【アリスサークル/フラン短編】
- カテゴリ:自作小説
 - 2012/05/19 20:59:42
 
#-もう生きていたくないと叫びたくなるくらい生きてみたい
 天に向かって泣き叫んだ。
 声が枯れるまで。
 でもその叫びはどこにも届かないで消える。
 容赦なく私を照りつける太陽は、まるで私を、嘲笑っているような気がした。
*
 早めに来すぎてしまった戦場に、当然誰の姿もあるはずがなかった。
 どこまでも広がる真っ青な平原に残されているのは、乾いた血と、仲間のヴァンパイアたちの亡骸。
 正確には、太陽に焼かれて灰になった。
 生温かい風が、その灰を吹き飛ばしていった。
 
 叔父さんから逃げた理由は簡単だった。
 あれ以上あそこに居たら、絶対に戻れなくなるから。
 殺し合いに行けなくなるから。
 
 まだ塞がらない背中の大きな裂傷が時節痛みを訴えてくる。
 ヴァンパイアといえど一日では治るはずも無かった。
 それが同族に加えられたなら、尚更。
 自分を焼き殺そうと照り付けてくる太陽と、これから何時間一緒に待たなければならないのか。
 考えるだけでも気が遠くなりかける。
 でも、あいつを殺すまでは死ね無い。
 絶対に。
 父さんと母さんを殺したあいつが、自分の剣によって死ぬ瞬間まで。
 _私とあいつは双子だった。
 子を授かることが出来なかった遠い親戚に、双子は別けられた。
 その真相をつい先月知ったあいつが一族を殺し、父さんと母さんをも殺すのに一週間かからなかった。
 そして私の居場所をつきとめ"領地争い"と言う名の戦争を吹っ掛けてきた。
 私も―― 一族そのものを全て殺すつもりなんだ。
 きっと理由なんか無い。
 あいつも"空っぽ"なんだ。
 一時的な目標が無いと、生きていけないんだ。
 でも私にも好都合だった。
 憎くて憎くて仕方が無い、あいつが自分から来てくれた。
 大切な人も。仇を取ること意外に生きる意味も無い私が。
 それだけを今の生き甲斐にして何が悪い。
 多分どこかで、ぶっ飛んでしまったんだと思う。
 頭ごと可笑しくなって、直に私も狂い始めるに違いなかった。
 と。
 回想が途切れた瞬間に私の耳に、別の音が混じり始める。
 ざくざくと乱暴に芝生を踏み分ける足音が。
 氷のように冷たい不安の手に心臓が握りつぶされんばかりにつかまれる。
 来るわけが無い――
 そう思ってあげた視線の先に、まんまと居た。
「よーぅ」
 呑気にそう言って、片手をあげた。
 私の眼前で止まるとそいつはにやりと狂気の笑みを貼り付けた。
「…ジェイル……、」
 軋むような声音が私の喉から漏れ出す。
「やっぱり来てたね。フランのことだから来てると思ってさ」
 まだ声変わりしていないような少年声は、またも呑気に告げた。
 だがその手は既に、腰の柄に触れている。
「手短に済ませようよ。じゃないと僕等――、焼け死ぬ」
 じゃりぃぃんっ、と抜き放たれる長剣。
 手入れが行き届いた刀身が、透き通るように白銀に輝く。
 突然真顔に戻ったジェイルの口から発せられた言葉に、周囲の気温が急激に下がるような錯覚。
 それに反応するように、耳の奥で煩く心臓が早鐘を打つ音が鳴り響く。
「そうだね。早くしないと」
 機械的に口が滑る。
 無意識に左手が腰の鞘を押さえる。
「私もジェイルが殺したくて、そろそろ狂いそうなんだ」
 しゅりぃんっ、と音高く抜かれた愛剣の刃は、乾いたどす黒い血に汚れていた。
 引き攣った笑みが頬に刻まれる。
 それを見て嬉しそうにジェイルも嗤った。
「あっはは!奇遇だね!僕もフランが殺したくて――、仕方ないんだ」
 そして激突。
 ぎゃりぃぃぃんっっっ、と金属の擦れあう凄まじい音が平原に轟いた。
 ありえない量の火花が炸裂する。一瞬視界がホワイトアウトした。
 同時に飛び退る二人。そして同時に駆け出す。
 フランの放った横一文斬りがジェイルの袈裟斬りに叩き落され、
 そのまま逆袈裟に持ち込んだフランの剣がジェイルの剣を弾く。
 がら空きになったジェイルの脳天をフランの剣が縦一線。
 再び火花が散る。
 二人の剣が鍔迫り合いに動きを封じられる。
 互いの力が均衡し、間近で交錯した視線も烈しく火花を散らす。
 
 が。 不意にジェイルが嗤った。
 フランは初歩的なミスに、ただ"殺す"ことに熱された思考に侵され、気づくのが遅れた。
 ふ、と悪夢のようにジェイルの剣から力が抜ける。
 ほぼ全体重をかけきっていたフランが派手にバランスを崩し――
 ジェイルの剣が、フランの右脇腹にずぶりと喰い込み。
 右腕ごと、掻っ切った。
 陽に照らされ銀色の輝く灰色のツインテールがふわりと舞い
 盛大に真っ赤な噴水を生々しい傷口から噴き出させ
 どさりと倒れこんだ。
「――ふひ、ひひ…ッ…ひははははははははははははははははははは!!!!!!」
 狂ったようにジェイルの喉から迸る、狂った笑い。
 ジェイルはそれで、戦いは終わったことにしていた。
 笑い声にかぶさるように鈍い足音がジェイルの背中に迫る。
 そして不意に止んだ。
		


























マリアが少し狂いかけるのでそれの制御を頼みたいのですb
細かな状況報告まかせてくださいb
アリスサークルの方々への巡回です!
今度イベントをやらせてもらうのですが
その際、皆様の協力が必要です
過去のことをあまり知らない方でもぜんぜんかまいません!
よかったら
http://www.nicotto.jp/blog/top?user_id=537257
上記のブログの回答お願い致します^^
そゆことーw正真正銘の双子ですwwうわーいお疲れ様!w
まさにその通りwいや全く、狂った我が子も可愛、(げふん
ふへへありがとう//(埋
なんか憎んで殺したはいいけど罪の意識に駆られているフランみたいなかんじ?かな
人殺しっていう単語が頭の中で連呼されるシーンが浮かんでかっこいいなっておもったよん
見下ろした自分の胸から、血のこびり付いた鋭利な刃物が長々と突き出ていた。
恐る恐る振り向くと、一瞬、一体誰だか解らなくなるような狂気の笑みを貼り付けたフランが
身体を密着させるようにそこに立っていて、
しつように強く握り締めていた柄に残っていた左手の剣で、ジェイルの心臓を貫いていた。
上半身をほとんど鮮血に塗れさせ、ジェイルの背に柄まで喰い込ませた剣をそして一息に抜いた。
本当に倒れたのは、ジェイルのほうだった。
身体から力が抜けていく。
取り落とした剣が指からすり抜け、ぽとりと落ちた。
ずるずると座り込む。
右腕が、肘から無くなっていた。
目の前に持ってきた震える左手が、ぬるぬるするほど血塗れだった。
唐突に腹の底から大笑いしたい衝動に駆られ、でも溢れ出したのは――涙だった。
掠れた声が、喉から漏れる。
「……あれ…なんで……泣いてんの……」
ぽたぽた。
ぼたぼたぼた。
意味も解らず流れ溢れる涙は止まらなくて。
ふと巡らせた滲んだ視界に、死んだように動かないジェイルが倒れていた。
…死んだ?
……あ。そっか。
私が、殺したんだ。
はは。人殺しだ。
仇なんて言い訳をつけて、初めて人を殺したんだ。
「…ッぅ……ぁ…ッ」
人殺し。
ひとごろし。
ヒトゴロシ。
「――ぁぁああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!?!??!!!!!」
――それからどうやって森に帰ったのか、覚えていない
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ここまで馬鹿正直に読んでくれてありがとう!(
くそ長いので読みやすいように書いたつもりではいます。
この大きな傷を負ったことによる家族の絆の再興、
ヴィンセント家との親睦を深めるのが狙いですω