幻想断片:石物語 <フーメ編>「フルール」
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/12/04 03:09:31
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幻想断片:石物語〈フーメ編〉「シャトン」
・・・より、続きます。
「開いていますよ、どうぞ」
「はい……」
そーっと、まるで猫の足並みのように、少女が書斎へ入ってくる。
ディアマン・ド・フルール。
「花のダイアモンド」という名の、愛らしいピンクのお嬢さんだ。
いつもは無邪気に走り回っているのだが、
面白いことに、私の側に来る時には、いつもこんな感じである。
彼女の目はまず、書斎の中を軽く一周する。
それから、ちょっとばつの悪そうな表情をして、私を見上げる。
「あの……お茶の時間のお誘いにきましたの」
「ああ、そんな時間だね。今日はどちらでかな?」
「お天気がいいから、テラスにしましょうって」
言いながらまた、フルールの目が泳ぐ。
いや……私にはもう、隠せないよ、シャトン……
私はポケットに手を入れ、それを取り出した。
「フルール。君の探しものはこれだね」
「えーっ!?」
掌に載せた金緑石は、フルールの奇声とともに、一瞬にしてシャトンに変じる。
「フーメ、ひどいーーー!!」
「きゃあ!! すてきすてきすてきーー」
重さを感じる暇もなく、掌のシャトンは一瞬にして走り去る。
「あーーーーーっ!!」
フルールの体は反射的にシャトンを追い、そして私を振り向いた。
泣きべそをかいて。
ふふふっww どちらのお嬢さんも、まあ……。
「テラスへ行こうか。どうせシャトンもそこに行くよ」
エスコートのために向けた腕に、フルールは腕を絡めてくる。
少女の軽快な足取りはシャトンととてもよく似ているのに、
フルールはいまだ、シャトンを抱きしめられたことはない。
「追いかけないようにって、してるんですよぉ。嫌われたくないから……」
少し拗ねたような口調には、ほんのりと心地よい甘えが混じっていた。
素直に感じ、甘えられることこそが、
この少女の一番の美徳であるだろうと、私は常々思っている。
そして、それは猫にもよく似ていると思うのだ。
- 「どうして、私を見ると逃げちゃうのかなぁ」
ああ、それは
「君、ミミにリボンを着けただろう?」
ミミとは、シャトンのオーナーである猫のことだ。
その黒くしなやかな首にかけられていた石こそが、金緑石のシャトン。
先日、怪盗RdFに盗み出され、
今ではシャトンと共に、我々石たちが集うこの館で暮らしている。
「リボンは……着けましたけど、いつのまにかなくなってしまったの。
綺麗なピンクサテンのリボン。とても似合ってたのに」
「いや……実は大変だったんだ」
苦しくないようにと、緩く結んであったのだろう。それがかえってよくなかった。
ちょっとした弾みで口に引っかかり、取れなくなったのだ。
もちろん、ミミはパニックを起こして暴れ回り、
シャトンが慌てて私のところへ飛び込んで来た。
皆が寝静まった深夜、あのホラーのような悲鳴を聞いたものは少なかったらしい。
某ソプラノ歌手が深夜に歌い狂ったとしても問題ない、完璧な防音には恐れ入る。
実は、私もあの夜は悲鳴を上げたのだ。
寝ているところに、シャトンが胸の上に飛び乗ってきて……!
飛び込んで来たのが成猫のミミの方だったら、
胸が詰まって、いったい私はどうなっていたことだろう?
……いや、考えたくない。
私の悲鳴は割愛して、搔い摘んで話をすると、
フルールは萎んだように情けない声を上げる。
「仲良くしたいのに……自信がなくなりましたぁ……。
いじめたことになっちゃったんですねぇぇ……」
「君に捕まると今度は自分が、ブルーのリボンを巻かれると思ってるね」
「ああ……持ってます。あの金の毛並みには、
スカイブルーのリボンが……似合っても嫌なのね~」
「ミミはもう忘れて、ケロッとしてるけどね。
さっきも君から、おやつをもらっていたんだろう?」
「ええ、ミミちゃんはおやつで釣れば……って、見てらっしゃった?」
「シャトンがね」
「あああ……近くにいても、私から隠れるくらい嫌われたんだぁ……」
ふふふっ。
そろそろこのあたりで「仲良くなる方法」を教えてあげようか。
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- 《続きます・・・》
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幻想断片 石物語
~ニコッとアバターでつくる絵本~
http://www.nicotto.jp/user/circle/articledetail?a_id=2301490&c_id=244198
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◆概要◆
宝石泥棒に盗まれて不思議な館につれてこられた宝石が自分の運命を決める、
宝石泥棒に盗まれて不思議な館につれてこられた宝石が自分の運命を決める、
というストーリーです。
私の書いた1作目
【幻想断片:石物語 <フーメ編>「アクアマリン」】
そうか ミミのリボンがダメだったんだ(≧▽≦)
仲良くなる方法 どんなのだろうな~ ワクワク楽しみに待ちます☆
仲良くなる方法って気になりますねー
これとフルールの物語がリンクするのですね
シャトンとの関係はここからだったのだなあ、なるほど~と膝を叩きました(古い表現w)
シャトンの書き方、さすがに猫好きさんだけあって、とっても可愛いし、
そしてフルールは相変わらずでw
続きが楽しみです^^
ただ今ミミちゃんが
謎のでんぐり返しを連発して
コーフンしております。
あまりにも寒いので、
猫どもは家の中で大運動会を開いて
暖かくなる作戦中の模様。
私もおんなじクチだからフルール様のお気持ちがよくわかるなぁっ!
なんだかね。
フーメ様のフルール様を見ているお姿ってミミとシャトンとおんなじような気がしましたおw
仲良しになる方法、そろそろお教えになられてる頃かしら?(*´艸`)
実は次回作でのフルールの扱いに悩んでいたのですが
この作品を読むことで悩みが吹き飛びました
そうですよね…
やっぱり『アホの子』がフルールの売りポイントですよね~(* ´ ▽ ` *)ノ
ということで進路を変えながらカキカキしております^^
他の方に自分のキャラクターを描かれると
こんなにもくすぐったいものなのかと…(〃ノωノ)
率直な感想でした
ちょとぉぉw
それって暴論じゃないですかぁ~;
ふー…
大丈夫です
きっと完結します!
じゃなかったら責任とって完結させます!(`・ω・´)キリッ
※これが本当の暴投b
愛らしいらぶらぶがいっぱいのお話、ほほが緩むね。
次も楽しみにしてますわー。
ミミちゃんがお膝で熟睡中で
動けません・・・。
寒いからみんな
コタツ回りに集まってきたよ。
ほのぼのとしていて楽しいお話ですね~。
フルールもシャトンも可愛いです~。
フーメから仲良くなる方法を聞いて抱っこできるようになるといいですね~。
いそいそと飛んで参りました
正式なコメントはまた改めて…
ブログを紹介していただけるとのこと
誠に嬉しい申し出にさらにウキウキ増量中です♪(/ω\*)
足跡気にしません(1日300回まで許容)
読み逃げ大歓迎
で、ございます(ノ´∀`*)
私も此方のブログURLを次回作にて紹介させて下さいませね
取り急ぎご挨拶まで( 〃▽〃)
パムちゃんも、Palさんも、お互いが心までぬくぬくぽかぽかで幸せそう。
私まで、心があたたかくなります^^
いいなああ。
なにがって、フルールさんが(*^.^*)
シャトンさんとミミちゃんと、はやく仲良しになれますように...と、祈りながら
ドキドキして読ませていただいています^^
それにしても、やっぱりフーメさん、かっこいいですね。^^
今、ミミちゃんのそっくりさんの
黒猫のパムちゃん、抱っこしてるぞー☆
小ネタのつもりだったのに、
フルールがかわいいから・・・。
次は、いっぱい登場します。
もっといっぱい出したかったけど、
キャパオーバーになりそうなので、泣く泣く次の機会に・・・。