「えっと、特別な意味で好きな人、かな？」

眠ってしまったのかと思うくらい長い沈黙の後､瑞希は「いるよ」
と答えた。

やっぱりね。ああ、心臓が胸を突き破りそう。
だけど､聞くのよ。一人でモヤモヤするくらいなら､はっきりと「そ
れは、ロクローでしょう？」って。
瑞希なら、誤魔化したりしない。ちゃんと答えてくれるから。

「ケイは？」

「え、アタシ？！　アタシは……アタシもいる」

「そうなんだ……」

「鈍くって、無神経で、エッチで……でもね、笑顔が温かくて、
　誰にでも優しくて、時々、すっごく格好いいの。ねえ、瑞希の
　好きな人は、どんな人？」

勢いで出た言葉に､アタシ自身､驚いた。が､いつまで経っても
瑞希の反応はなくて、不安になったアタシは体を起した。

「瑞……って、寝てるし」

覗き込んでも目を覚ます様子はない。
アタシが男の子だったら、キスしたくなるような綺麗な寝顔だ。

……ここの所イロイロあって、疲れたんだろうな。
瑞希は、アタシ以上に忙しい身の上なのだから。

無防備な瑞希に、すっかり毒気を抜かれたアタシは､溜め息を
つきながら布団に逆戻りした。

いずれ､好きな人を取り合う事になるかもしれないけど､もう少し
の間だけ、アタシ達､こんな穏やかな関係でいてもいいよね？

ん、もう少しだけ……ね？

とりあえず出した結論に安心したら、視界が徐々に ボヤケて、
アタシは、そのまま深い眠りに落ちていった。

　～ＥＮＤ～

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＜登場人物＞

★火沢　螢都 《カタク　ケイト》
　　火の退魔除霊師。二つ名は炎姫 《ｴﾝｷ》。
　　実は空手の有段者で、素手による退魔除霊を行う。
　　幼い頃から女ばかりの環境で育ったので、六郎太以外の
　　異性の前だと、借りてきた猫になる。
　　ずっと六郎太の事が好きだったのだが､なかなか素直にな
　　れず、瑞希の存在と､來夢の出現に、少々焦り気味である。
　　長い髪を高い位置で結んだツインテールがトレードマーク。

☆城野下　六郎太 《キノシタ ロクロウタ》
　　地の退魔除霊師で、犬神（属性は金(風)）を体に宿す。
　　潜在能力は高いが、イマイチ実力が発揮できていない。
　　六人兄弟の末っ子。瑞希、晶、静花は、母方の従姉妹。
　　大学に入り､瑞希と接する機会が増えた事で、異性として
　　ハッキリ意識するようになる。
　　自分へ向けられる好意に鈍く､女性陣の気持ちには、全く
　　気付いていない模様……。

★榊　瑞希 《サカキ　ミズキ》
　　水の退魔除霊師。現役退魔除霊師ではＮｏ１の力を持つ。
　　基本的に何でもこなし､清水持参で浄化を行う事が多い。
　　六郎太と静花は、母方の従兄妹。晶は、年の離れた妹。
　　來夢が六郎太といるのを見ると､落ち着かないらしく､やっと
　　自分の気持ちを自覚したようである。
　　が、なぜか､六郎太の想い人は、静花だと勘違いしている。
　　自分の事を“ボク”と言い、黒髪をショートカットにしている。

★亘理　來夢 《ワタリ　ライム》
　　水の退魔除霊師。他人の夢に干渉できる 夢渡り。
　　退魔除霊師の統括を行う晶の秘書のような役割を負う。
　　思い込みが激しく、六郎太との出会いに運命を感じている。
　　奥手が多い作品の中にあって､内心ドキドキしながらも､積
　　極的にアタックしている方だが、六郎太が鈍すぎて､上手く
　　伝わらないらしい。
　　女同士だと抜け目のなさが目立つが、意外と天然。
　　ほわっとした雰囲気で、スタイル抜群のメガネ女子。

　・・・☆・・・☆・・・☆・・・

と言う訳で、『～エンキ～』 終了ですｗ

短かったので、今回の登場人物の紹介を入れました。

個人的には､最後の場面の瑞希は､狸寝入りではないのか？ とｗｗ

だって、最近、彼女の事が よく分からないのですよぉ～ ＾＾；

彼女自身がいろいろ悩んでいて、作者としては、ハッキリした態度

を取らせられないのです ＾＾；；

今回は､螢都の視点にして、螢都のパワフルな仕事ぶりと内面の

女の子らしさを出そうと目論んだのですが､本当は瑞希も みんな

が思うほど強くないのかなぁと思う 今日この頃です……。




日曜日も暑ぅ～いっ！！

でも、夜になったら、急に寒くなりました ((ﾟ_ﾟ|||)))ｶﾞﾀｶﾞﾀ

北国の夏ですねぇ～ ＾＾