Nicotto Town


小説日記。


メモ・心の中編ⅱ



 夏は嫌いだ。
 暑いし、蝉が煩いし、太陽は眩しいし。

 君を、奪っていったから。

 【八日目に見たもの】

 キンキンに冷えた教室の外で、
 馬鹿みたいに鳴いている蝉の声がやけに煩かったのを覚えていた。

 どこまでも透き通り、
 もくもくと白い翼を広げる入道雲が彩る水色の空に浮かぶ太陽が、アスファルトを焼いていた。

 【八日目に見たもの】



 僕じゃ貴女の願いを叶えることが出来ないのなら、
 いっそ僕なんて捨ててくれれば良いのに。

 貴女に付き従うことしか能が無い、役立たずの僕なんて。

 いつも冷たく僕に当る貴女が、たまに見せてくれる笑顔以外に、
 僕が自分を保っている理由は無いんだ。

 今すぐにでも僕は、貴女の人形に成り果てる事だって出来る。
 返事は「 はい 」か「 いいえ 」だけの自動人形に。


 …貴女は、僕の最後の光

 【禁断のグリモワール】



 貴女が望むのなら、地位も名誉も富さえも、
 何だって取ってきてみせる。

 貴女だけに忠実な犬であり続けよう。
 この命預けよう。

 貴女が"嘘"を、吐かないと誓うのなら。

 【禁断のグリモワール】



 人間はなんて騙しやすい馬鹿な生き物なんだろう。
 此方が嘘を吐いているのにも気づかず勝手に信じて、
 挙句の果てに「 騙したな 」と言って妄執に堕ちた瞳で殺そうとする。

 憎しみに汚れ真っ黒に濁った魂ほど、甘美なモノは無い。

 【禁断のグリモワール】



 守るだけが仕事じゃない、と彼は言った。
 よくわからなかった。

 【禁断のグリモワール】



 物好きな人間も居るものだ。
 よりにもよって、本の悪魔を呼び寄せるなんて。


 「 カナン 」と呼ぶ優しい声がする。
 私は人間なんて、観察対象でしなかったのに。

 気弱で、本当に弱くて、でも優しい、不思議な少年は、
 不安になるといつも私を呼んだ。

 面倒臭いと思いながら出てきてやると、少年は酷く喜んだ。
 温かい笑顔をいつでも見せてくれた。

 悪魔を道具としてしか使わない人間は、
 私を呼んでは「 あいつを消してくれ 」としか頼まないのだ。

 私は、その少年が気に入った。
 仕方が無いから守ってやろうと思った。

 だからいつも傍に居てやる。
 そう決めたんだ。

 【禁断のグリモワール】




「 私は、誰かの役に、立てたのかな 」

 …なんて、訊けるはずが無くて。

 【Vertical linE】



 私の臆病風はいつだってすぐに吹いてきて、
 「 お前には無理だ 」と囁くから。

 外の世界は嫌い。
 怖いモノはもっと嫌い。


 …でも、何もしないでうずくまるのはもっと、もっと嫌い。

 頑張れるかな、私。

 【Vertical linE】



 自分から命を絶つのと、他から命を奪われるのと、
 どっちが良いのかなんて、俺には解らない。

 どうせ生き残れやしない世界で、どうなるかなんて解らないじゃないか。


 ………どうして、お前が先に逝くんだよ。

 【Vertical linE】



 もうみんな、いっぱいいっぱいだったんだ。

 小さい子供がひきつけでも起こしたみたいに凄い勢いで泣き叫ぶ  が引き金だった。
 みんな泣き出した。


 俺も泣いていた。

   は、それきり帰ってこなくなった。

 【Vertical linE】



 誰でも良いから助けてくれって、誰もが望んでいた。
 あたし達も望んでいた。

 じゃあ一体、誰が助けてくれるんだよ。


 …あたし達しか、居ないじゃん。

 【Vertical linE】



 「 もう疲れた 」って言うのは、簡単で。
 簡単な分だけ感じやすくて。
 思ったらすぐに口に出てしまう弱い言葉は、俺達の心をあっという間に蝕んだ。

 でも俺達は、絶対に諦めちゃいけなくて。
 絶対にくじけちゃいけなくて。
 絶対に立ち止まっちゃ、いけなくて。


 疲れてる暇なんて、無いんだ。

 【Vertical linE】



 私はただ只管にあの子を責めていました。
 言いたい放題泣きながら怒鳴り散らしていました。
 それでも顔色一つ変えないあの子は、

「 もう、言いたいことは、それだけ? 」

 と。
 私に、笑ったのでした。

 私はその笑顔の色に気づくべきでした。

 ぱんッ!と乾いた音が響きます。
 私の右手があの子の頬を、力一杯叩いた音でした。

 でも。
 私はそれで、ようやく我に返ります。
 遅すぎたのでした。
 前髪で隠れた目元から、きらりと。
 頬に流れ落ちる透明な雫を、私は見てしまったのでした。

 それは、涙、でした。

 私の左手がまだ乗っている、あの子の華奢な肩が小刻みに震えているのを感じてしまったのでした。

 固く食い縛られた歯の隙間から、苦しみに彩られた吐息が零れていました。


 私は怒りに任せて、とんでもないことをしてしまったのです。

 【Vertical linE】



 その重さに気づいた時には、もう何もかも手遅れだった。
 俺は目を離すべきじゃなかった。
 ずっと傍に居てやるべきだった。

 何かが壊れだしたあの時から、
 ひょっとしたら、もっとずっと前から、
 俺は握った手を離すべきじゃなかったんだ。

 小さくて、誰の優しさも知らなかった、冷たい手を。

 【Vertical linE】



*****

クセになるとしばらく続けたくなる私の悪い習癖で三つ目突入です…!

今回はおまけを挟みながら、
グリモワールとバーチカル祭りです。

表現方法と心の内側を追求してみました。
「これってどういう意味」と思ったら容赦なく突っ込んでください!
私自身、補足を挟まないと伝わりにくいのが2、3個あるのが気になってます。



…カナンとか書いたらまた久々にあそこでも遊びたくなっちゃいました。
くっそう。
リニューアルしようかな。
設定がかなり好きなんだよな。




…きっと明日もやります/(^Q^)\

アバター
2012/09/05 21:45
>絢さん

来ました!どやぁ


フフーフ、是非どんな情景なのか思い浮かべちゃってください!(
アバター
2012/09/05 21:33
バーチカル祭り、きましたね!!

お、お。「あたし」が登場来ましたね、此れ!



月別アーカイブ

2022

2021

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.