Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~ハナ~ (9)

まあ、事前に点けてみなかった俺も悪い訳で……。

俺は、足元を照らす春彦の灯りを頼りに行く事にした。

それほど広くなさそうな墓所だ。
はぐれて迷子になるような事もないだろう。

「こちらです」

懐中電灯の光に照らされた墓標は、まだ真新しい感じがした。

「夏香さんは、毎年、この時期になると必ず、こちらに みえて
 いたんですよ。昨日もお参りされていきました」

「そうですか、夏香が……」

墓には名前はなく、ただ“南無阿弥陀仏”と彫られている。

墓誌もないので、案内されなければ、ここが千秋の墓だと分
からなかっただろう。

墓前には黄色い菊の花が供えられ、綺麗に掃き清められて
いた。全部、夏香がしていったのだと言う。

昨日、夏香がここに来たと言うならば、何か残したのではな
いかと、俺は墓を調べてみる事にした。

と言っても、この死者の住宅街は、さほど広くないスペースに
密集しているので、墓石の後ろを歩く余裕はない。

真横から、体を伸ばして背面を覗き込む。

例えば、何か手紙みたいな物が隠されていたり、挟まってい
たりなんて事は……ないか。

夏香のやつ、なんで、こんな……ん?

「兄貴、ここ。ここ、照らしてくれ」

俺とは反対側に回った春彦が、墓石の裏側を照らす。
淡い光の中に浮かぶ十年前の日付と千秋の名前、そして……。

「住職、すいません。これは、いつ?」

俺が場所を譲ると、そこから覗き込んだ坊さんの顔が歪んだ。

「これは……」

「住職もご存知なかったようですね」

「勿論です。これは一体どう言う事でしょう。夏香さんに何が
 あったのですか?」

「だから、それを調べる為に俺達は……」

「冬馬! 住職、申し訳ないのですが、納骨室を開けて もらっ
 てもいいですか」

坊さんは、一瞬、戸惑ったような顔をしたが、正面に回り、軽
く読経した後、納骨室の蓋を開けた。

そこには当然、骨壷はなかった。が、紙に包まれた物が納め
られていた。

「兄貴、それ、何?」

「切れ端だ。多分、千秋の浴衣の。それと髪の毛」

「ちぃ兄の髪?」

「いや、ナツのだ」

「はぁ?!」

春彦は、納骨室の中を照らし、他に何もない事を確認した後、
包みをそっと戻した。

「じゃあ、あれ、冗談じゃないって事?」

「そうだな」

墓石の後ろに刻まれた千秋の名の横に、新たに彫り込まれ
ていたのは日付と名前。

それは、明日の日付と夏香の名前だったのだ。

「何、考えてるんだ。夏香のやつ!」

俺は苛立って、墓を拳で殴った。ただ痛いだけで、益々 腹が
立ってくる。

春彦は、首の後ろに手を当てて、考え込んでいた。が、考え
が まとまらないのか、何度も首後を擦っている。

「少々、よろしいでしょうか」

「え?」

「お二人宛に夏香さんから預かっているものがあります」

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

今日は短めです。





力尽きました。ちょっとヤバめです、私が... orz

今日、大抵 同じ時期に体調を崩す友人と話したら、彼女は、今、

肺炎になっているそうで ^^;

わ、私は大丈夫。そこまでは……そこまで酷くないよね?

高熱もない(微熱注意)ですし、息は出来ている(やや苦しい)し、

薬を飲んでいれば普通です。(多分ねぇ^^;)

そんな訳で、いつもなら水曜日は余裕があって、ブログ回りとか
 
するのですが、今夜は このまま寝ます。

明日、様子を見て回りますね。



はぁ~、どうして、世界には病気が溢れているのでしょう。

風邪も、インフルエンザも、肺炎も、みんな なくなればいいのに……。

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2011/10/22 23:35
>Beliver さん
 失敗すれば、死。
 成功しても、あまり愉快な事にはならないはずです。
 前の話で、タネ携帯を回収した事がどう作用するか……。

 全然、オケもロクも出てきませんねぇ^^;
 神社の方の動きは、視点がないので見せられませんし ^^;;
 これから、神社に向かわなければならないとは思いますけど……。

 いいですよぉ^^
 いくらでも、リューヤを待ちます (◡‿◡✿)
 私も、体調不良やリア忙で、思うように進んでいませんし ^^;
 合唱も頑張ってくださいね ^^v
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2011/10/22 23:17
>ゴキブンさん
 普通、日付や名前は墓標の横から彫っていくそうです。
 生前に生者の名前を入れる場合は、彫られた文字に朱。
 亡くなったら、日付を入れて、名前に墨を入れるそうですよ。
 隠すように後ろ側に彫られた千秋の命日。
 それと、千秋の命日の十年後の日付と、夏香の名前。
 仰るとおり、夏香の覚悟や決意の表れです。
 作者も具体的に何日に設定していたか、調べないと分かりませんが ^^;(あ
 メインキャストの誕生日のように、これも日付設定していたはずです。
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2011/10/21 19:48
え、夏香さん、死ぬつもり?
千秋さんと関係あるのかな、夏香さんのすること…

ほんとーに、オケ達に連絡してぇ~、後先が怖いよ~っ><


連載、遅れてすみません。
実力テストが終った後は、合唱練習があるので。。。
まだ時間掛かりそうですm><m
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2011/10/21 17:33
自分のお墓だったんですか
でも命日が気になりますね
ほんと夏香は何を考えているのでしょう
考えというより覚悟にもとれますが
墓に刻まれた昨日は何の日なんでしょう
911・311は一が最後に二つ
ということは811だったりして
1111の日も近づいてきました
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2011/10/20 23:52
>カトリーヌさん
 夏香は、ずっと考えていたみたいですねぇ。
 大切な人を喪った日から、時が止まっていたようです。
 冬馬には妖怪レーダーが搭載されているんで、危険だと思ったら
 逃げてくれると思います。
 ずっと妖かしに悩まされてきた分、普通の人よりは逃げ足は速い
 のではないかと ^^
 兄は、何も感じませんが、逆に妖かしに敬遠されるタイプなので、
 被害を被る事は少ないです。
 ただ、この二人が蛇神に近づくのは、ダメかも……。
 考えてみたら、まだロクの話が一度も出てないです ^^;

 うっ、ブタクサのアレルギー、持ってますぅ ^^;
 体力がついた事で子供の時よりはマシなのですが……。
 この時期の不調は、その所為なのでしょうか ^^;
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2011/10/20 02:10
う~むむむむぅ~。
夏香、自分の命日を事前に彫り込むとは・・・。
なにか覚悟を決めたのかしら???
トーマ&晴彦の御兄弟さんたち、それ以上、
行っちゃだめだってば。。。悪い予感が・・。
御山に行って、応援を呼んできた方が良いわ。
瑞希じゃなくても、ロクやオケでもいいから(笑)。

藍姫様、
風邪ではなくて、花粉アレルギーとか考えられませんか?
秋はブタクサの花粉が飛びます・・。
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2011/10/20 00:13
>スイーツマンさん
あ! ありがとうございます ^^
 ギリギリまで書いていたので、見直す時間がありませんでした。

 はい、危機感を あおってみました。
 お兄ちゃんズが、夏香の覚悟の表れを事前に知る事になって良かったです。
 本来であれば、全てが終わった後に来るはずでしたから……。
 人間が 創造主の定めた運命を変えられるのか……彼らとの勝負です。
 ここは 鬼のようなS主になって、ガッツリ行こうと思っています。
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2011/10/19 23:50
春彦氏の墓
 やはり仕掛けがありますね




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