first impression
- カテゴリ:自作小説
- 2016/06/20 05:21:24
少女の名は「アリス」
むろん仮名である。
ワンダーランドのヒロインは、常に「アリス」だ。
「私」は彼女に翼を与える役らしい。
ピーター・パンのように空を飛ぶちからを授けるのだとか。
「アリス」は片目を開ける。
(彼女の片目は開かない)
「アリス」が私を見つめる。
(彼女の視界に入るように、私は置かれている)
「アリス」の夢想が私を形造る。
《先生、IDになにか着けてる?》
「ID? これかな?」
《ええ、白・・・緑、青、これはなに?》
「おそらくローマングラス。ローマ時代のガラスの破片さ」
《ローマのガラス? あ、博物館の紀元前のビーズに似てる》
「多分、同じようなものだよ。僕は露店で買ったんだけどね」
《骨董市? これまで聞いた中で一番古そう。
でも、ローマ時代の本物が露店で買えるの?》
「小さな破片はアクセサリーで売られているようだよ」
《調べてみるわ。銀色、虹色? きれいね》
「どう、ここなら見やすい?」
《ありがとう。少しの間、貸していただいてもいい?》
「あげるよ。それはきっと、幸運のお守りだからね」
《あら、そんな大切なものはいただけないわ》
「いいんだ・・・ナイショだよ。僕は新しい恋を見つけたんだ」
《新しい?》
「うん・・・なんか昔の恋人をふっきれたんだ。
なんとなく、このガラスのおかげのような気がする」
《どうして?》
「どうしてだろうね。さあ、次は君の番だよ」
《あたしは恋はしないわ》
「どうして? 恋はいろいろさ。
君はこれに興味を持った。それも恋の始まりかもしれないよ」
いいえ、それは「恋の終わり」
(かわいそうな彼女)
いいえ「アリス」に恋は来ない。
(動けない彼女)
いいえ「アリス」は、それを告げない。
《先生、さようなら》
「アリス」は両目を閉じる。
涙が溢れ、消えるように。
彼女の片目が開いたとき、「私」だけが彼女の前にいた。
ゆっくりと、わずかずつ首を巡らせ、彼女は私を観察する。
ざらついた白銀の表面からこぼれる青、緑。
油の皮膜にも似た虹色の筋。
少女の親指ほどしかない、小さなガラス片。
《千年、二千年、もっと遠く?》
彼女の思考がモニタに呟かれた。
彼女の届かない手が、私に触れる。
そして「アリス」のワンダーランドの「新しい国」が開かれた。
私は体感するだろう。
彼女が紡ぐ「私」の物語を。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
【幻想断片 石物語】
キャスト
◆ イアルス・ラメンティ (嘆きの硝子、愛称イアルス・イア)
水底で銀化した古代硝子片。
往時は高価な硝子杯。運搬船が洋上で遭難、漂流し、シディブサイドの砂泥に埋もれ、銀化して真珠光沢をおびた。
幻想断片 石物語
~人の姿と心を持った石たちの物語~
http://www.nicotto.jp/user/circle/articledetail?a_id=2301490&c_id=244198
【石物語】企画サイト
http://fractfantast.wiki.fc2.com/
リュビはお留守ですけどバトンによって夢物語に参加が決まりました
シュバリエ・ラ・プロメス・ドゥ・リュンヌです
自己紹介ブログはこちらです どうぞよろしくお願いします❤︎
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=446840&aid=62923198
切ない詩情と背中合わせの不思議の世界 これからの冒険が楽しみです^。^
素敵なお話ですねぇ。
参考にさせて頂きます、と言いつつ皆さん、レベル高すぎ!
( ̄д ̄)。。。
ロワゾーさんのところから来ました(*´ェ`*)ポッ
胸がきゅうっとなるような、切ない物語・・・(´; ω ;`)
それでも、切なさをこえて、はじまりの高揚感に満ちた文末に希望を感じられました(*´∇`*)
アリスの想像の翼がおおきく羽ばたいて、これからどんな冒険をするのか、とても楽しみです❤(´ω`*)
とても繊細な思いが伝わることを望んでしまいます(;_;)/~~~
切ない 切なすぎる。
言えない叶わない恋 諦めの中に残った贈り物。
身体が動かなくても 想像力は空を飛び 国境を越え 時代すら越える。
その始まりが見えるね (´∀`*)
美少年風美少女☆
ロワゾ―さんのところから参りました○┓
ほぅ。ステキな文章でした。
何度も読んでうっとりしてしましました。
アリスが紡ぐイア様の物語が始まるのでしょうか。
なんかドキドキします。
一味変わった繊細さを漂わせる作品でした・・。
みずみずしい、心の欠片が広がっていくような表現。
少女のイマジネーションから作り出される「イアルス・ラメンティ」の物語
というところかしら?
https://goo.gl/rnMK7H
美しかろう?
うんちくが要らない形態を工夫したほうがあなたの魅力を邪魔しないと思ったんです。
手にした少女の夢想に、あなたの夢想をリンクさせ、
不自由な少女(彼女もあなたの分身です)の理想像となるイアルスを動かして、
あなたが旅行で培い、その感性で輝かせた風景につなげ、
あなた特有の美、独創の美を書いてほしいな、というのが、審美の境地からの希望ではありますが、
まあ楽しんでくれれば何でもいいよ。
わりと膨大な基礎教養含む知識群を要します。アエネーイスとは何か、ローマとカルタゴの関係、フェニキア人とは何者か、当時の硝子製品の価値、それの販売権をめぐる紛争、……といった考古学的・歴史的知識。パーセルのオペラ成立当時のイギリス歌劇についての音楽知識。それに古英語関連。
そうとう好きで原文とはいかずとも二次ソースと向き合う知識欲と年単位の時間がないとしっかりしたものはできません。
それよりも、あなたの強みと魅力である、繊細で抒情的な、美しいイマジネーションの開花が見たいです。
ぼんやりと方向性考えてるとこだし。
んで私は逆に、ヅカ風方向で楽しもうと思っていたのだけどww
ただし「ヅカ風」の認識が、
ロワ氏とはかなり違うと思うよ〜( ´ ▽ ` )ノ
まー好きにやってみるー。
こっから先は仕込みが必要なんで、
時間がかかると思われるけどね。
少女の愛というのはセクシャルなものに到達するまでは自己愛。
自己投影愛。理想の自分像への愛。リリカルナルシシズム。それが少女期の心の旅。
Pal氏の感性は男性的じゃなくて少女的な柔らかい繊細さの性質だから、美しく抒情的にこのへん書きなさると思った。
ヅカ風じゃなくてイアルスも飽くまで女性的であってほしいな。うむ同性愛。(真顔)
とか言ってるけど好きになされよ。ヴェルギリウスのディド系設定は削除しておく。
炎上するカルタゴ好きなんだけどね。
アリスというのはいつの時代にも何かの象徴を覚えるよなキャラに感じてますおw
イア様の物語はアリスと共に紡いで行くんかな~~
私もそろそろ考えなくちゃだw
(でもその前にガサガサゴソゴソ…www
新しい石さんですね~。
恋の終わりと新しい出会い。。。
素敵です。
完全に「第一印象」そのものww
イメージもアバコスも、この文全体も_φ( ̄ー ̄ )..zzZZ