Nicotto Town


藍姫の本棚♪


<リレー>まぁるいおそらはだれのもの? (33)

〈side 水華・深柑・織葡・火和〉

燐悟達が廃村で眠りについた頃より、少し時間を遡って……。




“地下迷宮”のある “石造りの都”での昼下がり。

拠点となる深柑の別邸で昼食を食べ終えた水華は、書庫で迷宮の地図を見つけました。

深柑の曽祖父が、地下迷宮の発掘に携わっていたと聞いた時から、もしかしたらと思っていたようです。

「他に参考になりそうな物は、ひぃおじいちゃんの日誌くらいかなぁ?」

「後で読むから、そこに置いておいて」

「はぁ~い」

顔に近づけたり遠ざけたりしながら、地下迷宮の地図を見ていた水華は、ふっと頭を上げました。

「織葡! 石造りの都の地図を、この地下迷宮の地図と同じスケールで作ってくれる?」

「はい、水華さま」

一緒に部屋をあさって……いいえ、調査していた織葡が、魔法で白紙に地図を描いていきます。

「ねぇ、水華ちゃん。廃都の地図を作ってどうするのぉ?」

首を傾げる深柑に、水華が逆に問いました。

「深柑は、地下迷宮が何の為に作られたと思う?」と。

「う~ん、個人的には、探検ごっこして遊ぶ為だったらいいなぁと思うけど……」

可愛らしく舌をペロッと出して「そんな訳ないよねぇ」と深柑が笑いました。

「あの……有事に王族が城から脱出する為ですか?」

お茶とオヤツを運んできた火和が、おずおずと、一番 有力視されている説を答えます。

織葡に、都の地図を手渡された水華は、ニッと悪戯っ子のような笑みを浮かべました。

「私はね……」

水華は、地下迷宮の地図と、石造りの都の地図を重ねて、日に透かしてみました。

「地下都市説を唱えるわ!」

なるほど、地下迷宮の大広間と、石造りの都の要所は、ぴったりと重なっています。

「うん、やっぱりね。同じような機能を持つ都市を地下にも作るつもりだったのよ」

「でも、どぉして? あたしなら、お日様の下で暮らす方がいいよぉ」

「私にも古代人の考える事は分からないけど……うん、私達の目的地はここね」

そう言いながら、水華は、地下迷宮の地図に印をつけました。

地上で“公衆浴場”に当たる場所には、何も書かれていなかったのです。

「流石、水華さまですね」

「これで迷宮でも迷う事はないですね」

「すごぉ~い! お祖父ちゃんがね、発掘に必要なのは、一瞬のヒラメキと運だって言ってたよ」

「確かに運はいいかもね。さてと、私達は、ここに行けばクリアだとして……」

水華は、真面目な顔で双子の顔を交互に見つめました。

「織葡と火和の“地下迷宮の珠”の事だけど、何か調べてある?」

「いいえ、急に決まったものですから……」

「だよね。じゃあ、ここの資料を見せてもらいなさい。いいよね、深柑」

「いいともぉ~♪」

「  「  ありがとうございます!  」  」

「その間に、私と深柑で街を見回ってくるわ。夕食の支度もあるし」

「えぇ~、今日は迷宮に入らないのぉ?」

「移動の魔法でみんな疲れているし、迷宮探索は、明日の朝から始める事にしましょう」

水華の言葉に、三人は力強く頷きました。





「ねえ、水華ちゃぁ~ん」

壊れた石畳の道を歩きながら、深柑が、水華の顔を覗き込みました。

「何か隠し事してるでしょ?」

「やっぱ、バレた?」

「当たり前だよぉ。長い付き合いだもん」

「でも、あの二人は巻き込めないし、ね」

「あたしは、巻き込まれてもいいよねぇ?」

「勿論よ。私達の本の中に“未完成の石に命の息吹を与えよ”って課題があったの」

「ミカン星の医師??」

「って、誰っ?! 未完成の石!」

「あ~、出来あがっていない石って事かぁ~」

「場所が書いてないし、星1つだから気にしてなかったんだけど、石と言えば“石造りの都”でしょう?」

「あ、そっか。そうだよねぇ」

「それとね。これは、さっき、街の地図を作ってもらって気付いたんだけど……」

水華は、ピンと人差し指を立て「ここに、魔宝石の加工工場があったの」と、地図を指しました。

魔宝石は、魔力を増幅させる宝石です。

質のよい魔宝石は、希少で高価なので、学生である水華には縁のない物ですが……。

「ねっ、6つ目の星はいただきでしょう!」

それに、廃棄された魔宝石の欠片でも見つけられたら、燐悟へのいいお土産になります。

魔宝石は、欠片でも魔力UPの足しにする事が出来るのですから……。

水華は、燐悟が驚く顔を想像して、ちょっと嬉しくなりました。

「じゃあ、はりきって行くわよ!」 「はぁ~い!」





燐悟と別行動して半日。

勘が冴えまくりの水華は、星1つと小さな魔宝石を手に入れたのでした。

  *★*☆*★*☆*★*☆*

次回は、藤名瑞希くんw

ヨロシクね~♪

アバター
2009/10/03 21:58
>藤名瑞希さん
 水華、冴まくりですw
 やっぱり、ヒラメキと運ですねぇ~ ^^

 少しでも、チーム唯一の男子、燐悟に活躍の機会を
 与えてあげたいですw
 & 喜ぶ顔が見たい気がしますww
アバター
2009/10/03 21:53
水華ww
星ってww
燐悟の顔が楽しみだわ…ww




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