Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~ハナ~ (2)

俺は、辻堂冬馬《ツジドウ トウマ》

名前に冬が付くけど、夏生まれの三十五歳。
独身で、現在、彼女なし。
上に兄が二人、下に八歳下の妹がいる。

これでも、Webデザインの会社に勤める立派な勤め人だ。
だから、この“四辻堂《ヨツツジドウ》なんて、いかにも怪し
い雑貨屋の店主なんかでは断じてない。

あぁ!? この怪しさが分からない?

辻は、道端や道が交差した所で、特に四辻と言えば十字路
の事を指すって所まではいいよな?

大昔から、辻は、魑魅魍魎が集まる異世界への入り口とされ
てきた場所で……とか言うと、俺が胡散臭いヤツと思われる
か。

ああ、それなら、生活の場である村と危険な外の世界を繋ぎ、
尚且つ、境となる辻は特別な場所だった、と言い変えてもい
い。

それが交差する四辻なんて、最強クラスの要警戒ゾーンだ。

ちなみに、俺のファミリーネーム 辻堂は、辻にある小さな
仏堂の事で、田舎に行くと、お地蔵さんとか道祖神が置か
れている事があるけど、あれは村と外界を分ける結界の意
味があるのだ。

そう言えば、街では見かけないけど、交差点で事故が多かっ
たりするのは、辻堂がないからかも……。

あ~、話を戻そう。
そんな怪しい名前の店なんて、実家でなければ避けて通り
たいくらいだ。

自慢ではないが、俺は、その手の話が大の苦手なのだから。

ん? その割に詳しいって?

いや、苦手……なのだが、運命とは無情なもので、俺が生ま
れ育った環境が、それを許さなかったのだ。

なんと、我が辻堂家は、代々“退魔除霊師《タイマジョレイシ》
と言う名のゴーストスイーパーを排出してきた、得体の知れ
ない家柄だったのだ!

現代でも、これが人知れず、日本を化け物から守っているの
だから驚きだろう。

勿論、俺は違うぞ。
ご先祖さまに、化け物退治人がいたってだけで、何の力もな
い普通の人間だ。

とは言え、綿々と続いてきた怪しい裏家業との縁が、簡単に
切れる訳もなく……。

四辻堂では、普通の文房具の他に、退魔除霊――つまり、
化け物退治――に使う道具も扱っているのだ。

まあ、俺は、店の奥に置いてある棺サイズの白木の箱には、
絶対に近寄らないようにしているけど。

あ、それと、これは本来の店主の趣味なのだが、店舗、兼、
住居の住居部分には、奇奇怪怪な書籍を集めた部屋もある。

妹が言うには、本だけでなく、半分に折れた横笛とか、白目
が赤く充血した小面とか、赤黒い染みの付いた着物とか、お
ぞましい蒐集品の数々が無造作に置かれているらしい。

そこは忌まわしすぎて、俺の中では存在しない部屋だ。

時折、うっかり近くを通ると、誰もいないのに物音とか声とか
聞こえるけど……そ、空耳だ!

と、また話が脱線したので戻す。

退魔除霊師が退治するのは“妖かし”と呼ばれる化け物ども
で、俗に妖怪や悪霊なんて言われている胡散臭いヤツラだ。

実際に、ヤツラが見える人間は皆無で、俺にも見える訳では
ない。

ただ、俺の場合、側にいると感じるのだ。
背筋が凍り、全身に鳥肌がブワーっと広がるような強烈な悪
寒を。

これはハッキリ言って、生活するのにネックになる。

学生時代には、毎日のようにヤツラを避けて遠回りした為、
遅刻の帝王なんて不名誉な称号を頂いた。

ああ、急に大声を出したり、驚いて飛び上がったりして、落ち
着きのない子だと思われていた時期もあるな。

だが、その程度の事は、今更、怒る気にもなれない。

俺に構わないでくれれば、それでいい。
俺は、極普通の人間なのだから。

まあ、少しだけ そっちの素養があった親父は、自分の子供
達には大いに期待していたようだけどな。

だが、退魔除霊師になるのは、なぜか昔から女児ばかりだっ
たようで、御多分に洩れず、三男坊の俺は、気配を感じる程
度で何が出来る訳ではなく、長男である春彦は、妖かしが好
きな癖に全くの零能力者で役立たずだ。

割と力持ちだった次男の千秋《チアキ》も退魔除霊師の選別
からは漏れたのだが……。
 
 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

時間を1時間読み間違えてました orz

そんな訳で、今日も やや短いです ^^;

体調は本当に 9割回復したのに、ボケてますねぇ~。

明日は、少し早めに起きて、「いってらしゃい」を言いたいので、

今日はここまで。

お休みなさいませ ^^

あ~、もうグダグダです ^^;

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2011/09/28 23:47
>ゴキブンさん
 八重を神社から抜けさせるのは至難の業です。
 彼女も退魔除霊師にはなれませんが、力を持っているのです。
 少なくても、冬馬以上の……^^;
 八重も、冬馬が嫌いではないみたいですよ。
 でも、八重には真面目な所があるので、職務を放棄するような
 事もないと思います。
 今回は、夏香の事も問題になってくるので、八重の事も 含め、
 冬馬がどうするのかは話に入れていこうと思います。
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2011/09/28 23:39
>カトリーヌさん
 普通を自称する冬馬ですが、気配を感じて日常生活にも影響がある
 のですから、確かに神社に就職するべきでしょうねぇ^^
 八重の事はありましたが、意外と神社関係者の守りは万全なのです。
 妖かし除けのお守りも支給ですし、姿が見えるようになる眼鏡や、
 霊体系の妖かし遮断機能のある携帯電話も貰えますから ^^
 縁遠そうな商売に付いたのは、その手の事が嫌だったから……です
 が、案外、電話の電波と同じで、ネットも危険ではないかと、私は
 思います。(でも、冬馬には教えませんがw)

 月黄泉神社の南西方向にあります ^^(う~ん、どこなんだろう;;
 蒐集品は、春彦の趣味ですねぇ^^(よく変なモノを拾ってきます
 冬馬は、街で一人暮らしをしていますが、今は休みを取って、実家に
 戻っています。
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2011/09/28 01:42
なるほど
そういえばそんな感じのお話だったです
好きだという感情には独占欲が伴います
その独占欲から生まれる感情として嫉妬があります
その嫉妬は可愛くもあり危険でもありで恋にはかかせない要素だと思います
冬馬と八重が幼なじみということは独占欲の薄い関係になりますね
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2011/09/28 01:41
フツ~の男性とはいえ、それなりの気配を感じるとは、
トーマ氏もやっぱり、血筋ねぇ~(笑)
そのために色々と周囲のフツ~の人から、
ヘンに思われることもあったようだけど、それも運命かしら?
webデザインの会社に勤めるよりも、
家業(?)を継いだ方がいいかも・・除霊要請の窓口係とか(笑)。

四辻堂のお店にある、グッズや収集品興味あるわ~、
今度、伺った時に見せてね(といっても住所わからないけど・・(汗))





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