Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (13)

「こんなとこ、どうやって登るのよっ!」

そびえ立つ岩壁の前で、怒りのこもった声を上げて、水華は座り込みました。

最初の内、緩やかだった山道は、徐々に険しさを増し、ついには垂直の壁が現れたのです。

「ここは登らないよ。魔力の温存だ。遠回りだけど、向こうに回ろう」

燐悟は遠回りが多すぎだよ と、水華は思いましたが、崖を登る気力も魔力もありません。

細かい魔法が苦手な水華は、ここまで来るのに魔力を使いすぎてしまったのです。

「えいっ」と掛け声を上げながら、水華は立ち上がり……思わず よろけました。

一端、休んでしまうと、体は動かなくなってしまうようです。

「水華ちゃ~ん、大丈夫ぅ~?」

そう言った深柑も息苦しそうです。深柑の疲れもピークなのでしょう。先程から口数が減っていましたから。

「おいおい、二人とも大丈夫か?」

「私は……」

もう限界です。足が動きません。

水華が黙って空を見上げると、丁度、真南にあった太陽が、雲に隠れる所でした。

「ね、お昼だし、少し休まない? これじゃあ、卵を見つけても、何も出来ないよ」

「そうだな。あと一息だし、昼にするか」

「わぁ~い、お弁当、お弁当~♪」

途端に元気になった深柑に、水華と燐悟は、顔を見合わせて苦笑いしました。




「予ほぉ~以上にキフいね~」

「マヒれ、星ひほふはぁ~?」

「二人とも食べながら喋らなぁ~い!」

「 「 は~い 」 」

お腹が一杯になると、少し疲れが取れたような気がしてくるから不思議です。

しばし、課題の事は忘れて、三人は、深柑のお弁当の話で盛り上がっていました。

「あ、この卵焼き、美味い!」

「海鳴りスズメの卵なの。希少なんだってぇ」

「このミートボールも柔らかくていいな」

「幻の竜哭牛 《リュウコクギュウ》 なんだぁ」

「ねえ、燐悟のおにぎりから……虫の足みたいな物が出てるんだけど」

言い辛そうに 水華が指摘すると、何も考えずに おにぎりにかぶりついた燐悟が涙目になりました。

「ああ、それはね、王様バッタの佃煮……あ~、出しちゃダメだよぉ、勿体無ぁ~い」

「虫なんか食えないよ!」

深柑が「美味しいのにぃ~」と言いながら、燐悟に他のおにぎりを手渡しました。

「こっちは、千年梅だから平気だよぉ」

「梅もあったのかよ。うわっ、ハズレ引いたぁっ!!」

嘆く燐悟を尻目に、好奇心の強い水華は、王様バッタの佃煮を一口食べてみました。

見た目はアレでしたが、味も食感も、水華は嫌いではありません。と言うか美味しい!

「食わず嫌いって損よね」

「え、何が損だって?」

「何でもない。ねぇ、それより……少し曇ってきたと思わない?」

さっきまで見えていた青空が、ネズミ色の雲に覆われていました。

「山の天気は変わりやすいからな。降ってくる前に、課題を片付けよう」

そう、ここに遊びに来た訳ではないのです。

現実を思い出して、水華は、ちょっとだけ気が重くなりました。




中腹に辿り着いた時、辺りは深い霧に覆われていました。

まるで白い闇です。1m先も見えません。

三人は、それぞれ小さな光の球を灯して、お互いの位置を確認し合いながら、火喰い鳥の卵を探していました。

「ここはハズレ、か。ねえ、そっちは?」

「ダメだ、卵はない!」

「こっちも殻だけだよぉ~!」

視界が悪すぎて、これでは埒があきません。

霧が晴れるまで待つしか……あれ? 今、霧の中で、何か動いたような??

不用意に水華は近づき、そして……。




遠くから雨の音が聞こえてきます。

水華が目を開けると、火に照らされた洞窟の天井が見えました。

卵を探していたはずなのに、どうしてこんな所で眠っていたのでしょうか?

ぼんやりして、頭が上手く働きません。

「やっと気が付いたか」

声のした方に顔を向けると、焚き火の向こう側に、新月の生徒 -- 朔黒 《ザクロ》 が座っていました。

かつて、朔黒のチームには ひどい目の合わされたので、水華は警戒しました。

「な、なんで、あんたがっ?!」

「助けてやったのにご挨拶だな。こちらが何をしようと、お前には関係ない……と言いたい所だが、お前も仲間とはぐれたんだろう?」

お前 “も”? と言う事は、今、二人きり? さ、最悪……。

水華は、急いで起き上がろうとして、眩暈を起しました。

「まだ、動かない方がいい。頭は打ってないと思うが、ここまで来るのに魔力を使いすぎたんだろう」

「ふぅ~ん、本当に助けてくれたんだ」

マイナスばかりの評価を上方修正していると、朔黒は冷たく言い放ちました。

「目の前で死なれたら、気分が悪いからな」

うわっ、感じ悪っ!

気分を悪くしつつも “食わず嫌いは損” と、心の中で呪文のように唱えるの水華なのでした。

  *★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*

UP完了 ^^
お次は、十里瑞希さん、よろぉ~ (●^ ^●)/

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2009/08/02 15:55
>十里瑞希さん
 何があったのでしょうねぇ~ ^^;
 神のみぞ知る?

 本来は、最後まで考えてから、書き始めるスタイルなので、
 リレー形式はスリリングです ^^;
 でも、一人ではないので、気持ち的には楽かも (●^ ^●)

 UP了解w
 どんな話になっているのか、ワクワクします^^
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2009/08/02 05:44
UPしたよ~w
キャラ崩壊したけど気にしないでねww
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2009/08/02 04:36
ちょww
なにがあったww

うわぁ…
マジで後先考えてないよこの人…ww
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2009/08/01 21:39
>あかつきさん
 後先を考えず、相棒にバトンタッチ出来るがリレー小説のスゴイ所ですね ^^
 どんな話になるんだろうなぁ~と 自分でも楽しみですし、勉強になります。
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2009/08/01 10:00
おおっ?一体何があったのでしょう~




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