Nicotto Town


零崎儚織の人間摩擦


神さまのいない日曜日

 夏からアニメが放送開始!
 まさかアニメ化されるとはなあ。細々と原作が続いていくだけだと思っていました。

 この作品にはかなり思い入れがありましてね。
 誰からも批評を聞くことなく、どこかで評価を調べることなく見つけ出した、初めて自分で手に取った作品なのです。

 出会いは市の図書館でした。あの頃は、まだ一巻が出たばかりの頃でしたか。
 適当にライトノベルの本棚を見ていると、この作品が目に入りました。
 あのころは確か、まだライトノベルが多くは入っていませんでした。
 フルメタルパニックとスレイヤーズ(今では閉架書庫入りしてますが)があったくらいです。
 富士見を多く仕入れる傾向があったのでしょう。この作品も富士見だったからか入っていました。
 後から知ることになるのですが、この作品は富士見ファンタジア大賞受賞作でした。
 富士見ファンタジア大賞で、大賞を取った作品は数作しかありません。
 あのスレイヤーズすら、銀賞だったはずです。
 
 中学を卒業し、高校入学まで暇だった僕は、なんとなく手に取りました。
 そして借りて家に帰り、読み終えました。

 面白くない。なんだこれは。こんなので大賞が取れるのか。
 安っぽい奇跡。こんな簡単に奇跡が起こる世界観なんて面白くない。
 最後のお涙頂戴の展開も嫌いだ。これくらいならキノを読み直した方がよっぽど有意義だ。
 そう思いました。

 何が原因かは忘れましたが、やたらと斜めに構えていた自分は、最初から批判するつもりで読んでいました。
 この程度で大賞が取れるなら、自分だって。
 そんな事も考えていました。

 そしてしばらくして図書館に行くと、二巻が置いていました。
 どうせ無料なんだ。暇つぶしに読もう。
 そう思って借りて帰りました。

 面白い。童話のようでいて、それでいて暗い、けれど明るい世界観。
 退廃的で、生者と死者が生きるという、死んでも死なないという世界観。
 飛び抜けて面白いわけじゃないけれど、他の作品にはない雰囲気がある。

 たった一冊読むだけで評価が逆転していました。
 あれだけ斜めに構えていたというのに。あれだけ馬鹿にしていたのに。
 二巻までは読んでください。二巻まで読んでダメなら、合わない作品だったということです。
 一巻では閉鎖的な村、二巻では死者の国、三巻では学園モノ、四巻では謎空間。
 五巻ではまたまた学園モノ&挫折。6巻では逆転裁判と再起。
 七巻では……どう説明したらいいんだろう。色々やりすぎて説明に困ります。
 毎回毎回、舞台が違います。やることが違います。似た話というものがありません。
 故にマンネリなどありません。特に七巻、とんでもない方法で問題が解決します。
 普通の作品ならクレームが飛び交うレベルですが、この作品だとアリだと思える辺りが凄いです。(褒めてます)

 主人公の目標は一貫しています。一巻のラスト以降、何度も口にしています。
 それだけに五巻のラストが凄いです。六巻が辛いです。七巻が輝かしいです。

 燃える作品ではありません。(五巻ラスト以外は)鬱な話と言うわけでもありません。
 けれど引き込まれます。強い魅力が確かにあります。
 言葉では伝えられません。キャラクターも魅力ですが、個人的には雰囲気や世界観に惚れ込んでいるので。

 ハーレムラノベに飽き飽きしている方。
 男の主人公ばっかりで面白くないという方(書き忘れてましたが、主人公は少女です)。
 ちょっと変わった、大衆小説でも、SFでも、ファンタジーでも、児童書でもできそうにない話を読みたい方。
 そんな人にお勧めです。


 そんなわけで、アニメ化が楽しみな自分でした。
 なんでもシリーズ構成がとんでもない大御所なそうな。




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