Nicotto Town


零崎儚織の人間摩擦


チルファン

外伝1-1 二人はクエストを受けるようです

「VRMMOって沙耶の唄的な状態になれるんじゃね? ちょうど目の前にサヤがいるし」
「怒りますよ?」
 出会い頭にいきなりエロゲの話題を振るのは、白いシャツに黒の上着を着て袖を肘の上辺りまで捲くっている少年だ。名はカズヤという。
 それに対してエロゲの知識が無ければできないような反応をしたのは、巫女服を着た少女のサヤだ。黄金色の髪をポニーテールにしている。頭には三角形の耳、背中側にはフサフサの尻尾がある。
 この耳や尻尾などは現実では付いているはずのないものだ。しかしここはゲームの中の世界だ。
 数年前、フルダイブ機能が実現されたゲーム機がとうとう発売された。それによってゲームの世界に完全に入り込むことが可能になった。
 そして二人が現在プレイしているのは、そのゲーム機を用いたMMORPGだ。
 その名は『Children's Fantasy』、略して『チルファン』と呼ばれている。
 二人の関係はバカな出会いから始まり、現在はこのような会話をするまでに至った。まあ、出会い頭にいきなりエロゲの話をするのはおかしいかもしれないが。
「てかさ、お前沙耶の唄知ってたんだな。サヤだけに?」
「いえ、お兄ちゃ――兄さんが持っていただけです」
 サヤが言うには、兄が持っているだけだそうだ。そして、偶然見てしまい夜寝れなくなってしまったと続けた。
「へぇ……お前兄がいたんだ。てか、さっき『お兄ちゃん』って言いかけてたよな? ――ウチの妹もそうだったら良かったのになぁ」
「それは気のせいですよカズやくん。もしもそう聞こえたのだとしたら――世界が狂って見えるようになってください」
 サヤにとっては失言だったようだ。それと自分の名前をネタにされた事に対して少し怒っているのだろう。
 ちなみに沙耶の唄とは純愛モノである。食後にやると吐きそうになるが、純愛モノである。やった事がないのでよく分からないが。
 「で、カズやくん、今日はクエストをやる予定だったんですよね? どんなクエストをやる予定だったんですか?」
「ああ、クエストをクリアしたら武器を貰えるんだ。それがなかなかネタ臭溢れる武器でな……フォークだ。分類は投げナイフになるな」
「フォークですか……使いにくくないですか?」
 沙耶――ではなくサヤが、当然の疑問を口にする。フォークは食事のためのものだ。間違っても武器ではない。まあ、世の中には焼き鳥で戦うヒロインもいるのだが。
「ああ、使いにくい。だが悪魔系のモンスターに対してダメージが大きくてな。いざって時に持ってると便利そうだ」
「なるほど……。だけどなんでフォークが悪魔に対して強いんですか?」
「ああ――どこかの少年が這い寄る混沌や生ける炎に対してお仕置き用に使っていたからだろう。まったく……どうすれば邪神に対して強気になれるのだろうね?」
「……今日はやけにクトゥルーですね。なにか良いことでもあったのですか?」
 サヤがこう質問できるのは、全てサヤの兄が原因だ。サヤの兄が色々なものを収集していたせいで、サヤがこうなってしまったのだ。まあ、ブラコンのサヤは兄と同じ知識を持てて嬉しがっていたのだが、それはカズヤには秘密だ。
「いや、今日は夢の中で形容しがたき触手がうじゃうじゃしてる変な物体が――」
「変な電波は受信しないでくださいね? 狂った世界で唯一まともに見える女の子がいてもついていかないように」
「分かってるって。じゃあ、クエストを受けに行くか」


「ない! ない! 俺の彼女から貰ったペンダントが無い!」
 そう言うのは、青年Aと言うに相応しい格好をした男のNPCだ。彼女がいると公言している辺り、リア充なのだろう。
「なあサヤ――こいつにとってはここがリアルだが、俺たちにとってはゲームの中だ。こいつ本人からしてみればリア充だが、俺たちから見たらネトゲの中だからこいつはネト充だ。……リア充とネト充、どちらで呼べばいいのだろうか?」
「ややこしい事考えないでください……。分からないですよ……」
 後ろで「彼女との出会いは14歳の夏だった……」と、思い出話に浸っている青年NPCを無視し、二人はそんなどうでもいい会話をする。
 会話の合間に少し青年NPCの言葉に耳を傾けると、「北の洞窟のモンスターに奪われたペンダントを取り戻して欲しいし」というものらしかった。
 その後も数分雑談しているといつの間にか青年NPCの話は終っており、『クエストを受けますか? Yes/No』というメッセージウィンドウが出ていた。
「じゃあ、受けるか」
「はい、サクサクとやってすぐに終らせましょう」
 二人は頷き合い、同時に『Yes』を選ぶ。
 しかし二人は知らなかった。青年NPCが今回のクエストの重要な事を話していたことを。そして……それを知らなければ二人には死しか待っていないということを。

アバター
2011/06/09 22:30
オルカ的に未帰還者になるんでしょうか? G.U.やってないからよく分からないです。そしてチルファンはPKできないです。ここ、重要です。

知りませんかー。ちなみにこのゲーム、シナリオは「まどか☆マギカ」と同じ人です。つまり……何も言わなくても分かりますね?
お兄さんネタ……兄のせいで知識が(ry って辺りですか? ……これはウチにも当てはまるような気が。まあ、妹の異常な銀魂好きは自分のせいでありませんがw
アバター
2011/06/09 22:21
それは…ちょっとpkkされちゃいます?

知りません((キッパリ
そういえば、お兄さんネタのとこでなんか親近感が感じられたような…? ブラコンではありませんが。
アバター
2011/06/09 22:15
しかし死なないです。だってネトゲだからw スケィス辺りに出会ったのなら話は別ですけどw

ところでお兄さんは『沙耶の唄』を持っていますか? 持っているなら貸してほしです(ry
アバター
2011/06/09 22:00
あらら、死亡フラグwww

そしてここでも出てくるエロゲw
もうどうでも良いけどね!w かおりんの好きなようにすれば良いのだしw



Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.