Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~イヌガミ~ (8)

イッチャンは、意気揚々と “妖かしを閉じ込めた館” を目差して
歩き出した。

「だっ、駄目だよ、いっちゃん。絶対に面白くないって!」

「トワイライト・マンションは、ここの一番人気のアトラクションだぞ?
 ロク、まさかお化けが怖いのかぁ~?」

「怖くはないけど……」

なるほど、館の正体は “お化け屋敷” か。
が、所詮は作り物。本物の妖魔や悪霊と渡り合う犬神に、怖い
モノなどない……いや、訂正しよう。

犬神が怖いのは、月神子と妹君くらいだ。

「じゃあ、GOだろう?」

「でもさ、すっげぇ混んでるし」

「そりゃあ一番人気だからな」

「アッキーが帰った訳だし、心置きなく絶叫系に乗れるんだか
 ら、そっちにしようよ」

「速いのは、もう勘弁してくれ。それに、ある意味、あれも絶叫
 系だぞ?」

「そうかもしれないけど……」

犬神は、行列に並ぶイッチャンとモモ姫を館から遠ざけようと、
必死になっている。

なぜ、一言 “危険な妖かしがいるから” と言わないのだろう。

今の所、彼らが危害を加えられる可能性は少ないと思うが、“念
の為”
だと犬神が言えば、強行はしないはずだ。

「ロク、落ち着いて。大丈夫だよ。ボクが何とかするから」

月神子に腕を引かれて、犬神は、渋々引き下がった。
が、緊張しているのか、表情が硬い。

『犬神、何をそんなに焦っている。神子殿と二人でなら、万が一、
 あの二人が危険になっても守りきれるであろう』

犬神は、我に笑おうとして失敗した。少し顔色が悪い気がする。

『犬神? まさか怖いのか? お主ほどの者が何を恐れる』

「オレは……」

犬神は、我にだけ聞こえるくらい小さな声で「友達に化け物だっ
て思われるのが怖いんだよ」と言った。




 


列が進み、あまり待たされる事なく、我らは館の中に進入した。

建物の中にはなぜか墓場があり、その間を黒い格好をした案
内人が一人、十人前後の組になった客を引き連れ、ぞろぞろ
歩く。

その者の説明によると、この地方には、恐ろしい怪物の伝説が
あり、夕暮れになると死者達を引き連れて、村を襲いにやって
くるのだとか。

案内人が指差した遠くの山に、西洋風の城が建っている。

どうやら、我らは、そこに住む怪物の親玉を討ち果たす為に招
かれたらしい。

「館に至る道は昼間でも暗く、深い森や沼地が続いております。
 もしも、迷えば生きて出る事は叶わぬでしょう。どうか、お近く
 にいる大切な人の手をお離しにならないように……」

そう言われて、犬神と月神子以外の番 《ツガイ》 は、どこか楽し
げに微笑み合いながら手をつないでいる。
イッチャンとモモ姫も、だ。

中に本物が紛れ込んでいるとは知らずに、客は寸劇を楽しんで
いるようだ。実際、手などつないでいたら、戦えまい。

案の定、犬神と月神子は、妖かしモノの気配を探るのに忙しく、
手をつなぐどころか、話も聞いていない。

「おい、イチロー」

『ん? どうした、犬神』

「血の臭いが、あちこちからしてないか?」

『む、確かに……』

「一方が怪我をして、もう一方が追っていると言っていたね」

『はい、追っている方が危険な気配でした』

「多分、追われている方が、ここから出られない事を知って、血
 をイロイロな所につけたんだろう」

「それって、相手を混乱させて、撒く為に?」

「うん。でも、幽かな妖気は抑えきれていない。まずは、怪我を
 している方と接触しよう。追っている方も直ぐに現れる」

コソコソ話している犬神と月神子に、イッチャンとモモ姫が近づ
いてきた。

「なあ、ロク達は、どのルートで行く?」

「は? ルート??」

「城野下くん、話、聞いてなかったの?」

『村を襲う化け物退治しに行く設定だ。ここから、あの城までは
 乗り物に乗っていく。道は三つ。好きな道を選べる』

こっそり教えると、犬神は「勿論、聞いてたよ」と胸を張る。
が、すぐに襤褸が出た。

「ふ~ん、じゃあ、どこから行くんだよ」

「え、あ、え~と……」

どんな道があるかまでは、犬神に話しかけられた為、我も聞い
ていなかった。

視線を彷徨わせた犬神を助けるように、月神子が「あっちだ」と
答えた。

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

お化け屋敷は苦手です (´_`。)

歩いていくのは、絶対に無理!

乗り物に乗っていけるものなら、何とかなりそうですけど…… ^^;




さっきまで、頭 痛くてヘロヘロでしたが、急に元気になりましたw

やっと調子が出てきたみたいですが、もうすぐ寝る時間。。。

制限時間の23時までブログめぐりですw

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2009/09/30 20:09
>スイーツマンさん
 新しい方がドンドン増えてますね。
 私は、昨日、ヒナさんの小説を読んできました。
 幸せな時間でございました (●^ ^●)

 いつも、私ごときがコメントを書いてもいいものかと思うのですが ^^;
 確かに、コメントがあると嬉しいですものねw
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2009/09/30 19:58
サークル会報 (自作小説倶楽部よりのおしらせ)


自作小説倶楽部 新入会員のご紹介

藤菊 和佐さんが入会されました。よろしくおねがいします。
   更新中 『Six attributes』 
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 自作小説作家の報酬は、読んでいただくこと。コメント欄に、「面白い」の3文字があるだけでも泣いて喜びます。この機会に当サークルへご入会いただき、自作小説作家の皆様とご交流をはかっていただければ幸いです。
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2009/09/29 23:07
>ゴキブンさん
 Mのお化けさんですね ^^
 アパートに来てくれるといいですね。
 あ、でも、もれなく鬼もついてきそう…… ^^;
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2009/09/29 22:15
藍姫さん、綺麗な美人のお化け欲しいです。
シコシコしてもらいます。
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2009/09/29 21:51
>ゴキブンさん
 アパートにお化けは……いないんですよね?

 友人に恐怖スポット巡りが好きな子がいまして…… ^^;
 私は、絶対に行きませんでしたけどねぇ ^^;;
 怖い話を聞いたり、観たりするのは好きなんですけど、
 実際に行くとなるとダメダメです><

 妖かしが何をしているかは……次回w

 吊り橋効果と言う意味では、ロクの周りは吊り橋だらけ
 ですねぇ~ ^^
 ロクは単純なので、押せ押せで攻められると弱そう ^^;
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2009/09/29 21:38
お化け屋敷ですか。
私のボロアパートもお化け屋敷に近いです。
妖かしモノが二匹、初めてですね。
それもおにごっこをしているみたで。
妖かしモノの世界にも縄張りがあるのかな。
あっそれから、吊り橋を思い出しました。
同じ場所で恐怖体験をした者同士、恋愛関係に落ちやすい。
人間恐怖を感じると、脳内に恋愛と同じ物質がでるそうです。




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