまったが、八重は、
座ったまま微笑んだ。

「貴方にも心配をかけて、すみませんでした。もう大丈夫です」

胸の奥で凍り付いていた後悔が、八重の言葉で溶かされる。

「ところで、六郎太。どうかしましたか? 八重の見舞いでは
 ないのでしょう?」

「あ、月子さまにお聞きしたい事がございまして……」

例の話をするのに、八重はいない方がいいよな。

そう考えたのが顔に出てしまったのか、オレの顔を見つめた
月子は、すっと立ち上がった。

「月ちゃ……月子さま?」

「少し外します。貴女は、もう少しお眠りなさい、八重」

廊下で待つオレの方へ踏み出した月子に、八重が「待って」
と手を伸ばした。

オレと月子の視線を受けて、八重が「あの方のお話なら、ここ
で」と毅然と言い放つ。

月子は「その話ではありません」と、きっぱり答え、さっさと部
屋を出る。

不満そうな顔の八重が視界に入ったが、オレは軽く頭を下げ
て、八重の部屋の障子を閉めた。

八重は、もう巻き込む訳にはいかないのだから……。
 
 
 


 
そのまま、月子が自室――聖域に向かって歩き出したので、
オレは無言で従った。

聖域に近づくと、頭がズキズキと痛む。
過去の罪が、オレを責めているようだ。

部屋の前で立ち止まった月子が「名を呼ばぬように」とオレに
囁いた。

誰の……とは聞かない。

月子は、蝶子の名前を出す事で蛇神が目を覚ますのを恐れ
ているのだ。

定位置に落ち着くと、月子は立ったままのオレに座るようにと
促す。

オレは、その場に膝をつき、深々と頭を下げた。

「六郎太、顔を上げなさい」

「できません」

「今日、來夢と夢を渡ったそうですね。何を見たのですか?」

「過去の真実を」

そう言うと、月子は「そう……」と、小さく息をついた。

「謝らなければならないのは、こちらの方です。記憶を改ざん
 するなど、やはり、人としていけない事でした。許してくださ
 い」

衣擦れと声の調子から、月子が頭を下げたのが分かる。
それには、オレの方が慌ててしまった。

「月子さま、止めてください。どうか、頭を……」

顔を上げ、体を乗り出したオレに、月子は「私に聞きたい事と
は何です?」と静かに尋ねた。
 
 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

うわっ、時間がギリギリ……^^;

しばらくは、副題の蛇神復活はなさそうなので、ロク視点の収束に

入っております。

蝶子との直接対決(?)は、近いのではと思いますが……^^;

それは誰の視点で書くべきか。。。

誰の視点かで、印象が変わるんですよねぇ^^;






明日は、友人たちと動物園に行くので、ここでお暇します。

ブログは、明日、帰ってから回りますね。おやすみなさいです。

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2011/08/31 23:31
>スイーツマンさん
 蝶子との対決では、ヒロインの瑞希を使いたいのですが、
 女の子の視点の方が難しいです ^^;
 ロクとW視点……だと、読み手が混乱するでしょうか ^^;
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2011/08/30 20:01
視点はロクでいいと思います
主人公ですから
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2011/08/28 23:29
>カトリーヌさん
 蝶子や月子、結月と言った大人達は、常に先回りして、ロク達が辛い思いを
 しないようにしていたのですが、未来を変える事は出来ませんでした。
 ただ、今まで記憶をなくしていたロクは、心に闇を背負って成長する事もなく、
 ポジティブな子になりましたので、それは良かったのかなぁと ^^;

 大きな動物はいなかったんですよぉ。
 蛇とか、ウサギとか、ポニーとか、きつねとか、ふくろうとか、サルとか。
 子供動物園みたいな感じです ^^
 へぇ、旭山は有名なんですか。あそこは、動物の見せ方が面白いですよぉ^^
 旭山のアザラシは、絶対に人間を観察してます ^^;
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2011/08/28 23:20
>ゴキブンさん
 旭山や円山(山が多いなぁ^^;)と言った、北海道では大きな方の
 動物園じゃなくて、牧場っぽい感じの動物園でした ^^
 トリマーを目指している友人が、アルバイトをしているんです ^^
 で、みんなで遊びに行く事になりました ^^
 蛇も見てきましたよ ^^
 今後、蛇神を書いていくなら、必要かと思ってw
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2011/08/28 03:38
ついにロクは自分の過去と対決するのね・・?
それを、薄々承知している月子。
さてどういう対決になるのでしょうか。

動物園って、呼び物の動物は何?
ラッコ? レッサーパンダ? 
もしかして、あの有名な旭山動物園?

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2011/08/28 00:06
動物園ですか?
動物の生態を研究に行かれるのかな
動物は人間の雄だったりして
おやすみなさいです




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