Nicotto Town


零崎儚織の人間摩擦


初詣に行こう 6

「うん、おいひーねこのおもひ」
「日本語を喋れ。そして食べてる時に喋るな」
 大神からの質問の追撃を凌ぎきり、俺達はなんとか店に辿り着いた。今は店内でぜんざいを食べている所だ。
 あんこの味が混じった餅は美味い。あんこ程の強い甘さではなく、あんこの甘みが少しだけ感じられる味だ。
「うん、けっこう美味いな」
「あぐ、んむっ」
 話題を振ってみたものの、耳を傾けることなく餅を食い続けている。
 大神の方を見ると、かなり茶碗が重なってる。どれだけ食べたんだろうか?
「ん、ごちそうさま」
 ようやく満足したのか、食べるのを終えたらしい。
「んー、健康のために腹八分目にしたけど、やっぱり足りないなぁ」
 前言撤回。全く満足していなかった。どれだけ食べる気だこいつは。普通なら腹を壊すぞ。
 ……けれど、これだけ食べても腹を壊さないのが大神なんだろうな。
 そういえば少し前に行ったラーメン屋で「銀髪の少女がほんの数分で大食いメニューを間食した」とか誰か言っていたような気がするが、もしかしてこいつのことだろうか? 銀髪の少女なんてそういないだろうし。それにこれだけ注文できるのは大食いチャレンジに成功して賞金を貰ったからなのかもしれない。
「ところで、それだけ食ってちゃんと代金払えるのか?」
「うん、ここ最近は大食いチャレンジでお小遣い稼いでたから」
 捻って聞いたらあっさり答えた。自分の予想は一切間違ってなかった。
 自分の幼馴染が大食いの有名人になっているというのは、微妙な気持ちになる。
「なるほど。それだけ稼いでたら大食いチャレンジやってる店の間では噂になってるだろうな」
「そんなことないって。まだ十軒とちょっとくらいでしかやってないよ」
 噂になるには十分だ。
 一回あたり千五百円の稼ぎだとしても、それが十数回となると一万五千円は越える稼ぎになるのか。しかしフィクションだとこういったチャレンジで五千円とか一万円と言うのがよくあるけど、実際はどれくらい貰えるんだろうか?
「そういえば、何回か明らかに大食いチャレンジの写真に載ってるのより多く盛られた物を出されたよ。気前が良いねぇ」
「……そうか。それは良かったな」
 大神を負かせるために食いきれない量を出したつもりが完食されただけだと思うのだが、どうなのだろうか?
 しかし店側に不正をさせてしまうほどの大神の食いっぷりとはいったい……。生で見たいような見たくないような。目にしてしまうと大切な何かを失ってしまうような。
「さて、この後はどうする? おみくじもやった、お賽銭もやった。後は適当にふらつくか?」
「うん、後は適当に商店街に行ったりしよう。でも、それ以上に大切なことがあるよ」
「ん? 大切なこと?」
 何かあっただろうか? 大神との初詣は6年ぶりだから、少し思い出せない。
 お参りした後にぜんざいを食べることは覚えているけれど、その後に何をしていたか……。適当にふらついた後に帰宅、というのがいつものパターンだった気がするが。
「大切なこと。それは――」
「それは?」
 …………。
 間を置く。
 息を大きく吸って、間を置いている。
「早く言え」
「あ、いた」
 あまりにも間を置くから、ついチョップをかましてしまった。いけないな、このままだと暴力的な人間になってしまう。
 短気なのはいけないことだ。人間、心に余裕を持たなければ。余裕を持ちすぎるのも問題だが。
「いたた……まったく、クロは短気だなぁ」
「短気なのはさっき自覚した。それよりも早く大切な事を言え」
「なんだか最近冷たくない?」
「冷たくされないように努力しろ」
 さっきのは大神が間を置きすぎたのも原因だ。あんなに間を置かれると流石にイラッとする。
「はいはい、大切なことが何か、ね。それは――」
「それは?」
「結局、クロは何を願ったの?」
「何十分前の話題を持ち出してるんだ?」
 これだけ時間をかけて結局それか。そこまで俺の願いが気になるのだろうか。
「……大したことは願っていないぞ?」
「うん、だとしても気になるよ」
 逃げ切れなかったか。
 納豆のように粘る追求だ。納豆にはからしを入れると少しピリ辛で美味いが、この場合は納豆を食いたくないのに無理矢理食わされてる感じだ。流石にねばねばが続くと嫌になる。
 ……。
「……成績アップだ」
「ダメだよクロ。勉強は神頼みじゃなくて自力でやらないと」
「分かってる。特に頼むことがないからそれにしただけだ」
「ふうん、割と適当だね?」
「最初に大したことは願ってないと言っただろうが」
 肉を食べたいという願いと大差ないと思うんだが、どうなんだ。
「まあいっか。とりあえず店にでも行ってみよう」
 そうして、俺達は店を出た。
 大神が俺の分まで払おうとしたが実は持ち合わせが少し足りずに自分の分すら払えなかったことは、触れてやらないのが優しさだろうな。
 稼いだ金を財布に入れることを忘れてたそうだ。

アバター
2012/01/08 23:01
なんというか、熱が冷めたって感じです。
たぶん2年後くらいにまたやり始めそうな気がします。

はい。
……ただ、その前に宿題をやらなくてはいけませんねw
アバター
2012/01/08 22:15
そうですか。

ゲームは大体なんでも飽きはきますよね、すいません。
まぁ飽きないゲームに巡り会うのが俺のゆめですぇどねwww

では続き頑張ってください。
アバター
2012/01/06 21:13
コメントありがとうございます。

あと2、3話で終わらせる予定です。
まだまだな所が多い話ですが、よろしくお願いします。

ゴッドイーターは最近はやってません。宿題が終わっていないので……。
飽きもきたので、一旦終了と言った感じです。
アバター
2012/01/05 23:57
始めまして。ブログ広場から来ました。
俺こういう感じの物語好きです、いや、基本的には人の書いた物語なら喜んで読みますが。
続きでたらまた来ます。
ところで、ゴッドイーター好きと言うのは現在形でしょうか?
俺もゴッドイーター好きです(((o(*゚▽゚*)o)))
長々とすいません
でわすてぷです、失礼しました。



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