Nicotto Town


小説日記。


"フラン"と"私&...



#-あの子と私と


「シュルゼムのこと"おじさん"って呼んでいいのはフランだけみたいに、
     フランのことをフランって呼んでいいのは、"私"だけなの」

 そう言って少女は笑った。
 三日月に歪んだ幼い口許からのぞく犬歯がきらりと、凶悪に輝いたような気がした。


「――だいじょうぶダヨ、フランがマモッテアゲルから」

 デキソコナイのおじさんより、フランのほうがもっとずっと強いヨ。きっとね。




 淡い銀色の髪。
 昼になると山吹色に染まる瞳。
 みんな"私"なのに、もう一人"フラン"が居る。

 明るくて元気で、馬鹿で無邪気なフランとは違う、
 暗くて乾いていて、陰湿で不気味なもう一人。

 狂ったように嗤うのが好きな子だけど、私はそれが誰か知っている。
 4歳の頃に殺されてしまった"本当の私"だ。

 目が見えない、真っ暗な世界に。
 次々と離れていく温かさに、絶望していた頃の私。


 寂しくて毎日泣いていた。
 たまに来てくれた義理の姉とおじさんはとっても優しくしてくれたけど、あの子は壊れてしまった。

 ――初めてヒトゴロシをしたときに。


 影が、消したはずのあいつの影が追いかけてくる妄想に捕らわれて、
 あの子は粉々に砕けてしまった。

 雪の結晶よりも細かな破片を拾って集めるのはきっともう無理。
 触れただけで溶けてしまうのだから。


 誰かあの子の友達になってあげて。
 変わった子だけど、本当は寂しいだけなの。

 きっと、きっとね。
 




 END.




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