Nicotto Town


零崎儚織の人間摩擦


2話 衝撃のファースト生徒会長

 一つの空間。それ程広くない場所、しかし不自由するほどの狭さではない場所。
 壁際にはホワイトボードがあり、『今月の目標:脱衣禁止! 見捨てるの禁止! 押し倒すの禁止!』と書いてある。
 他には書類棚、掃除道具入れ、本棚、パソコンラック。
 部屋の中央には、細長い机をいくつか並べて作った机、そして4人分の椅子がある。机の上には誰かの私物なのかグローブやネックレスがある。
 生徒会室だ。
 部屋にいるのは1人の少女と1人の少年。
 少女は椅子に座りパソコンを弄り、少年は窓際に立ち外を眺めている。
「……そういえば、あの二人は何処に行ったの?」
 と、少女の方が口を開く。
 それに対し少年は
「どうせ二人きりの時間に突入しているのであろう。――まったく、するなら授業中に抜け出してやればいいものを。俺達の仕事に支障をきたすのは止めて欲しいものだ」
 と、少し呆れの混じった声色で返す。
 大神と黒間だ。
 二人は放課後、生徒会室に集まった。
 窓から入る光は、まだ明るい。二人はホームルーム終了直後にここへ来た。「生徒会の仕事がある」と言い掃除をせずにだ。
「まったく、俺達は世界の命運をかけて戦っているというのに……アイツ等ときたら……」
 大神の方を向き、そう言う。そして視界にある物が見え、驚きのあまりに反射的に目を閉じる。
「『世界の命運をかけて戦っている』は大げさだよね。この辺りの平和は守ってるけど」
 黒間の過剰表現に対し、大神はツッコミを入れる。――全裸で。
 全体的に細めの体、だが脆さを感じさせる事はない。無駄な肉はついておらず、腹筋が割れたりはしていないものの筋肉もある。
 肌は白。しかし弱さを感じさせる事のない、活力のある白だ。
 胸はそれなりに大きく、形がいい。この神秘的な曲線美――どうだ!?
「待て、いつの間に脱いだ。そしてこの世界が少し可笑しい事を考えたような気がするのだが」
「世界が考える……か。なかなかロマンチックな考え方だね。私、そういうの好きだよ」
「お褒め頂有難うこの阿呆が。だからいつの間に脱いだと聞いているのだ」
「え? クロが窓の外を眺め始めた頃かな。別にいいじゃん、こっちの方が楽だし。服なんて邪魔なだけだよ」
「……そうか。その格好の方が良いのか。ならばその姿でグラウンド三週して来い」
「うん。まだ二人が来るまで時間がかかりそうだしね。じゃあ行ってきまーす」
 そう言い、大神は生徒会室から出て行こうとする。
 直後、黒間が動いた。




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