<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (13)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/07/31 17:43:16
「こんなとこ、どうやって登るのよっ!」
そびえ立つ岩壁の前で、怒りのこもった声を上げて、水華は座り込みました。
最初の内、緩やかだった山道は、徐々に険しさを増し、ついには垂直の壁が現れたのです。
「ここは登らないよ。魔力の温存だ。遠回りだけど、向こうに回ろう」
燐悟は遠回りが多すぎだよ と、水華は思いましたが、崖を登る気力も魔力もありません。
細かい魔法が苦手な水華は、ここまで来るのに魔力を使いすぎてしまったのです。
「えいっ」と掛け声を上げながら、水華は立ち上がり……思わず よろけました。
一端、休んでしまうと、体は動かなくなってしまうようです。
「水華ちゃ~ん、大丈夫ぅ~?」
そう言った深柑も息苦しそうです。深柑の疲れもピークなのでしょう。先程から口数が減っていましたから。
「おいおい、二人とも大丈夫か?」
「私は……」
もう限界です。足が動きません。
水華が黙って空を見上げると、丁度、真南にあった太陽が、雲に隠れる所でした。
「ね、お昼だし、少し休まない? これじゃあ、卵を見つけても、何も出来ないよ」
「そうだな。あと一息だし、昼にするか」
「わぁ~い、お弁当、お弁当~♪」
途端に元気になった深柑に、水華と燐悟は、顔を見合わせて苦笑いしました。
「予ほぉ~以上にキフいね~」
「マヒれ、星ひほふはぁ~?」
「二人とも食べながら喋らなぁ~い!」
「 「 は~い 」 」
お腹が一杯になると、少し疲れが取れたような気がしてくるから不思議です。
しばし、課題の事は忘れて、三人は、深柑のお弁当の話で盛り上がっていました。
「あ、この卵焼き、美味い!」
「海鳴りスズメの卵なの。希少なんだってぇ」
「このミートボールも柔らかくていいな」
「幻の竜哭牛 《リュウコクギュウ》 なんだぁ」
「ねえ、燐悟のおにぎりから……虫の足みたいな物が出てるんだけど」
言い辛そうに 水華が指摘すると、何も考えずに おにぎりにかぶりついた燐悟が涙目になりました。
「ああ、それはね、王様バッタの佃煮……あ~、出しちゃダメだよぉ、勿体無ぁ~い」
「虫なんか食えないよ!」
深柑が「美味しいのにぃ~」と言いながら、燐悟に他のおにぎりを手渡しました。
「こっちは、千年梅だから平気だよぉ」
「梅もあったのかよ。うわっ、ハズレ引いたぁっ!!」
嘆く燐悟を尻目に、好奇心の強い水華は、王様バッタの佃煮を一口食べてみました。
見た目はアレでしたが、味も食感も、水華は嫌いではありません。と言うか美味しい!
「食わず嫌いって損よね」
「え、何が損だって?」
「何でもない。ねぇ、それより……少し曇ってきたと思わない?」
さっきまで見えていた青空が、ネズミ色の雲に覆われていました。
「山の天気は変わりやすいからな。降ってくる前に、課題を片付けよう」
そう、ここに遊びに来た訳ではないのです。
現実を思い出して、水華は、ちょっとだけ気が重くなりました。
中腹に辿り着いた時、辺りは深い霧に覆われていました。
まるで白い闇です。1m先も見えません。
三人は、それぞれ小さな光の球を灯して、お互いの位置を確認し合いながら、火喰い鳥の卵を探していました。
「ここはハズレ、か。ねえ、そっちは?」
「ダメだ、卵はない!」
「こっちも殻だけだよぉ~!」
視界が悪すぎて、これでは埒があきません。
霧が晴れるまで待つしか……あれ? 今、霧の中で、何か動いたような??
不用意に水華は近づき、そして……。
遠くから雨の音が聞こえてきます。
水華が目を開けると、火に照らされた洞窟の天井が見えました。
卵を探していたはずなのに、どうしてこんな所で眠っていたのでしょうか?
ぼんやりして、頭が上手く働きません。
「やっと気が付いたか」
声のした方に顔を向けると、焚き火の向こう側に、新月の生徒 -- 朔黒 《ザクロ》 が座っていました。
かつて、朔黒のチームには ひどい目の合わされたので、水華は警戒しました。
「な、なんで、あんたがっ?!」
「助けてやったのにご挨拶だな。こちらが何をしようと、お前には関係ない……と言いたい所だが、お前も仲間とはぐれたんだろう?」
お前 “も”? と言う事は、今、二人きり? さ、最悪……。
水華は、急いで起き上がろうとして、眩暈を起しました。
「まだ、動かない方がいい。頭は打ってないと思うが、ここまで来るのに魔力を使いすぎたんだろう」
「ふぅ~ん、本当に助けてくれたんだ」
マイナスばかりの評価を上方修正していると、朔黒は冷たく言い放ちました。
「目の前で死なれたら、気分が悪いからな」
うわっ、感じ悪っ!
気分を悪くしつつも “食わず嫌いは損” と、心の中で呪文のように唱えるの水華なのでした。
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UP完了 ^^
お次は、十里瑞希さん、よろぉ~ (●^ ^●)/
何があったのでしょうねぇ~ ^^;
神のみぞ知る?
本来は、最後まで考えてから、書き始めるスタイルなので、
リレー形式はスリリングです ^^;
でも、一人ではないので、気持ち的には楽かも (●^ ^●)
UP了解w
どんな話になっているのか、ワクワクします^^
キャラ崩壊したけど気にしないでねww
なにがあったww
うわぁ…
マジで後先考えてないよこの人…ww
後先を考えず、相棒にバトンタッチ出来るがリレー小説のスゴイ所ですね ^^
どんな話になるんだろうなぁ~と 自分でも楽しみですし、勉強になります。