Nicotto Town


藍姫の本棚♪


退魔除霊師 ~ヒミコモリ~ (7)

自信満々に歩き出した六郎太さんの後ろを歩きながら、ぼく
は柄佐を気にしていた。

柄佐は、先程から元気がない。
自分を呪っていた相手との対面に緊張しているのか、昨日、
ぼくを訪ねてきた時と同じ状態に戻っている。

どう声を掛けていいか分からず、ぼくは視線をあちらこちらに
泳がせた。
何か気が紛れる物があればと期待したのだが、あるのは見
慣れた景色だ。

一体、どこに向かっているんだろう?

六郎太さんは、目を瞑ったり、ついっと顎を上げるような仕草
を繰り返す。
もしかすると、どこに行ったらいいのか 分かっていなかったの
かも……。

「六郎太さん、本当に呪詛の犯人の所に向かっているんです
 か?」

「ん~、犯人って言うか、この紙を仕掛けた者としか言いよう
 がないなぁ~。真相は聞かないと分からないし」

「はぁ? 犯人が分かったんでしょう?」

「分かったって言うか、これから分かるって言うか」

「なんですか、それ」

「瑞希《ミズキ》が言うには、これは呪詛ではないんだってさ」

瑞希さんは、姉さんよりも一つ年下――つまり、六郎太さん
同じ年――の退魔除霊師で、実力からいくと彼らのトップな
のだ。

あれが呪術でないなら、何なんだ?

「……呪いじゃない?」

黙りこくっていた柄佐が、ぼくと同じ疑問を ぼそっと呟いた。

「そう。だから、害はないらしい。よかったな、ツカっち」

「でも、何だって、こんな……」

仕掛けたヤツは、柄佐にこんな事をして何が楽しいんだ?

「それを聞きに行くんだよ」

誰かも分からないのに?

が、六郎太さんは、足を止める事なく、やがて、一つの門の
前で足を止めた。

「おい、小鉄。ここって……」

「うん、ぼく達の中学だ」

「そうか。紙の主は、ここにいるみたいだな」

六郎太さんの目が少しだけ真剣さを帯びた気がした。




 

ぼく達は、校舎の中には入らず、校庭を横切った。
向かう先にあるのは、花壇くらいだ。

が、胸騒ぎがする。何かがあるのは間違いないだろう。

一歩一歩、慎重に足元を踏みしめるように行くと、やがて、
花壇に屈み込んでいる人が見えた。
何かを探しているのか、こちらには気付いていない。

こいつが術を?
同じくらいか少し年上にしか見えないのに?

柄佐が、怪訝そうに ぼくを見つめる。
多分、ぼくも、同じような顔をしていただろう。

「よお! 探し物?」

突然、六郎太さんが明るい声を上げたので、ぼくは驚いた。
勿論、言われた方も驚いただろう。

でも、一瞬、目を見開いただけで、後は、ぼく達の顔を見回し
て「まあね」と澄まし顔で返してきた。

「手伝おうか?」

「いいよ。たいした物じゃないから」

「そうかなぁ。オレ、役に立つけど?」

そう言って、六郎太さんが あの紙を掲げると、そいつはニィッ
と口角を上げた。

「それが何?」

「お前のだろう?」

「さあね。どうして、それがボクの物だと思ったの?」

「オレ、鼻が利くんだよねぇ。警察犬並みに」

「ふぅん、その紙が仮にボクの物だとして、それがどうしたのさ」

「これ、術なんだろう? まあ、術者がこんな子供だとは思わ
 なかったけどね」

「へぇ、ボクとあんたと、そんなに違わないように見えるけど?」

少し挑戦的な口調に、六郎太さんは、大人気なくムッとした。

「お前、いくつだよ」

「中二だよ」

なんだ。ぼくと同じ年だったのか。

「オレは大学一年だ!」

「飛び級?」

「してない!」

やはり、六郎太さんに、容姿と身長の話題は鬼門だったか。
少々熱くなっているようだ。

「ねえ!」

六郎太さんに頭を冷やしてもらおうと、話に割り込んだ。
視線が一斉に ぼくに集まる。

「き、君は、その……何でもないのか?」

「はぁ?」

「呪術は反動があるんだろう? 体に悪影響はないのか?」

すると、なぜか可笑しそうに笑った そいつは「平気だよ」と、
答えた。

「これ、ボクのオリジナルなんだ。呪術じゃないから」

 ・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・☆・・・

今日は大慌てです ^^;

いつも以上の誤字脱字が多いかも ^^;;





これから、お出かけですw

集合場所は近いので、出発するのは一時間後ですが ^^

今日は、伝言板とお友だちへの駆け足ステプで失礼します♪

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2009/12/30 22:17
>スイーツマンさん
 彼もロク達と同類です。
 友達には力を隠していると言う意味では、ロクと一緒ですねぇ ^^
 一人称が 小鉄なのが、ここに来てネックかも、です ^^;
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2009/12/30 22:16
>ゴキブンさん
 そんなに ひねった話には出来ませんよぉ~ ^^;
 説明するのが難しいですから ^^;;
 作者の力量のなさですね (◡_◡|||)ズーン
 人の複雑さを書くのは難しいです。
 なので、単純さの方を書いていきます ^^
 副題の意味を次回で出せそうですw
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2009/12/30 22:12
>3スカーラさん
 彼の場合、周りにいるのが年上ばかりだったので、対峙する者に ひねくれた
 印象を与えるのかもしれません ^^
 余裕は ありますねぇ~ ^^
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2009/12/30 18:37
謎の少年。術ではないのならトリック? 次回更新は年内なるか!
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2009/12/30 09:38
犯人は中二、男性、人間
「ボクのオリジナル。呪術じゃない」
ということは、犯人が考えた心理的いやがらせ。
因果応報を逆手にとった犯行。
柄佐少年は犯人に何をしたのか?
本人に直接危害を加えたとは考えにくいので
犯人が大切にしていたものを奪ったか壊したか。ですね
「花壇」の言葉がキーワード
ゴキブンの推理でした。

瑞希さんは、元気そうですね
アッキーは、少し大きくなったのかな


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2009/12/29 17:56
「飛び級?」
「してない!」

という掛け合いがクスッと笑えます。
犯人(術者というべきか?)はいきなり三人に乗り込まれたのに
余裕がありますね。




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