Nicotto Town


藍姫の本棚♪


苺と桃と。Ⅱ~犬のお巡りさん?~ (1)

<Side. 桃子>

人、人、人。
手の平に書いて飲み込む。

人、人、人。
う~、これで何人目だろう。

人、人、人。
お腹はふくれないけど、何だか気分が悪くなってきたかも。

初舞台、開演一時間前。
早めに楽屋に入った私は、衣装着用、メイク完璧で、鏡の前に
座っていた。
……何だか、自分じゃないみたい。

舞台メイクが濃い所為か、鏡の国から見返す私は、妖怪 “猫娘”
と化している。

でも、その現実離れした姿が、これから舞台に上がると言う実感
を強くしていく。

ああ、ダメ。緊張しすぎて、頭が真っ白になりそう……。

私は、もう一度、手の平に指を乗せた。

と、楽しそうなリズムで、ドアがノックされる。

誰だろう?
スミレちゃんなら、ノックなんてしないだろうし、サトくんの叩き方と
も違うような……。

「はい、どうぞ」

「失礼しま~す」

ノックの通り、楽しそうに入ってきたのは……。

「よっ、桃姫 《モモヒメ》。へぇ~、すっかりモモになってるじゃん」

「城野下くん!」

サトくんの幼馴染み ---なので、当然、私にとっても幼馴染みの
城野下 六郎太 《キノシタ ロクロウタ》 --- が、ひょいっと右手を上げて
入ってきた。

しかも……えぇっ、女の子と一緒?!

「スミ姉に入れてもらったんだ。これ、差し入れね」

「あ、ありがとう」

城野下くんが連れてきた女の子が……女の子 “達” が、入り口
付近で控え目に立っている。

ちょっと、妙な雰囲気だ。
その女の子三人が、城野下くんの彼女と言う感じでもなく、友達
と言う感じでもなかったから。

「ねえ、城野下くん。彼女達は?」

「ああ、そっか。えっと……」

城野下くんが手の平を上に向けて、まずメガネ女子を指した。

「彼女は、亘理 來夢 《ワタリ ライム》 ちゃんです」

亘理さんが、ニッコリ微笑んだ。
彼女は見た事がある。多分、同じ学部の子だ。

城野下くんが手を横にスライドさせて、小柄で、長い赤毛の女の
子を示した。

「で、その一番、ちっこいのが、火沢 螢都 《カタク ケイト》」

「ちょっ……小さいは余計よ!」

紹介された火沢さんが、すぐさま抗議したけど、城野下くんは「本
当の事じゃ~ん」と、からかう。

最後に残った女の子が「ロク」と短く嗜めると、城野下くんは、悪
戯を見つかった子供のような顔をした。

息を大きく吸い込んだ城野下くんは、少し緊張したように「榊 瑞
希 《サカキ ミズキ》。オレの……従妹なんだ」と、彼女を紹介する。
それが、なぜか誇らしげに見えた。

「私、姫野 桃子《ヒメノ トウコ》です。本日は、お運びいただき……」

「桃姫ぇ~。みんな、学部が違うけど同じ学校で同じ年だよ。で、
 オレのバイト仲間なんだ」

「そうなんだ。城野下くんって、バイトしてたんだね」

「まあね」

こんなに可愛い子ばっかり。
どんなアルバイトなんだろう。ウェイトレスとか?

と言うか、どの子が城野下くんの本命なんだろう?

何となく探るような目で見ていると、城野下くんが「あれ、いっちゃ
んは?」と聞いてきた。

城野下くんの言う “いっちゃん” とは、サトくん。
つまり、金田一 悟瑠 《キンダイチ サトル》 の事。
サトくんは、私の一番、大切な人……。

「サトくんなら、照明と装置のお手伝いで、舞台ソデにいるよ」

「そうなんだ。スミ姉ちゃんも人使い荒いよなぁ」

「あのぉ~」

小柄な彼女 ---火沢さんと言ったか--- が遠慮がちに話を切る。

「アタシ達まで、こんな所に入ってよかったんですか?」

「あ、全然かまいません。私、さっきから緊張しちゃって、気が紛
 れて良かったです」

「何だよ。桃姫、緊張してんのか? お守り貸してやろうか?」

城野下くんが、首から下げていた紐を引っ張り出して、紫色のお
守りを取り出した。

「月黄泉……それって山の上にある神社の?」

私の中に沈んでいた記憶が、突然、呼び起こされた。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

文字サイズ変えたり、色付けられるようになってる?!

でも、使い方がイマイチ分かりません ^^;

とりあえず、サイズと色、変えてみようっとw

って言うか、字数制限は? なくなったの??

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2009/08/01 21:43
>3スカーラさん
 人の名前を考えるのが苦手なのです ^^;
 話を考えていて、一番時間がかかる所なんですよ。
 小学校の頃から、漢字がダメで…… ^^;;
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2009/08/01 19:43
藍姫さんの作品は、登場人物の本名とかあだ名とか、ちょっとひねっていて、
けれど凝りすぎではない感じが素敵だと思います。
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2009/07/30 21:25
>十里瑞希さん
 実は、↑ 書式、直したのよぉ ^^;
 書く時も、戸惑います ^^;;

 最初に、イチゴに誘われて、一人で行くの面倒だなぁ~と
 思っていた所に、ケイが食事に誘ってきたので、それなら
 みんなで行こう! と、ロクが勝手に思ったのですよ。
 可哀想なのは、ケイ。デートのお誘いのつもりだったし ^^;

 劇の内容は、ほぼ前作と同じなので、割愛してます ^^
 今回、このシリーズは、『退魔除霊師』と地続きだと言う事
 を前面に出した話になっておりますw
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2009/07/29 23:00
別に読みにくくはないけど…
慣れてないせいか微妙な感じw

しかし…女の子を誘ってまで女の子に会いに来るロクはどうなんだろうかww

てかこっちの続編が来たかw
わくわくw
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2009/07/29 21:45
>ゴキブンさん
 確かに ^^;;
 本文だけでも、元の書式に戻しますねぇ ^^
 はい、金曜日の放課後です。
 でも、視点は、ロクの友達と、その彼女ですけどw

 劇の題名は『ネコノ恩ガエシ』です。
 内容は、『苺と桃と。~猫の恩返し~』参照って事で ^^
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2009/07/29 21:30
少し、読みずらいです。
金曜の放課後になりましたか。
何の劇だろう・・・・犬のお巡りさん。
そんな訳ないですね。




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