新月の空 1
- カテゴリ:自作小説
- 2012/03/09 23:59:59
酷く暗い場所だった。地下か洞窟か、それは分からないが光は僅かしか届かない。空気はひんやりと冷たく、少々湿気ている。
そこにいるのは二十人ほどの少年少女たち。皆、手枷に足枷と拘束されている。それぞれ、特殊な技術の持ち主であった。
特殊な技術、つまりは才能。力を持つがゆえに目を付けられてしまった。
そんな彼らはきっちりと二列に並ばされて、先頭の黒ずくめの男に付いて行く――いや、連れて行かれる。
先頭の男はこれまた分かりやすい悪人顔で、右のこめかみの辺りから頬にかけて刃物で切られた傷痕がある。髭も剃っていないのか無駄に伸びており、清潔感の欠片もない。
子供達は靴を履かされておらず、地の冷たさが直に肌に伝わる。地に足裏が擦れ、怪我をしている者も少なからずいる。
歩く列の中、傷口が痛むのか少女の歩みが遅れる。
「おら、キリキリ歩け。……うん? なかなか良いタマじゃねぇか。聞き分けが悪いようなら……後でどうなるかは分かってるよなぁ?」
この子供達は商品だ。これは歩かせるための嘘である。――が、売れ残ったのであれば、どうしようと文句は誰も言うまい。せいぜい誰が最初にやるかで仲間内に口論になるだけだ。
さて、今回の稼ぎは二千万を越えるだろうか。何せ今回は、貴重な"時空魔術師"がいるのだ。コイツ一人で最低でも八百万はいくだろう。運がよければ一千万越だって狙える。計算通りなら、今年はあと一回ほど仕事をやれば十分になる。それが終われば後は遊べ、飲め、愉しめだ。
グフフと典型的な下種の笑い方をしていると、表の方から騒いでいる声が聞こえた。珍しい事ではない。学のない外道共の集まりだ。馬鹿騒ぎなど日常茶飯事。だが――
「ボス! 襲撃者です!」
「何人だ?」
今回はどうやら日常的な出来事ではなく、非常事態のようだった。
しかし慌てる事はない。こんな仕事をやっているのだ、荒事だってお手の物。傭兵ギルドの有名所である『地獄を逝く者(ヘル・ウォーカー)』が相手でも負ける気はしない。
相手が百戦錬磨の兵が相手であれば卑怯卑劣な手段を持って迎え撃つのみ。地の利は此方にある。罠を作動させずにここまで辿り着くのは困難極まりない。例え辿り着こうとも、ボス一人で十分相手にできるほど弱っているだろう。
しかし、救い手が現れたという報せに子供達は心を動かす。助かるかもしれないという僅かな希望に縋ろうとする。
子供達の中の一人、ティシィもそうだった。彼はボスの言っていた"時空魔術師"であった。このままでは時空魔術の実験道具扱いか、禁呪開発の実験材料にされるだろう。
その救い手の情報を、部下が口にする。ティシィは、誰でもいいから、とにかく強い人が大勢で来て、と切に願う。
「二人です!」
馬鹿だった。救い手は、どうしようもなく馬鹿だった。
この下種共に地の利がある事も、数で負けていることすら理解していない
「なんだ、自殺志願の馬鹿だったか。騒がせやがって。
どうせ罠で疲弊するだろう。お前が片付けておけ」
もうダメだ。何もかもお仕舞いだ。
偶然にも"時空魔術師"の素質があることが分かり、そのせいで親に売られてしまった。それまでは貧しくも仲良く暮らすという、よく聞く話であるような仲の良い家族だったのに。
金に目がくらみ子供を捨てるなんて……。いや、捨てられたとしても、未来が残されているのならばまだいいだろう。養子に出されるとかなら。
だけど現実は実験動物と言うのが未来だ。もう終わりだ。日の光など見ることなく、一生を暗闇で過ごすことになるのだ。
さようなら太陽。一生あなた再会することはないでしょう――。
「侵入者は、すぐそこまで来ています!」
言い終わるのと同時に、部下の首が飛ぶ。
鮮血。紅は花火の如く咲き、やがて枯れる。
「おい! どうなってやがる!?」
流石のボスも、急な現実を受け入れられないらしい。部下は直接的な戦闘能力こそ低くとも、それなりの場数を踏んできた奴等が揃っている。力はなくとも機転が利く。それなのにたったの二人にここまで辿り着かれた。
ボスは腰の短剣を抜き、前に構える。そして古くから伝わる媒体魔術を発動する。
媒体魔術とは、文字通りに何かを媒体に発動させる魔術のことだ。ボスの場合は短剣である。
ひとまず身体能力を強化する魔術を使い準備を整える。そして相手はこちらの見えない位置から部下の首を刈った。ならば遠距離からの魔法を使った可能性もある。防御魔術の用意もしておく。
最悪の場合、子供達は捨てでも逃げ出すしかあるまい。金よりも命の方が惜しい。
いつ仕掛けてくるのかと後退りしながら構えていると、相手は堂々と出てきた。
燃えているかのような赤髪の女だった。
「アンタがボスかい?」
「貴様――何者だ!?」
アタシかい? と返し、名乗る。
「新興ギルド『新月の空』のボス。名声を得るためアンタ等を潰しに来た」
いやー、格好良くないですよー。
「…」や「―」は偶数回使うと言う決まりを守ったり、改行後はスペースを一つ空けるとか、それっぽい言葉を使えば誰だってこれくらいのものは書けると思います。
tkかっこいいよそんなの俺かけない((
はい、9時ごろに投稿しますw
潤さんは格好良いですよね。あそこまで突き抜けて格好良いのは他には終わクロの佐山くらいしか知らないなぁ。
どうしたしまして……?
ぬ?もう3話まで書いてるの?早いw
うん。潤さんはカッコいい。((ドユコトー
うん、…ありがとう…((おm
姐さん系って所しか被っていると言う自覚を持っていませんでしたが、赤いのと強いのも被ってますね……。
まあ、ALOは剣と魔法のファンタジーですしねw
あっ、確かに赤い&強い&姐さん系だものね。
そうだね、色々要素入ってるね…いや、きっと導入部的な意味で((ry
劣化版潤さんにならないように頑張りますw
MMORPGという珍しい要素が入ってますけどね(ry しかも5・6巻は硝煙と弾丸が飛び交ってましたけどね(ry
ですよね!!姐さん系好きw
そう、ベタベタなのがいいんです。剣と魔法と勇者と。それでいくとSAOはスバラシイ(`・ω・´)キリッ
最後のキャラは姉御系を狙って書きましたw
剣と魔法のファンタジー系です。ベタベタです。だけどそれが良い(ry
ファンタジーの世界なら「お・り・が・み」系に行ってみたいですねー。
そして最後に登場した姐さん系のボス…!!これはカッコよさそう…!
そしてこういうジャンルは好き。剣と魔術とギルドと盗賊と…!
こういう世界いいなぁ。行ってみたいw