初詣に行こう 5
- カテゴリ:自作小説
- 2011/12/04 23:59:00
さて、おみくじを引いたことだし、あとは神社内の店でぜんざいでも食べてから帰るか。
その事を大神に伝えると、その前におみくじを結んでからにしようと言われる。そういえばそれを忘れていた。……しかしこの行為、どんな意味があるのだろうか? 帰ったら調べてみようと思うが、しかし家に帰った頃にはこんな事は忘れているだろう。
そうやってどうでもいい事を考えながらなので、当然のように上手く結べずに四苦八苦したものの、大神の助けも借りてなんとか結ぶことができた。
しかし紙が硬くて結びにくい。どうにかならないのだろうか? 例えばおみくじ専用の結びやすい紙を発明するとか。
……我ながら、これはないな。
「どうしたの? そんな野菜を食べたような顔をして」
「それはお前が野菜を食べた時の反応だろうが。俺は好き嫌いせずに全部食べる」
「ふーん。なら虫も食べるの?」
「……どうしてそうなる」
「虫も食べようと思えば食べれるよ?」
確かにそうだけれども、日本の都市とも田舎とも言えぬ中間くらいの町に住んでいる人間が食べるものではない。
そんなもの、珍獣ハンターにでも食べさせておけばいい。
「ならばお前は食べるのか?」
「え? 虫なんて人狼の食べる物じゃないよ。あれは人間の食べる物だよ」
「酷い言い訳だな」
どんな理屈だ。
というか普通に考えれば虫は鳥とかが食べるものだろう。いや、虫を食べる事を否定するつもりはないが。
「まあいい、とりあえずぜんざいを食べに行くぞ」
「分かった分かった。クロは食いしん坊だねぇ」
そう言いながらも大神の目は爛々と輝いている。どう考えても一番食いしん坊なのは大神だ。
普段から人一倍食欲があるし、お代わりも遠慮なくする。お代わりをしなかったらしなかったで体調不良を疑うけれど。
これだけ食べて太らないのは人狼だからだろうか。……だけど大神のお母さんは食べる量は普通だったし、単純に大神が大食漢で太りにくい体質なだけだろう。なんと羨ましい体質だろうか。
「ところでクロ、何をお願いしたの?」
「何の事だ?」
「何のことって、ついさっきの事だよ。五円玉を賽銭箱に投入したじゃん」
投入……、何か違う気がする。が、ツッコミは入れない。
「ならばお前は何を願ったんだ?」
「肉が食べたい」
即答だ。即答すぎる。欲望に忠実すぎる。
不審者に「肉をあげるよ」とか言われたらホイホイ付いて行くんじゃないだろうか。襲われても不審者如きに負けはしないだろうから大丈夫だけれど。
「何も考えてない願いだな」
「ちゃんと考えてるよ。だって私の欲しいものだから」
「それを考えてないと言っているんだ……」
予想通り何も考えずに願ったらしい。
ここまで欲望に忠実だとむしろ清々しく感じる。
「……で、クロは何を願ったの」
「さて、ぜんざいを食べに行くか」
そうだ、今日は人が多い。
だから早く行かないと満席になってしまうかもしれない。
ぜんざいを食べるために、俺は店に向かって歩き始める。
「あ、クロ、ちゃんと答えてよ」
後ろの方で何か言っているが、ぜんざいを食べるために俺は無視した。
そのトーリ、もとい通りです。自分が人間のヒロインなんかを書くと思ったんですか(ry
……本編の方は某金髪巨乳好きの人の文章を真似しすぎたので書き直そうと思っています(ry
そして途中から読んだので分からなかったのですが人間じゃないんですね。ケモノなんですねw